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【財政危機のマチ】頼みの綱は「ふるさと納税」…サービス低下に住民不安 元北見市長が指摘する「無駄」

■櫻井靖大記者:
「こちら白いテープが巻かれて入れないようになっています。正面の門も固く閉ざされています。」「こちらの体育館も入ることができません」

「財政危機のマチ」で施設はつぎつぎと閉鎖し始めていました。

■北見市民:「まだこれからだね。いろんな意味で直面していくのは。
」「『やっぱり北見は素敵だ』と(市民が)思わないと、どんどん人が出ていきますよ」かつての市長も苦言を呈します。

■元北見市長:
「そんな1年でこんな何十億も赤字の話が出てくるってのはちょっと違う」

2024年、突然明るみに出た北見市の深刻な財政難。これまで当たり前だったことが少しずつ変わりはじめています。

■櫻井記者:
「こちら夏場は水が出る噴水ですがいまはシートで覆われてしまっています」

去年11月、今のままでは毎年30億円以上の財源不足となることを明らかにした北見市。支出削減を迫られ、4月からさまざまな住民サービスに影響が出始めています。市内に19ある水遊びができる施設も、今年は5つに…これで年700万円ほどの節約になるそうです。

■北見市民:
「子供の遊ぶ場所ぐらいはしっかりと確保してほしいなっていう気持ちが正直」
「お金がないから仕方がないけど寂しい」

さらに4月からは60年近く続いた市営の保育園も閉園し、55年間、スポーツやイベントなど、およそ180万人が利用してきた施設も閉鎖されました。
市内に45か所ほどある市営住宅の草刈りも廃止雑草はすでに1メートルほどの高さになっていました。

今月の議会では、市の施設の利用料を値上げすることが決まりました。子供が集まる遊園地やプールなどの利用料金は今年の10月から指定ゴミ袋の価格は来年10月からそれぞれ1.5倍となります。
一番大きいサイズは10枚1350円。
買いだめも予想されるものの、値上げ後に、これまでと同じごみ袋を使えるかはまだ決まっていません。徐々に悪化する住民サービス。この状況に市民は不安を隠せません。

■北見市民:
「今子供いる家庭、このままきみに住むのかなって。正直子育て世代は多分これからどんどん辛くなると。」
「(財政破綻した)夕張のようにならないでほしい」

なぜここまでの状況に陥ったのでしょうか。
2006年、周辺の3つのマチと合併し、道内で最も広い市町村になった北見市。
人口は合併当時の12万8000人から現在は11万ほどにまで減少。
税収が減る一方、広大なエリアに残るインフラの維持などが重荷になっています。
市の管理する道路は全部でおよそ1800キロ、札幌から鹿児島まで届く長さです。
人口一人当たりの長さは札幌のおよそ6倍にのぼります。

■北見市道路管理課 中南力課長:
「道路が全体的にもう老朽化が進んでて、補修が追いついてないっていうのがまず第一にある」「物価高とかいろんな状況があって、やっぱり年々、同じ工事をやるにしても、金額としてはもう年々やっぱりこう上がってきてる」老朽化は公共施設でも進み、維持費用は合併当時と比べて年間およそ20億円増えています。

■櫻井記者:

「駅前は結構シャッターが閉まっていますがそこを抜けると市役所の庁舎があります。」

2021年、118億円かけて建てられた7階建ての新庁舎。借りた金額の7割を国が負担する合併特例債を活用して建てられました。市民が負担を強いられるいま、この新しい庁舎に不満が向けられます。

■市民:
「(市民が)使ってるのほぼ1階ですよね。たまに選挙とかで2階行きますけど、何のためにでっかい建物作ったんですか。って」

合併してからは他にも35億円かけて中央図書館、25億円で市民プールが建てられるなど新しい施設が次々とできました。

3割の負担とはいっても借金することに変わりはありません。
2023年度の返済額は10年前の5.5億円の3倍以上にのぼる17.2億円。合併特例債を活用した施設が、今となっては財政を圧迫しています。

2008年から4年間、市長を務めた小谷毎彦さん。当時、もともと庁舎があった場所にコンパクトな新庁舎を建て、入りきらない部署を別の建物に分散することを公約としていましたが、市議会の反対を受けて、断念しました。
■小谷毎彦 元北見市長:
「建物を小さくコンパクトにすることによってできるよねっていう話をしても、議会は受け入れてくれなかった。」「新庁舎は土地を買ってまでやったんだから。」「あの場所にあんだけの施設がいるのかな。」

小谷さんは市の「無駄の多さ」も指摘します。
北見市の組織図をみると、合併から20年近くたった今も元の北見市、端野町、常呂町、留辺蘂町にそれぞれ全国でも異例の「自治区」を置いています。それぞれ町長役となる自治区長を置き、その下に総合支所や各部署が並びます合併の主な目的でもある、行政のコンパクト化やコスト削減が進んでいません。
■小谷毎彦 元北見市長:

「合併すれば、例えば土木課長ってのは1人でいいはずなのに4人もいるとかさ、それはやっぱ無駄だと思うんです。」

「自治区で成り立っちゃってるから、合併してとして1つになってないんだと思うんです。
」北見市は今年度の歳出の削減や収入を増やすことでおよそ19億円の財政の改善を計画、このうち公共施設の値上げなどで増収分としておよそ3

億2000万円を見込んでいます。
頼みの綱としているのが「ふるさと納税」です。
昨年度、過去最高の31億円を記録しましたが今年の計画はそれをはるかに上回る50億円。
担当者はここまでは順調だと話します。

■ふるさと納税推進担当関谷剛係長:
「昨年と比べて違うのは、ホタテが4月、5月、今年度は出品できてなかったところですが、6月下旬からですね、ホタテの方、事業者様の協力のもと再開させていただいてますので、これから巻き返し。」

かつてない財政危機に直面しているオホーツク最大のマチ。
市は3年で財政健全化を目指しますが、先行きの見えぬ状況に市民の不安は増す一方です。

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