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幸せハッピー撮影日記 > 残りわずか

残りわずか

2012年8月22日(水)

先週の日曜日から撮影が始まって、今日は水曜日なんですか。もうさっぱりわかりません。

東京で作られるドラマと違って、我々にはスタジオというものがありません。すべて、実際の町の中で、その日の天候の中で、オールロケーションで撮影されます。

先日の商店街のシーンでは、朝から大雨が降り、急遽スタッフが雨よけの屋根を作って撮影するという、そんな事態も起こりました。

しかし、海辺のシーンでは、そんな小細工は通用しません。そこで我々は、作家青木豪に、海が晴天の場合、曇りの場合、その中間のなんとなーく曇ってる場合まで、数パターンのセリフを用意してもらうという下準備までして撮影にのぞみました。

ところが、室蘭に来て、予想もしなかった事態が起きました。朝から深い霧でまわりがなんにも見えなくなってしまったのです。普通なら「天候待ち」ということで、撮影は中断されるか、延期されるわけですが、私はふと思ったのです。このシーンは、霧が出ていても、逆にこの霧を利用することができるのではないかと。嬉野さんはすぐさま青木豪にメールを打ちました。「青木さん、現場は霧が出ています」と。「セリフを変えられませんか」と。すると青木豪からすぐに2パターンのセリフ変更案が送られてきました。そのうちのひとつは、そのシーンがガラリと変わる大胆なものでした。しかし、我々は「なるほど」と思ったのです。青木豪自身も、むしろこのぐらい変えてしまった方がいいという意見でした。役者さんにそれを伝え、その場で見事に対応していただき、このシーンはちゃんと成立しました。

ものの数10分ですぐに対応してくれる作家の力量、役者の力量、そんな力に支えられて、オールロケーションのドラマ「幸せハッピー」は、明日いよいよ最後の芝居部分の撮影を迎えます。

藤村 忠寿