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函館の歴史的建造物 4分の1が空き家に!? 人気の街並みが危機的状況 莫大な改修費に相続問題 打開策は?

異国情緒あふれる街並みが魅力の函館。そこで今、歴史的建造物の空き家が問題になっています。一体、何が起きているのでしょうか?

函館市の西部地区。洋風建築などが建ち、人気の観光スポットです。西部地区は、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に北海道で唯一指定されています。

函館市 西部地区
函館市 西部地区

観光客:「函館はいい場所ですね。景色もいいし、雰囲気もあってすごくいい」「昔ながらの街並みと若い方もたくさんいて、とてもいい街だなと思いました」

西部地区の歴史的建造物は、およそ130軒。古民家を改装したカフェやホテル、歴史的建造物をそのまま利用した店舗も年々増えていて、レトロな雰囲気が魅力となっています。

OZIO本店・本部光之さん:「うちの作家の描く動物と革製品が、建物とマッチするのではと始めたら、すごく雰囲気に合った」

橋谷家住宅
橋谷家住宅

実は今、この歴史的な街並みが危機的な状況にさらされています。人口減少と共に、古い建物を維持管理する人も年々減り続け、現在、西部地区の歴史的建造物およそ130軒のうち、およそ4分の1が空き家です。

最も古い建物で、築およそ140年の「橋谷家住宅」。明治時代に海運業で財を成した商家の邸宅で、敷地には和洋折衷の建物5棟が並びます。現在は会社で建物を管理していますが、代表は札幌に住んでいて、およそ40年前から空き家となっています。

管理人・田村宗さん:「湿気が下にたまっていて」
前田愛奈記者:「少し踏むだけでギシギシと音がしますね」

人が住まなくなってから、建物の老朽化が加速。至るところで、ゆがみが出ていました。

田村さん:「季節が変わるごとに歩いてみると、だいぶ傾き強くなっているなっていうのは気が付きます」

洋館の方に移動してみると、床板が剥がされ地面が見えていました。基礎の木材が腐り、建物が倒れる危険性があったため、去年、補修工事を行ったということです。

田村さん:「何とか今ギリギリ保っているような状況だったが、本当に早く修繕しないと、いつ倒れてもおかしくない」

函館市から補助金1200万円を受け、最低限の補修工事を行いましたが、今後も建物を維持管理するとなると、さらに莫大な費用がかかる見通しです。建物を所有する会社の代表はー。

橋谷秀一社長:「洋館と店蔵の部分、この2カ所を修正するだけでも5000~6000万円ぐらい。基礎のところからやると、もっとかかる。(市の補助金は)足りないです」

「橋谷家住宅」を後世に残すため、今後、観光庁の補助金を受けて飲食店にリノベーションする計画だということです。

旧相馬家住宅
旧相馬家住宅

歴史的建造物を個人で管理するのは、さらに大変です。1908年、北海道屈指の豪商が建てた「旧相馬家住宅」。和と洋が調和した近代建築が高く評価され、2018年、国の重要文化財に指定されました。

所有者の東出伸司さん(85)。競売にかけられ、解体の危機にあった建物を2009年、1億円で購入。一般公開に踏み切るなどして、維持管理してきました。

入館料で運営費は賄うことはできましたが、これまでかかった改修費はおよそ1億円。函館市の補助金を活用しても、半額のおよそ5000万円は個人で負担しました。建物にほれ込んで続けてきましたが、高齢となり、5年前から後継者を探していました。

所有者・東出伸司さん
所有者・東出伸司さん

東出伸司さん:「毎日苦しみの連続だった。朝起きても寝ても、どうする、こうする、あそこはどうする…。1日何人入ってくれるのか、そればっかりで16年過ぎた」

来月、東京の会社に売却することが決まり、その後、建物の一部はホテルになる予定です。

東出さん:「(今の街は)まさに過渡期。過渡期じゃないなら、駄目になる寸前。これ以上それ(空き家)にしちゃ駄目」

小森家住宅
小森家住宅

建物が傷む前になんとかしようと、動き出した人もいます。築122年の「小森家住宅」。店舗を兼ねた住宅で、8年前まで古物商を営んでいました。

小森健良さん:「昔はここに廊下があって。僕が小さい時は、そうだったんですけれど」

小森健良さん(66)。父親が6年前に他界。2年前には母親が施設に入り、空き家になった実家を時々片付けに来ています。

小森さん:「(自分が)住むとしても、夏のエアコンもなければ、お風呂も付いていない。住むかと言われると、また新たに手をかけないといけないので、ちょっと一歩足が出ない」

小森健良さん
小森健良さん

小森さん:「窓は観音開きで、開放感があって気持ちいいです。友達と話したり『おーい』って」

思い出が詰まった家を、今すぐ手放すつもりはありませんが、建物の価値を損なわずに残す方法はないか、家族で相談していると言います。

小森さん:「こういう状態を保ってもらって、『函館らしいこういうところを残していきたい』と言ってもらえれば。(大切なのは)誰かが守っていくことじゃないかと思う」

小森さんのように、早めに対策を取る人は多くはありません。空き家の多くは、所有者が亡くなった後、所有権が複数の親族に移ることで、問題が複雑化すると不動産業者は指摘します。

箱バル不動産・蒲生寛之代表:「子どもたちがきょうだいであれば、複数名に所有権が移っていくが、必ずしもきょうだい皆が連絡も取り合える状態じゃないこともある。皆さんの同意を得ることが難しかったり、様々な事情があって売りたくても売れない。売れ残ってるというよりは、売りたくても売れないという状況は、このエリアには多い」

多くが築100年を超える、西部地区の歴史的建造物。空き家になれば老朽化は一気に加速し、この街並みは失われていきます。函館の魅力を守るための対策が急がれます。

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