2018年12月11日(火)
赤平と共に80年
「炭鉱で働く人のために、味を濃くしたんだよ。
ほかの店ではありえない量の塩をつかっているんだ
味付けはそこから」この道52年の職人は話します。
昨日、80年の歴史に幕を下ろしたパン店があります。
赤平市の「山平菓子舗」
和菓子店から始め、
終戦後、数か月間炭鉱で働いていたイギリス人のために
イギリスの飛行機から落下傘で投下された物資の中に入っていた
小麦粉とイースト菌でパンを作り始めた先代。
この店の名物は、食パン。
昔ながらの小さな型で1日2回焼き上げます。
私も、このパンのファンの一人でした。
口に含むと、まず若干の塩気を感じるパン。
焼いてから2日経ち、3日経つと、その塩気が徐々にパン全体に馴染み。
でも、もっちりとした奥深い味は、焼きたてと変わらず。
「包装紙や保存料がない時代の知恵が、日がたっても味が変わらない理由かな」
3兄弟で支えてきた店。
年齢的にも設備的にも限界を感じ始めていた今年の秋
パン作り担当の一人が肩の腱を切り、年内での完全閉店を決めました。
年末までの予定が、閉店を聞きつけるファンが殺到し
粉の在庫がなくなり、予定を20日ほど早めての店じまい。
「母も、自分も、娘も、孫もみぃんな山平のパンで育った」
「冷凍して、一枚ずつ大事に、大事に食べ続けるよ、年末まで持つかな」
そんな方がたくさん訪れた最終日。
赤平の思い出は、山平のパンと共に。
平成最後、炭鉱マチのパンであったことを
舌に静かに沈み込む塩気でも伝えるマチのパン店。
最後の一日に密着した企画は、今日のイチオシ!ニュースで放送です。