夏の避難所、熱中症リスク浮上 北海道のエアコン設置率低く 車での避難も課題に「揺れとともに液状化も」
2025年 7月31日 16:14 掲載
津波警報を受けての避難指示で、実際に避難された方も多かったと思いますが、取材の中で、夏場の避難をめぐるさまざまな課題が浮かび上がってきました。
中川宙大記者)
「大樹町の避難所には数名の方が避難しています。そして町役場の方が用意した米や缶詰などが用意されています」
30日の津波警報を受け、避難場所に指定された一つ、十勝の大樹町の中島コミュニティセンター。ここは元々小学校でエアコンは設置されていません。
30日は道内の避難所で熱中症の疑いでの搬送者が相次ぎました。
大樹町総務課 工藤航主事)
「暑いという声はあったんですけれども、一応窓の方を開けて換気をしていただくというところで今回は対応とさせていただきました」。
文科省によりますと、道内で避難所に指定されている小中学校の体育館のエアコン設置率は3.8%と、全国平均の23.7%よりも低くなっています。
大樹町総務課 工藤航主事)
「今後は扇風機だったりスポットクーラーだったり、そういうのを配備できればなと思って。例えば先週のような猛暑だともっと大変だったと思いますので、そこはちょっと次に活かしていきたいなと思ってます」。
専門家は、避難生活の中での熱中症などは気が付きにくいと指摘します。
日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授)
「私たちほぼ全ての住民は避難行動とか、避難生活というものに慣れてはいません。自分の健康を害する可能性があるんだろうというような想像力が働きづらいというのが、難しさだと思います」、
「例えば熱中症になりやすい方々、ご高齢の方々については、周りと声を掛け合って熱中症を予防できるようなことや、ちょっと体調が悪そうだなという方をすぐに発見できるような共助の試みというのは、こういった夏には不可欠だと思います」。
避難時の課題は他にもありました。埼玉から函館に来ていた観光客からは、
埼玉からの観光客)
「市のホームページを見て10数カ所避難所があるって見た。地元の方用なので自分たちが行ってどんな感じで過ごせばいいのか、どうすれば迷いがあった」。
「知識がない中でどうやって過ごせばいいのかなと考えていく必要があると」。
前田愛奈記者)
「函館市の高台に来ています。多くの車が集まってきていて、住民たちが避難をしています」。
また、避難所に向けて道路が渋滞する様子が各地で見られました。
苫小牧市にある高台の公園は、避難してきた人の車でいっぱいで芝生の上にも車が…
しかし専門家は、原則、車ではなく徒歩で避難するよう呼びかけています。
日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授)
「(地震の)揺れとともに液状化や、停電によって信号が止まることも想定される。そうなると安全に車を動かすことはできない。大前提として徒歩もしくはそれに準ずるようなものを使い、避難をするということが基本」。