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家政夫のミタゾノ #4【再】

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めぐみ横丁

2018年11月13日(火)

ついに、ついに、、、 
ずっと楽しみにしていた舞台を、観られました! 
演出家・野田秀樹さんが手がける『贋作 桜の森の満開の下』 
1989年の初演以来、何度も再演されている名作です。

桜の森の満開の下1_R.jpg 

もうね、だいぶ経っているんです。観劇した日から。
それなのに、ふとした時に、あの興奮、情景が
頭をよぎるんです。それくらい、すごかった。
ストーリーはここには書きませんが、原作は、こちら。

桜の森の満開の下2_R.jpg 

坂口安吾の短編小説『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』 
この2つの作品を下敷きに、野田さんの解釈で舞台化されています。 

舞台を観る前にこの本を読んで、
真っ先に思ったことがあります。
それは、主人公のひとりである"夜長姫"って
どんな風に表現されるんだろう?ということでした。

10代だけれど、その美しさや突飛な言動で
周りの人たちを翻弄するかのような   
"儚さ"と"愁い"、さらには"狂気"をもあわせもつ女性なんですが、
具体的に頭の中で映像化しようとしても、
あまりにも色んな捉え方ができる人物像のように思えて、
声や佇まいが、立体的に浮かんできません。
『竹取物語』の姫がちらつきましたが、ん~、それもちょっと違う。 
夜通し起きている夜長姫は、愛を求めながらも、孤独感を強く抱いていて、
どこかつかみどころがない。そんな印象。 

でも、舞台上に、着物姿の女優・深津絵里さんが登場した瞬間、
はっとしました。うわっ、夜長姫だ!と、はっきり思ったんです。

純真無垢な美しさ。それとは対局にある狂気。
どちらも、透けてみえました。
深津さんの佇まいから。
さらには、甲高い声の表情に、
絡み合った複雑な感情が如実に表れていました。

はぁぁ。すごかった。すべてのシーンが、美しかった。
こんなにすごいなとしみじみ思える舞台に出会えて、良かった。

桜の森の満開のした33_R.jpg  

そして、舞台『贋作 桜の森の満開の下』の 
音楽を手がけたのは、私が大好きな音楽家・原 摩利彦さん。
夜長姫の感情に寄り添うかのような、余韻のある響きが染み入りました。
舞台美術家・堀尾幸男さんによるセットも、
作品の世界観を豊かに表しているように、強く感じました。

その堀尾さんが手がける舞台美術の模型を集めた展示会が 
先日、HTBも入っている創世スクエア内で開催されていて、
こちらにも行ってきましたよ。 
チームナックスのみなさんのお芝居や、
落語家・立川志の輔さんの高座の舞台装置などもあって、
その一角に・・・ありました、ありました! 
『贋作 桜の森の満開の下』   

桜の森の満開の下 4_R.jpg
中央に桜の大木がどっしりと佇み、花びらが舞っています。
再び、舞台でのシーンが、頭の中でよみがえってきました。 
この桜の木、180度くるっと回転させると、
作品のキーのひとつでもある "ミロクボサツ" の胴体に、早変わり。  

桜の森の満開の下5_R.jpg
本、舞台、音楽、美術 ― 
それぞれの"点"が、自分の中で "線"として繋がりました。 
これは、私にとって、至福の時。