2018年09月12日(水)
前を向いて
頭を垂れた稲穂が広がる水田
千葉県警の女性機動隊は膝から崩れ落ちた。
日曜日の厚真町役場前。
マイクロバスに乗れるだけの人数が急遽募られ
自衛隊先導の元、時間限定で最後の1人の捜索現場に入ることができた。
普段なら10分で行ける道を40分かけて進んだ。
足元はぬかるみ、水田には1メートル以上の土が積み重なる。
山に生えていた松の木は幾重にも折り重なり、
辺りには松ヤニの臭いが漂っていた。
取材終了の2分前、甲高い笛の音が山あいに響く。
重機が止まり、100人規模の捜索隊は一点を見つめた。
帰りのバスの中には、新聞記者のパソコンを叩く音が静かに響いていた。
翌日未明、現場からは1人が見つかり、その後死亡が確認された。
厚真町での死者は36人だった。
地震から6日。物流が止まっても鶏は卵を産み、牛は乳を出し、トマトは育つ。
厚真の水田の稲穂は、空撮で見た地震のあった木曜日より
一昨日の方が色がやや濃く見えた。
自然は強い。
しかし、時に自然は、牙を剥く。
道内では今日から稲刈りが始まった。
HTBは
これからも前を向いて、謙虚に、正確にお伝えしていきます。