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めぐみ横丁

2018年06月26日(火)

カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した

是枝裕和監督の最新作『万引き家族』 

ご覧になりましたか? 

私、すでに2回観ちゃいました。

2回とも、涙が頬を伝いました。 

"家族"ってなんだろう。

本当の意味での"人とのつながり"ってなんだろう。

見終わって、自分の中にむくむく芽生えた 

えもいわれぬ複雑な感情はなんだろう。

『万引き家族』に登場する人たちは罪をおかしています。

だから"すべてが悪"だ、と短絡的に捉えられないのです。

彼らは、自分たちのことを

周りにどう思われるかに気を取られることなく、

自分たちが心底大切だと思えていることにこそ 

価値があると潜在的に思えている、

豊かで強い心の持ち主である気がします。

・・・正直、ちょっぴりうらやましいくらいに。 

その登場人物の感情や、生活感、セリフは、

細部にいたるまで、すべてが、リアル。

"自然体"を表現するって

これほど難しいことはないのではと思うのですが、

『万引き家族』は、役者さんの息遣いなどを通して

すべてのシーンにリアリティーを感じられる作品です。

実はわたくし、ずーーっと、是枝作品のファンで。

2年前、担当していたラジオのインタビュー番組『めぐみの館』に

ご出演頂けないか、打診したところ、

念願叶ってお話をうかがうことができました。 

1時間近く、じっくりと。

当時、番組HPで書き綴った放送後記を、今回ココに再掲します。

*          *          *

『誰も知らない』

『海街diary』

『そして父になる』 etc・・・

数々の映画作品をこの世に生み出し

国内外で高く評価されている

是枝裕和 (これえだ・ひろかず) 監督が 

第18回 らぢおHTB・めぐみの館のお客さまでした。 

是枝監督作品を愛するファンの1人として

作品づくりなどについて深くうかがってみたいと思っていたんです。 

この、眼差し。

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この、眼光。

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"ドキュメンタリーは映画らしく

映画はドキュメンタリーらしく撮りたいと思っている" と話す是枝監督、

ひとつひとつの質問に対する答えが、

このまなざしのように、深く、鋭かった。 

きっと、常に、"考える人"なんだと思います。 

今回のインタビューでは、

札幌のシアターキノで公開されるドキュメンタリー番組

『いしぶみ』についてうかがうことになっていたんですが、

作品づくりへのアプローチの仕方や

ご家族への想いなども、深く、語ってくれました。  

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~インタビュー終了後~

(札幌市内某所の会議室。

写真撮影のため、是枝監督の隣に大野が並んだ状態で)

是枝監督 「身長大きいんだね。バレーボールやってた?」

大野 「はい!だいぶ昔ですが」

監督 「私もやってたんですよ。ポジションは?」

大野 「セッターです」

監督 「同じですね」

ディレクター 「 へぇぇぇ。そうなんですね!  ・・・はい、チーズ!」 

パシャッ。

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そして、この後、ご自身のカバンから

一冊のノートをおもむろに取り出して、見せてくれました。 

是枝監督は、日頃から

気になった言葉などをノートに書き留めていて、

作品に反映させています。

大野「もしかしてコレが、その"ノート"ですか?」

監督「はい」

ハガキサイズより少し大きめ。

色は・・・失念。(ごめんなさい><)

見た目は、手帳のよう。 

少し丸みを帯びた文字で、

文章や、断片的な言葉が走り書きされていました。 

インタビュー中、ホームドラマから離れ、

次回作は裁判モノを予定しており、

そのために今、裁判所に通っているとうかがいましたが、

その時に書き留めたメモなんだそうです。

何だか、是枝監督の頭の中を少しのぞかせてもらったような気持ちになりました。

来年くらいにクランクイン、そして公開を目指したいけれど、

公開されなかったら間に合わなかったんだな~、と思って。

このようなことを少し冗談交じりで話してくれた是枝監督。

わたくし、首をなが~くして、公開をお待ちしております!!

(2016年7月30日 Air-g'で放送  らぢおHTB「めぐみの館」放送後記より)

*           *          *

首をなが~くして待っていた"次回作"は、

是枝監督の予告通り、およそ1年後に公開されました。

『三度目の殺人』です。 

それに次ぐ作品が『万引き家族』でした。

是枝監督のまなざし。

海のように深さを感じる目。

"心眼"で物事をとらえているからこそ 

生まれるであろう、含蓄のあるトーク。 

今も、鮮明に思い出されます。