小樽の観光名所「青の洞窟」土砂崩落で進入中止も…一部観光船業者が洞窟進入を継続「安全確認した」
2025年 7月28日 18:45 掲載
小樽の人気観光ツアーの一つ青の洞窟クルーズ。塩谷地区とオタモイ地区の間に位置する洞窟の中には青く輝く水面が広がり、神秘的な景色を楽しむことができます。
しかしいま、この洞窟に入らないよう注意が呼びかけられているんです。
本間壮惟記者)
「小樽運河の前にある観光船業者です。注意書きには『青の洞窟は土砂崩落により大変危険な状況のため中に入ることができません』と書かれています」
崩落は今月17日の午後2時半ごろに発生しました。入口と出口が別々になっている青の洞窟。当時、洞窟の中には観光船1隻が入っていました。
洞窟の外では2隻の観光船が待機していましたが、およそ100メートルの高さの崖から2メートルほどの岩などを含む土砂が洞窟の出口付近に落下してきたといいます。
青の洞窟・窓岩周辺海域等利用協議会 向井伸夫会長)
「その時通行してる船がなかったのでけが人とかはなかったんですけど、船がおそらく沈没するぐらいの破壊力があるものが落ちてきたんで、これは危険だなということで」
今後も落石が発生する可能性があることから、青の洞窟クルーズを行う観光船業者などでつくる「青の洞窟・窓岩周辺海域等利用協議会」は洞窟への進入中止を決めました。
青の洞窟・窓岩周辺海域等利用協議会 向井伸夫会長)
「協議会としては断腸の思いで、青の洞窟に侵入しないということを決めました。万が一人にあたって、そこで亡くなった人が出たとしたらもう小樽の観光が全部終わってしまう。知床(観光船事故)の二の舞になってしまうと思うんです」
洞窟内のクルーズを中止してから10日。売り上げはおよそ4割ほど落ち込んでいるということですが観光客からは今回の決断を評価する声があがっています。
観光客)
「洞窟に入るんでわくわくするじゃないですか。だけど、それができないっていうのはちょっと残念です。残念だけどそれは仕方ない。やっぱりあの知床の事故があったんで無理してやめることでとんでもないことが起こると嫌ですから」
観光客)
「人命第一とかというのであれば、もう仕方ないなと。無理に手配してきて事故にあったら自分だけの問題じゃなくなるのでそれは仕方ない」
道運輸局は今月18日、協議会に加盟していない運航会社に対しても洞窟内に進入しないよう呼びかけました。しかし・・・。
これは28日午前11時ごろに青の洞窟付近で撮影された映像です。1隻の観光船が客を乗せて洞窟内に入っていくのが確認できます。
道運輸局によりますと、この観光船の運航会社は協議会に加盟しておらず、洞窟に入らないよう複数回にわたり呼びかけているものの洞窟への進入を繰り返しているということです。
なぜ洞窟内への進入を続けるのか。運行会社の代表がHTBのインタビューに応じました。
洞窟に進入している業者)
「闇雲に意地を張ってやってるんじゃなくて、安全確認をした上でやってます。(Q:ほぼ100%安全だとして運航を?)うちとしてはね。運航してからの落石も見たことないです」
この運航会社は土砂崩落のあと、独自にドローンを飛ばすなどして現地を調査。その結果、協議会が主張する2メートルほどの大きさの岩が落ちた事実は確認できなかったとしています。また、土砂崩落があった場所は通らないよう対策をとっていると話します。
洞窟に進入している業者)
「上から落ちたっていう主張してるものに対して、あまりにも不信感。2メートルの石が落ちた形跡が全くないもんで、おそらく泥だと思う。それと落ちたの見てたんじゃなくて、落ちてから見たんじゃないんですか」
危険はないとして洞窟進入を継続する意向を崩さない運航会社。これに対し協議会は。
青の洞窟・窓岩周辺海域等利用協議会 向井伸夫会長)
「非常に危険だなと我々は見ております。万が一のことがあったらどうするのかなと。全体のことを考えたらとうていそういった危険なことは商売としてはできないと思う」
道運輸局はこの運航会社について、「大変遺憾で今後も洞窟に進入しないよう呼びかけ続けていく」としています。