【選託 参院選2025】注目争点”コメ高騰対策” 消費者・農家それぞれの”適正価格”の落としどころは?
2025年 7月 9日 16:37 掲載
参議院選挙の注目の争点の一つがコメ高騰への対策です。消費者、農家、それぞれにとっての適正価格の落としどころはどこにあるのでしょうか
■永山友菜記者:
「旭川市内のスーパーでは、3400円台から4200円台のコメが並んでいます。」
「令和のコメ騒動」はいつ終わるのでしょうか。随意契約による政府備蓄米の流通により、全国のスーパーのコメの平均価格は5kg3672円と6週連続の値下がり。一方、銘柄米は、いまだ4000円台と高値が続いています。消費者にとっての「適正な価格」とは?スーパーで聞きました。
■買い物客(2500円希望):
「本当は前くらいに戻ってほしい、2000円とか。これくらいだと全然ちゅうちょなく買えるかな。」
■買い物客(2800円希望):
「肥料とかも上がっているので、上がるのはしょうがないんですけど、3000円を超えない程度で抑えてほしいなと思います。」
5kg2000円台を求める声が目立ちました。ただ、農家には事情が異なります。旭川市のコメ農家の山川竜生さん。先行きが見通せないコメ価格に、経営面での不安は隠せません。
■山川農園山川竜生さん:
「適正な価格で長く続いてくれれば、こちらも生産計画が立てやすいですし、そこが変動すると、振り回される形。」
両親と妻と4人の家族経営。高齢の両親に農作業の負担は大きく、今年から自動運転のトラクターを導入しました。
■山川農園山川竜生さん:
「もう一台のトラクターを自分が有人で作業して、その隣で無人のトラクターが同じ作業をする。」
(Q2倍のスピードぐらいでできる?)
「そうですね」
この自動運転トラクター、1台およそ1800万円。市から120万円ほどスマート農業関連の補助金が出ていますが、コメの価格が不安定な今の状況では、必要な投資にも大きなリスクが伴います。
■山川農園山川竜生さん:
「投資したはいいけど、回収できない状況がこれからあるかもしれないので、そこが心配しているところですね。」
農家の高齢化により、JAあさひかわではこの20年で200軒ほどが離農しました。なり手の確保にも関わる安定経営のためには、5kgあたり3000円から3500円が適正だと言います。
■JAあさひかわ上原由大さん:
「これまでの米価が高騰する前の価格だと、赤字経営になっている農家さんも散見されるような、そのような状況だったので、やはり再生産価格っていうところを、長く安定的に進んでくれたらいいなと願っています。」
2000円台を求める消費者と、3000円台を求める生産者。落としどころは・・・
■小泉農水大臣(6日):
「いただきます。塩加減も最高で、もちもち。ふっくら。」
6日に北斗市のコメ農家と意見交換をした小泉農水大臣。農家からは、備蓄米放出による過度な価格下落を心配する声があがりました。
■農家:
「生産者は下がってきたので、でき秋の米の米価が下がるんじゃないかと、大変不安に思っていますので。」
■小泉農水大臣:
「今下げのトレンドに入ってきているので、今後しっかりと生産者の皆さんが大丈夫だと、安心して増産に向かえるようにしっかりとメッセージを発信していきたいです。」
専門家は、備蓄米の放出だけではなく、政府のコメ政策を根本的に見直す時期にきていると話します。
■佐々田博教北大教授:
「いわゆる減反政策、コメの生産調整が実質的に行われているので、ここに手をつけていく必要がある。市場の需要に合うような生産体制を、きちんと確立できるような政策に徐々に変えていく必要がある。」
■スタジオ
森アナウンサー:
では、各党のコメ政策についての選挙公約です。
まずは、「自民党」と「公明党」の与党は、生産基盤を整えるなどして農家所得を向上するとしています。そして、「立憲民主党」は新たな直接支払制度を創設し、就農支援金を10倍にするとしています。「日本維新の会」は「参農支援」。新たに農業に参入する人への支援を行うとしています。
「国民民主党」は農家に対し、10アール当たり1万5000円を直接支払うとしています。そして「れいわ新選組」は、国による価格保障や農家への直接支払いを公約。「共産党」は大小様々な規模の農業経営の支援などを掲げています。「参政党」は1次産業従事者の公務員化を進めるとしています。「日本保守党」は就業人口の増大を目指していて、社民党は若年層の新規参入の支援などを挙げています。