「確実に2頭以上は出没」周辺で複数頭のクマの痕跡を確認 北海道福島町、新聞配達員死亡で厳戒態勢
2025年 7月14日 18:51 掲載
12日、北海道の福島町で新聞を配達していた男性がクマに襲われ死亡しました。
町内ではクマの目撃が相次いでいて、少なくとも2頭以上のクマが出没していると見られています。
草むらをゆっくりと歩くクマ。
今月10日午後9時ごろ、福島町月崎の住宅街に設置されたセンサーカメラが捉えた映像です。
「ここをこう通っていった」
住人は驚きを隠せません。
住人)
「(Q:映っているの見てどう思った?)震えましたね。もう本当に『え~』と思って。警戒しているような歩き方じゃなくて完全に何かを探している」。
前田愛奈記者)
「スーパーのごみを入れていた物置です。クマに体当たりされて大きく凹んだあとが残っています」。
物置の前に散乱するごみ。午前8時ごろ、福島町三岳にあるスーパーのごみを入れてあった物置がクマに荒らされているのが見つかりました。
物置にはかぎがかかっていましたが、クマが体当たりして壊したとみられています。
今月に入り住宅街でクマの目撃が相次いでいた福島町。12日、痛ましい事故が起きてしまいました。
通報)
「新聞配達員がクマに襲われやぶに引きづられていった」。
午前3時前、福島町三岳の住宅街で新聞配達中の佐藤研樹さん(52)がクマに襲われました。
目撃者)
「玄関のドアをあけたらクマが人にかぶさっているのを見た」。
通報者「(クマは)1.5メートル中腰とかでもかなり大きかったので」。
前田愛奈記者)
「クマが男性を引きずったとみられる跡が残っています。住宅地から道路を挟んで草地へと続いています」。
通報からおよそ2時間後、佐藤さんは最初に襲われた場所からおよそ100メートル離れたやぶの中で見つかり、その場で死亡が確認されました。警察によりますと腹を中心にクマにかまれた跡があったということです。
クマの生態に詳しい専門家は
酪農学園大学 佐藤喜和教授)
「クマと人との事故は多くの場合はばったり遭遇したときに防衛的に人を襲うパターンが多いわけですけども今回の場合は襲ったあとに引きずってやぶの中まで運んでいるということで、積極的に人を襲い、人を確保しようとした行動にも見えます」。
前田愛奈記者)
「佐藤さんは20年以上新聞配達員として働いていました。とても真面目だったということです」。
佐藤さんは2、3日前にも自宅の近くでクマを目撃していたと同僚に話していました。
新聞配達の後のコンブ漁のアルバイトのため、この時期はいつもより速く、午前1時半ごろから新聞配達をしていたといいます。
佐藤さんの同僚)
「電話したのよ来ないから。どうしたんだべなって。電話したけど出なかったのよ」、「かわいそうでどうもなんない。頭からは離れない、亡くなってから」。
ただ、佐藤さんが見つかったやぶの中から、クマは見つかりませんでした。
前田愛奈記者)
「いま専門家が現地調査へと入って行きました。クマの痕跡などを調べていきます」。
14日、現場では道総研の研究員が調査に入り、クマのフンや毛などの痕跡を調べました。
14日あさ、町内の小学校では車で子どもたちを送る保護者の姿もありました。
保護者)
「こわいですね、いつ子どもが学校に行く最中に襲われたりするのも不安だし自分自身も、目の前にいたら怖いかな」。
福島小学校 長浦紀華校長)
「外での活動は一切安定するまでは中止ということで、命が一番ですから、安全第一で進めていきたいと思います」。
道は3年前に制度ができてから初めてとなる「ヒグマ警報」を福島町全域に出しました。町は佐藤さんを襲ったクマを駆除する方針を固めています。
先ほど、現場調査を行った道と道総研が取材に応じました。
エネルギー環境地質研究所 釣賀一二三主査)
「出没現場を午前2カ所、午後4カ所見た。何カ所かではクマの足跡が残っていて、何種類かのサイズの足跡を確認。大まかにみて2種類くらいの足跡で大型のものと小型のもので計測。少なくとも2種類見つかっているので確実に2頭以上は出没していた」