now onair

13:50

特捜9 season6 #4【再】 新シリーズは毎週水曜よる9時~放送中!

NEXT

高齢化で解散する北海道被爆者協会 84歳の語り部に高校生から届いた1通のメールとは

原爆の被害を伝え、核兵器の廃絶を訴えてきた北海道被爆者協会が、会員の高齢化のため、3月31日をもって解散します。被爆の記憶をどう語り継ぐのか。札幌の語り部の男性とその思いを受け継ごうとする高校生を取材しました。
札幌市に住む大村一夫さん84歳。北海道被爆者協会に所属する語り部の一人です。5歳の頃の写真4歳の時、爆心地から1.6キロ離れた自宅で被爆しました。この日は札幌市内の中学校で自身の体験を伝えました。

《「2度とあってはならない」自身の経験を伝える語り部活動》
■大村一夫さん「ブーンと音がしたと同時に、それこそ皆さんが知っているぴかーっという、あまり大きい窓がなかったんですけど大閃光とともにうちは吹っ飛びました。ほこりがしずまる頃、あかりをめがけて柱の隙間を縫って出ました。外に出たら近所の街並みが全部爆風で消えていました」

家族はみな無事でしたが大村さんは被爆から3年後、原因不明の高熱を発症し、1年半にわたって病床に伏しました。それから何十年も、被爆の後遺症による恐怖に苦しみ続けました。このような苦しみは2度とあってはならないと、大村さんは8年前から語り部の活動に参加しました。

■大村さん「いつ発症するかわからない。このような苦しみは2度とあってはならない。その恐怖に常におびえながら、自分の心の中では『努力しても報われる普通の人ではないよ』と、『あなたは努力しても間に合わないよ、時間がないよ』って」

《高齢化…ノーベル平和賞受賞も既に解散が決まる》
去年12月、広島・長崎で原爆被害を受けた被爆者の全国組織、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者が核兵器廃絶のために訴え続けた「語り部活動」などが評価されました。北海道被爆者協会も道民に向けた報告会を開き、平和賞受賞の喜びを語りました。しかし、この時既に北海道被爆者協会の解散が決まっていました。会員である被爆者のほとんどが80歳以上となり、去年5月に会としての活動を3月31日までとすることを決議したのです。大村さんは「いずれくる話だから仕方ないと思ったりする」と語りました。

《1通のメール・・・新たなバトン》
解散を公表した後、被爆者協会のもとに一通のメールが届きました。「被爆体験を後世に残す活動をしたいです」と記されていました。メールの送り主は札幌の高校2年生、上坂芽生さんです。上坂さんは、中学3年生の時に大村さんの被爆体験を聞いたのをきっかけに、高校生になって「北海道高校生平和大使」として国連や被爆地で核兵器廃絶を訴える活動をしてきました。

■上坂芽生さん「なんとなくいつか来るであろう被爆者なき時代が、本当に目の前にあるのかもしれないと危機感を持っていた」

上坂さんは語り部の活動を継承したいと申し出て、さっそく来年度から上坂さんが大村さんの体験を伝える活動が決まりました。

■大村さん「こういう気持ちになってくれる人が今まで誰もいなかったということがすごく寂しかったんだけど、いるんだなっていうことをわかっただけで自分がやってきた価値があるなと思ってるから、何とかこの小さな火種でも大きな火種なるように、手を挙げてくれることが私たちの望みだという気持ちもあるし、嬉しかったです」
■上坂さん「生き残った人たちはどういう風に今までいろんな苦しみを抱えたり隠したりしながら生きてきたのかというところは、きっと教科書では教えてくれないところで、ものすごく大事なところだと私は思っているので、きちんと伝えたい」

《被爆ピアノコンサート》
29日、札幌駅前通地下歩行空間でコンサートが開かれました。ピアノ演奏で使っているのは広島の爆心地からおよそ3キロ以内で焼け残り、修復された「被爆ピアノ」です。戦後80年の節目に、平和を考えるきっかけをつくろうと上坂さんら札幌の高校生が企画しました。
■上坂さん「少しでも多くの方々に平和ってなんだろうとか、戦争とか被ばくってこういうことなんだなって、いろんな傷を負ったピアノからくみ取ってもらえることは多いかなと思うので、音楽を通して平和について考えるきっかけになればいいかなと思っています」

■観客「知らなくて通りかかったんですけど、すっごい感動しました。これから自分もいろんな意味で考えていかないといけないことがいっぱいあるなと思いました」
■観客「北海道から離れた場所で起きた出来事だと思わずに、自分事として考えるきっかけというところで、またピアノという身近なところで感じやすいかなと思って、平和を考えていけるかなと思って、子供にも伝えていきたい」
■上坂さん「私のこの活動とか大村さんの話もそうだが、一つの軸に次世代とかいろんな方に平和を広めていくというところがあるので、いろんなところに根を張っていろんなところで種をまけたらと考えています」

合わせて読みたい

HTB天気予報士
イチオシ!動画ポスト
HTB天気予報士
奇跡の子
テレメンタリー2024 知床沖観光船事故 2年後の影響 全国アンケート調査
NEWS onチャンネル
HTB NEWS LINE公式アカウント
みんなで防災!HTBポータルサイト

その他のニュース

一覧の続きを表示
htb