「冷却スプレー」ガスに引火か札幌の"車爆発" 危険伴う”スプレー缶”注意点は
2025年 8月 7日 16:17 掲載
札幌市中央区で6日に発生した車の爆発。消防は、冷却スプレーの缶から出たガスが車内に広がり何らかの原因で引火した可能性があるとみて調べています。冷却スプレーに潜む危険とは。
窓ガラスが吹き飛び大きく損傷した青い乗用車。めくれ上がった屋根が爆発の激しさを物語ります。6日午後1時ごろ、札幌市中央区南8条西23丁目にあるドラッグストアとカフェの駐車場で、止めてあった乗用車が突然、爆発しました。近くの店にいた人は、ものすごい音だったと話します。
■近くの酒店の人:
「爆発音みたいな音で、屋根になに落ちたか大きな地震と思いました。ゴーッと揺れて、なんだ?と思った。」
■近くのカフェにいた人:
「(カフェで)午後1時すぎに注文して待っている時間に、ものすごい音がした。ドーンという音だったんですけど、音の大きさと威力にびっくりして怖いと思った。」
当時、カフェの店内にいたという女性。店内の窓から爆発した車から男性が出てくる様子を見たといいます。
■近くのカフェにいた人:
「運転していたと思われる人が少したって出てきた。男性でした。胸から上は特に血などは見えませんでした。」
爆発した車には運転手の49歳の男性が乗っていて、全身の痛みを訴えて病院に運ばれましたが軽傷です。また、隣に駐車していた車の中にいた30代の女性もガラスの破片で負傷し、病院に運ばれました。いずれも命に別状はありません。
警察によりますと、警察官が現場に到着した際、冷却スプレーの缶が車の近くに1本、車の中に1本あったということです。
スプレー缶に破裂した形跡はなく、消防はスプレー缶から出たガスが車内に広がり何らかの原因で引火し爆発した可能性があるとみています。火災や爆発のメカニズムに詳しい専門家は。
■北海道大学 早坂洋史研究員:
「屋根の部分やフロントガラスが飛び散っているような印象があるので、かなりの圧力がかかったと思います。車内の場合は特に容積が狭いので、何か着火源があったら、爆発してしまった可能性は十分にある。」
暑さ対策としても使われる冷却スプレー。使い方を間違えると激しい爆発を引き起こす危険性があります。
2020年、広島県で信号待ちをしていたトラックが突然爆発し、運転手の20代の男性が顔に軽いやけどを負いました。運転手の男性は窓を閉め切った車内で冷却スプレーを30秒ほど体に噴射。その直後にタバコを吸おうとライターで火をつけたところ、爆発したということです。
こちらはNITE・製品評価技術基盤機構が行った実験映像。冷却スプレーを体に噴きかけた後、シャツに火を近づけると…一気に燃え広がりました。
■NITE 山崎卓矢さん:
「(スプレー缶には)噴射剤として、ブタンガス・LPガスなど可燃性ガスが入っている場合がある。狭い空間だといつまでも可燃性ガスが空気中に漂っていますので、その状態で火気があるのは非常に危険。」
冷却スプレーが原因の可能性がある今回の爆発。警察は男性の回復を待って当時の状況を詳しく聞き取る方針です。
■スタジオ 依田英将アナウンサー:
VTRにもありましたが、NITEの山崎さんいわく、「多くの冷却スプレーには、中身をシュッと噴射するための可燃性のガスが含まれている」ということです。
そして、そういったスプレーには必ず「火気、高温に注意」という表示がありますので、それをしっかりと確認してほしいと話していました。では、具体的にどういう状況に注意しなければならないのか。こちらです。
まず、換気されていない室内や車内でスプレーをまいた場合。この閉鎖された空間にガスが充満しているということになりますね。
さらに、体に噴射した直後、この空間ではなくて今度は服にガスがとどまっている状況のため、引火・爆発の危険性があるそうです。
これも気をつけなければなりません。屋外でも噴射直後は火に近づくと危ないそうなんです。例えば、虫除けスプレーをシュッとした後に、すぐに手持ちの花火をしたり、お祭りの屋台の火に近づいたりすると、引火・爆発の危険性があるということで、とにかくおっかないですね。
■北海道日本ハムファイターズOB/野球解説者 稲田直人さん:
そうですね。使う場所ですよね。それをちょっと考えないといけないのかなと思いますよね、これを見てると。
■依田英将アナウンサー:
制汗剤なんかもありますから、部活の後とか虫除けスプレーとか、この時期気をつけないといけないですね。
しかもそれを車に入れっぱなしにしてしまったりしがちなので、暑くなるからそれも気をつけなきゃいけないですよね。
アウトドアの場面もまだまだ多いと思います。くれぐれもお気をつけください。