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激論!どうする北海道

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パネリストの主な発言

【討論②】経済協力加速で領土交渉はどうなる?

激論!どうする北海道

ロシアに非常に適性が近い北海道には、色んなチャンスがある。極東地域が地球温暖化の中で、今まで耕作できなかったところが、寒冷地の耕作技術があればできるようになっているところが、どんどん出てきている。そういったところで、北海道の経験とかノウハウが生きてくるのではないかと。(8項目の協力プランは)ロシア国民の生活環境とか、そういったものの向上に資するものが中心。パイプラインとか、いわゆる電力網をつなぐという話は、まだ研究段階という形。できれば平和条約交渉の何らかの進展があって、それがまた経済関係の進展につながっていく、こういう好循環に入ってくれると素晴らしいと思う。(経済協力によって領土返還の道筋は見えてくる?)これは私はコメントする立場ではない。あくまでも私は経済分野の協力ということになる。

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2014年の夏ごろは、1バレル100ドルを超えていた原油価格が、どんどん下がり、去年の暮れには30ドルくらいになっていた。これは私は、アメリカがわざとやったと思っている。何故かというと、クリミア半島の問題でものすごい怒った。でも戦争はできないので、アメリカがまず何をやったかというと、イランの経済制裁を解除した。決定打を与えたのは、去年の暮れにアメリカは、石油ショック以来ずっと禁じてきた米国産原油の輸出を解禁した。ただ、これがずっと続くかというと戻ってきている。ここにきて中東での減産合意が曲がりなりにもできた、でもその中にロシアは入っていない。ロシアは高い値段で売れるという状況になったので、このままいくと、来年ロシア経済が少し生き返ってしまう可能性が高い。だからこそ今回やらないと絶対ダメだと。

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北方領土は、お金で買えない。お金で買えるのであれば、エリツィンさんが、橋本龍太郎総理と会った時に「4島返す」と一瞬口走って、ロシア外務省の人に阻止された。根幹として、主権の問題があるからだ。仮に、経済協力というのは日本にとって唯一のカードなので、これを手放したらソ連もロシアも交渉のテーブルにきていない。しかし、では、金をどんどん出して、経済協力を無限にやって技術協力もやったら、変わるかといったら変わらない。(経済協力で)根本問題は解決されないとフリップに書いたのは、私達が敗戦後、主権とか安全保障の問題を棚上げにする癖がついている。その中で、この北方領土交渉をそのままやっていくと、ロシアが本当に考えていることも理解できない。 経済協力はカードであって、それだけで返ってはこない。主権をどうするかだ。

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それは橋本・エリツィン会談、川奈会談の話。橋本龍太郎総理が択捉島とウルップ島の間に、国境線を引いてくれたらならば、領土の返還の時期は差があってもいい、期限は切らない、1999年に返還された香港方式ではないかと言われた年。その時、ヤストルジェムスキーという大統領補佐官が「大統領、本国に持ち帰りましょう」と言った、こういった話だ。そこで大事なのが、丹波(實)という外務審議官がいて、額賀(福志郎)という官房副長官がいたのだが、この2人が「ちょっと待て、これは首脳同士の話だ。お前が口出すべきじゃない」と言えば、何でもなかった話。これがチャンスとしては残念だったと。

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1956年以降、ソ連あるいはロシアの経済状態が悪い時に、日本に対して秋波というか、関係改善の意向があるかのごとく言ってくる。そこを日本側は捉えて、今までの長い歴史の中でも、ロシアやソ連の態度が困っている時に、何がしかのことをしながら、少しずつだけど前進してきた。クリミアの問題で制裁下にあって、ロシアの立場は決してよくはない。プーチンさんは、そういう時に日本は何かする。直接的に領土交渉に影響することはないだろうが、雰囲気を良くする。交渉だから、互いの国の首脳同士だけではなくて、ビジネス界も国民の間も、ある種の信頼関係、これでいいかなと、この国とこういう関係を結んでいきたいなと、そういうことにならないと最終的にうまくいかない。そういう意味で、互いの国の国民がなるほどなという雰囲気づくりには役立つ。

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政治と経済はどれくらい響くのかという話。経済はどんなに良くなったって、政治が良くならないのは、日中関係をよくみれば明らか。ただし、政治の関係が悪くなった時に、経済的な相互依存が強いほうが抑止になる。そういう意味では、経済的な関係を作ったほうがいい。だが、領土問題が動くかというのは別の話なので、日ロ関係全体を良くするのは絶対いい。領土問題がどうなるかに関わらず、そういう路線に踏み込んでいるというのは、2010年くらいから事実上そういう風に動いている。問題は、ロシアが「経済協力やるのはお宅も利益でしょ」ということ。一番の問題は、これは皆さんに聞きたいが、制裁解除するのだろうか、今度山口での首脳会談で。制裁解除しないで、2兆円の経済協力をするという話は、どう考えても筋が通らない。

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山口で制裁解除するのは無理。来年1月20日の1時から、トランプさんになった時に、オバマ政権のクリミア・ウクライナ東部問題の対応と変えてくる。すでにトランプさんは、台湾のトップと話をするという大胆なことをした。そうすると、当然それを見なくてはならない、それとEUの崩壊をみなくてはいけないから、15日の首脳会談にそれをどうこうするという愚策を、安倍総理がなさることはない。しかし、これからトランプさんによる大きな変化を巧みに活かしたら、日本にとってはとっても大きな、お金の問題とは別の力になる。

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世耕大臣が発言されていたが、一番最後のところで、パイプラインやエネルギーについてはまだ研究段階としていた。単なるこっちから一方的にやるだけの8項目であれば、プーチンさんが言っている通り、「ありがたいことだ」で終わってしまう。相互関係を作っていかないと、そのことを僕は日本側のメリットを十分検討すべきとフリップに書いたが、相互関係をそこに作っていくという分野を作っていかないと、ただただありがたい話で終わってしまうのではないかと。そこをむしろ心配している。

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2018年に、ロシアの大統領選挙が行われる。ここでやはりきちっと勝たなくてはいけない。クリミアとかウクライナからみれば、圧倒的な支持を受けているプーチン大統領が、領土で簡単に譲らないと思っている。我々は主権を取り戻す、あちらは譲らない。8項目の中で、これはほとんど民間サイドの話で、政府がある程度資金的なものも含めて関与するのはあまりない。現実的には、これまでも企業も進出して努力も色々としたが、現実まで至ってないと。ロシアの政府から日本のほうにアプローチがあって、実現されていないが、サハリンの南端・大泊から稚内へ高電圧の送電ケーブルなどを新設し、北海道が供給されている電力を上回るものを提供するという話、3年前に実は提案があるが、ほとんど実現の粋に至ってない。非常に難しい問題を抱えている。

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日本のメディアで、経済協力で食い逃げされるという話をよく書く。ロシアは先進国だから、ODAみたく、日本が直接国民の税金を渡す・貸すという話ではない。すべて民間だ。民間が出る際、銀行が支援する。その銀行に対してJBIC(国際協力銀行)も担保するという話であって、何かしら真水の金を出すかのような議論だが、これは間違いであると整理していかないと。日本の電気で一番のエネルギーの源は、LNG液化天然ガス。これが電力の6割、水力は1割。残り3割が重油あるいは石炭。ますますLNG、環境に優しい、21世紀は環境の世紀だ、いわゆる温暖化防止のためにもLNGの需要が高まる。そうなったらロシアの近くて近い、サハリンで掘られている、あるいはシベリアでも段々開発が進んできているとなると、地政学的に北海道は極めて有利。

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世耕経産大臣が「エネルギーについて慎重に考えている」というのは、技術的みたいなことを言われたが、違うと思う。エネルギーの根っこをロシアに預けた場合、どうなるかという話。ウクライナ問題も元々ロシアからのパイプラインの問題が非常に絡んでいる。電力供給の話もそうだが、エネルギーは本来ベストミックス、つまりエネルギーはばらさなくてはいけないのと同時に、供給源もばらさなくてはいけない。これを大事な北海道についてロシアに依存する、北海道だけではなくて本土の部分もかなり依存する、そういうことに対して安倍政権は警戒的だから、世耕大臣はそういう話をされている。日本のキャッシュを取られるわけではないが、エネルギーのことは切り離して考えなくてはならない。あえて入れてるというのは、プーチンさんが関心強いからだ。

※敬称略、肩書は当時