1.55秒の間に3桁の数字が15回表示でも正解…「フラッシュ暗算」日本一男性の素顔 北海道浦河町
2025年 7月23日 19:12 掲載
目にもとまらぬ速さで表示される数字。紙もペンもなしに次々と暗算。
そのスピードを競う「フラッシュ暗算」です。
日本でイチバンの暗算スピードを持つ浦河町の男性が北海道に。
その強さに迫ります。
■森唯菜アナウンサー:
「森と申します。よろしくお願いします。」
北海道浦河町に住む浅野貴広さん29歳。去年、京都府で開催されたそろばんの全国大会「全日本珠算選手権大会」に出場。
画面に次々と表示される数字を暗算し、その速さを競う「フラッシュ暗算競技」で見事、3度目の日本一に輝きました。
■森アナ:
「おお~~。盾にトロフィーに、まぶしい」
■浅野貴広さん:
「別に嫌味を言うわけじゃないんですけど、ここにあるのは正直ほんの一部でして、実際にはたぶん5倍くらいあるかな」
これまで数々のそろばんの大会に出場。トロフィーや盾は500個ほどあるそうです。浅野さんがフラッシュ暗算でイチバンをつかみ取った記録は「1.55秒」。1.55秒の間に3桁の数字が15回出てくる速さです。
■森アナ(画面を見て):
「あははははは。わかんない。わかんないし一回まばたきしちゃって見えなかった」
■浅野さん:
「まばたきしたら7、8個出ちゃうんじゃないですかね」
■森アナ:
「次の数字が出たときに残像が残ってて、速すぎて、まったく認識できなった」
素早い計算力だけでなく高い集中力も求められるフラッシュ暗算。なぜこんなにも速く計算できるのでしょうか。
■森アナ:「計算というのはそろばんが基準なんですか?」
■浅野さん:
「そろばんが完全に頭にイメージ、浮かんでいまして、瞬間的にはじいて計算するということです。世の中の数字を見るとほんとうにすべて無意識のうちに機械的に頭の中でそろばんのたまに切り替わっているというイメージです」
想像以上の速さに驚きを隠せない森アナ。恒例の挑戦タイムは、1桁のフラッシュ暗算で臨みます。
■森唯菜アナ:
「ぶっつけ?鬼だな今日のクルーは。緊張するー。」
■浅野さん:
4秒間で1桁の数字が15個出てきます。ひとつの数字が表示されている時間が約0.137秒くらいですかね」
■森唯菜アナ:
「はやっ計算」(唯菜さん挑戦)
■唯菜さん:「だめだこりゃ。だめだ。何も書けない。7と5しか書けなかった。すごいですね本当に。3桁で1.5ぎょ。…口も回らなくなっちゃった」
やはり、歯が立ちませんでした。そこで、4秒間に1桁の数字が8回出てくる入門用のスピードで再挑戦です。
■森唯菜アナ:
「(答えは)30!」
■浅野貴広さん:
「答えオープンします」
■森唯菜アナ:
「しゃあっ!30!」
■浅野貴広さん:
「ばっちりです」
■スタッフ:
「これはありですか?」
■浅野貴広さん:
「本当はダメかも。いやでも、競技では書いていて間に合う問題が出ないので、ありかどうかが僕は明確にわからなくてすみません。」
■スタッフ:
「唯菜さん、失格です」
■森唯菜アナ:「これしかできない。出るものをメモしないとついていけません」
***
浅野さんは地元・浦河町の日高信用金庫で主に株や債券の売買を担当しています。
■森アナ:
「今はどんな作業をしているんですか?」
■浅野さん:
「毎朝証券会社から送られてくるレポートを読んでいたところです」
日々、億単位の数字を扱う仕事です。この仕事に欠かせないという電卓が、浅野さんのデスクには見当たりません。
■浅野さん:
「いくらで売ったらいくら儲かる、損するというのは見たらすぐにわかっちゃうので、それはエクセルたたけば出るんでしょうけど、開く必要もなく僕はすぐに出るのでそこは便利かなと」
■浅野さんの直属の上司・川村貴光さん:
「私たちはこういうふうに電卓を職員一人ひとつは持っていると思うが、電卓持っていない職員は初めて見ましたね」
会社の上司も舌を巻く浅野さんの暗算力。日本一の実力を持つ浅野さんですが、はじめは全くそろばんに興味を示さなかったといいます。
■浅野貴広さん:
「全然やりたくて始めたわけではなくて、必然的にというか強制的にやらされたという感じ」
小学校入学と同時にはじめたそろばん。きっかけは、自宅のそろばん教室で講師をしていた母親からのすすめでした。
小学2年の頃から大会に出るようになり、そろばんの世界にのめりこんでいくようになりました。その後どんどん成績を伸ばし、小学5年の頃には道内の小学生でイチバンに。
大学2年で初めて日本一に輝きました。
計算の速さは、ギネス世界記録に認定されたこともあります。この成長ぶりには母親の亮子さんも驚いたといいます。
■浅野亮子さん:
「まさかここまで伸びるというのは予想外でした。/最初は私が生んだ子なんでしょうかという感じで。教えていく上での私の自信にもなりました。私が力をもらったような気もしますね」
AIなどが発達してい時代に、そろばんにこだわる理由は。
■浅野さん:
「優勝したら『よっし今回でまたどこかテレビに出られるぞ』と、そういうことが真っ先に頭に浮かぶ性格なので、なにより優勝して注目される、それが一番のよろこびではあります」
長年磨き上げてきたそろばんの技。次世代へと広める活動もてがけています。年に数回、日高地方の小学校でフラッシュ暗算を披露し、子どもたちがそろばんに親しむきっかけづくりをおこなっています。
■浅野さん:
「技能を見せたときにものすごい反応を見せてくれるのでそれで興味を持っていただけたらうれしいなと思います」
■森唯菜アナ:
「将来的にそろばん・暗算の世界がどうなってほしいと思いますか?」
■浅野さん:
「皆さんちゃんと訓練すればできるようになるのがそろばんのすごさなので、もっともっとそろばんが広がってほしい、そろばん人口が増えればと思ってます」