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「息子を待ち続けたい」 知床沖観光船沈没事故から3年 行方不明の男の子の父親 追悼式への参加に迷い

26人が死亡・行方不明となっている、北海道・知床沖の観光船沈没事故から23日で3年となりました。多くの乗客家族は、「今も時間が止まったまま」だと話しています。

未曽有の事故から3年。斜里町ウトロには、朝から献花台が設けられ、地元の人らが手を合わせていました。

家族の支援を続ける杉浦登市さん:「長かったようで、あっという間の3年でした。日が過ぎるたびに忘れ去られないようにしていきたいと思っています」。

捜索ボランティア・桜井憲二さん:「被害者家族と話をするんですが、被害者家族にとってはついこの間のことなんだなと思いますね」。

2022年4月23日、知床。小型観光船「KAZU I」は、深さおよそ120mの海の底に沈みました。これまでに、乗客乗員20人の死亡が確認された一方、3年が経った今も6人の行方は分からないままです。

行方不明の乗客・凛くんの父親:「もしそばにいてくれたら、もう5年生になってたんだなって。5年生の凛はどんなふうだったのかなって」。

乗客の一人・凛くん、当時7歳。帯広に住む父親は、今も帰りを待ち続けています。

1月27日の凛くんの誕生日。父親は、今年もお祝いしました。

凛くんの父親:「毎年買っているフルーツケーキを買って、ろうそくを10本立てて凛の机の上に置いて。『凛、誕生日おめでとう』って、それだけです。伝えたのは」。

4月23日。父親は去年も、おととしもウトロには行きましたが、追悼式典に出席しませんでした。今年も、複雑な思いを抱えたままです。

父親:「やっぱり、待ち続けたいという気持ちが強いです。どうしても『追悼』という気持ちにはなれないというのがあって、ずっと式への参加は迷っています」。

午後1時から始まった追悼式。乗客家族、町の関係者らおよそ120人が参列しました。

運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長からは、これまで毎年、花が贈られていましたが、今年は会場にその名前はありませんでした。

斜里町・山内浩彰町長:「この事故と向き合い、家族に寄り添いたいという思いで過ごしてきましたが、寄り添うとはどういうことか。気持ちや行動の表し方を問い続ける日々でもありました」。

花を手向ける、乗客の家族たち。その中に、凛くんの父親の姿はありませんでした。

父親:「帰ってくる可能性というか、生存の可能性は低いんですけれど、変わらず待ち続けたい。そういう気持ちがあるので、今年も追悼式には参加しませんでした」。

父親が思いを馳せる場所として選んだのは、凛くんが「KAZU I」に乗り込んだ漁港でした。

父親:「きっと知床の自然を見るのを楽しみにして。きれいな景色をみんな楽しみにして、そういう気持ちでここから出発していったと思います」。

この3年で、運航会社の桂田社長は業務上過失致死の罪で起訴され、乗客家族らが運航会社と社長に損害賠償を求めた裁判も始まりました。桂田社長が、公の場で事故について語ったのは発生4日後の会見一度きり。家族は、桂田社長が自らの言葉で説明する日を待っています。

凛くんの父親:「言い訳ばかりしていないで、きちんと自分の罪を認めて、しっかりと責任を取ってもらいたい」。

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