道北・猿払村 視聴者から投稿された”黒いキツネ”の正体は!?意外なルーツが明らかに
2025年 8月22日 18:56 掲載
こちらは道北の猿払村で撮影された珍しい色をしたキツネで、顔つき含め普通のキツネとは違う雰囲気を漂わせています。なぜ色が違うのか調べてみると意外なルーツが分かりました!
今月11日猿払村で撮影された映像。道路脇には2頭のキツネがいますが、そのうちの1頭をよく見ると顔や身体の一部が黒いのが分かります。
■目撃した女性:
「タヌキかと思ってよく見たら後ろに通常の色のキツネがいたのでキツネだとわかりました。」
お盆休みの旅行中にこの動画を撮影したという女性。身体の一部が黒いキツネを見たのは初めてでびっくりしたということです。
■目撃した女性:
「後から調べてみると十字ギツネだということが分かり、珍しいキツネだそうです。
ぜひ、専門家の人に十字ギツネかどうか確かめてほしいです。」
女性から飛び出した「十字ギツネ」という言葉。この身体の一部が黒いキツネは果たして「十字ギツネ」と呼ばれるキツネなのでしょうか。
動画を見せた上で専門家に聞いてみると・・・
■北海道大学・池田貴子特任講師:
「十字ギツネという種類のキツネがいるわけではなくて、皆さんがよく見るキタキツネと種類は同じものなんですけど、毛の色だけが遺伝子変異とか、祖先に黒い毛のキツネがいて発現したことが言える。」
通常のキタキツネとは違い、首から背中にかけて黒い十字模様が現れる「十字ギツネ」。かつて毛皮をとる目的で海外から輸入された黒い毛のキツネが野生化したことで、その遺伝子が引き継がれ身体の一部が黒くなるとみられています。大学特任講師の池田貴子さんによりますと、猿払村で撮影されたこのキツネは「十字ギツネ」で間違いないということです。
一方、こちらは2017年にオホーツクの斜里町で撮影された映像。身体の一部ではなく全身が真っ黒なキツネで「ギンギツネ」と呼ばれています。
■北海道大学・池田貴子特任講師:
「毛の色だけが違って、同じキタキツネなんだけど、遺伝子の組み合わせの兼ね合いで全身真っ黒だったり、十字型だったり現れるんじゃないかな。」
同じキタキツネの仲間だという十字ギツネとギンギツネ。キツネの研究歴およそ20年の池田さんも一度も見たことがないくらい珍しいということです。
■スタジオ
森唯菜アナウンサー:
改めて池田さんの解説をまとめました。
▼この「十字ギツ」というのはキタキツネの仲間で、遺伝子の変異や、祖先に黒い毛のキツネがいたと考えられているということです。そしてVTRでは普通の毛のキタキツネが近くにいますので、2匹はファミリーの可能性があるということです。どうしてこういった黒い毛のキツネが生まれたかといいますと、諸説あるんですけれども、池田さんによりますと、まずは突然変異でたまたま現れたという説。そして、かつてカナダなどから毛皮目的で輸入し、黒い毛のキツネが紛れ込んで野生化したという説があるということです。
もし見かけたら他のキタキツネ同様なんですけれども、エサを与えないようにしてください。エキノコックスへの感染の恐れもありますし、餌付けによって人間を追い回すようになるかもしれません。そして犬の散歩中に出くわしたら、基本的には無視してください。
池田さんによりますと、実際にキツネにビニール袋を奪われそうになった話も聞いたそうなので、もし威嚇されたりしたら手荷物が奪われないように注意してください。
河野さんは全道飛び回ってますが、見たことあったりしますか?
■オクラホマ・河野真也さん:
見てたらもうすごい勢いで伝えてたと思います。
■森唯菜アナウンサー
本当ですね。20年研究してる池田さんでもまだ見たことないということです。
本当に珍しいキツネなんですけれども、思わずね、近くで見たくなるかと思いますけれども、近づくとエキノコックスの危険もありますので、適度な距離を保つことが大事です。