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【密着】クマ対策最前線 9月から市街地での猟銃使用が可能に 課題は? 駆除への批判 ハンターの苦悩

連日発生しているクマによる被害。どうしたら、食い止めることができるのか?最前線でクマと向き合うハンターに密着取材。そこから見えてきた課題とは?

住宅街に連日出没し、家庭菜園の果物や野菜を食い荒らす。道南の江差町で相次ぐ、クマによる食害。

スイカをくわえるクマ
スイカをくわえるクマ

道北の初山別村では、新学期が始まったばかりの中学校にクマが現れました。ハンターが猟銃を発砲しましたが、けがをしたクマの行方は分からず警戒が続いています。人の生活圏に入り込んだクマによって、最悪の事態に発展したケースも。

中学校にも出没
中学校にも出没

前田愛奈記者:「クマに襲われた男性は、この草地の中で血を流してる状態で発見されました」。

先月12日、道南の福島町で新聞配達中の52歳の男性がクマに襲われ死亡。6日後に駆除されたクマは、4年前に女性を襲って死なせたクマと同一だったことも分かりました。

福島町民:「とにかく外出するのが怖くて、でも亡くなった方もかなりつらい思いをして亡くなっただろうなと思います。クマが駆除されて、本当によかったです」。

羅臼岳登山口
羅臼岳登山口

さらに、クマとの共生に取り組んできた、世界自然遺産・知床でも犠牲者が。今月14日、羅臼岳の登山道で東京都の26歳の男性がクマに襲われ、翌日、死亡しているのが見つかりました。男性が発見された場所の近くで、ハンターが親子のクマ3頭を駆除。男性を襲ったのは、地元で「岩尾別の母さん」と親しまれていたクマでした。

道内各地で相次ぐ、クマによる被害。最前線でクマ対策に取り組むハンターに、密着しました。

クマの調査をするハンター
クマの調査をするハンター

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん:「肥料が(クマに)やられた。山の斜面の方へ持って行った」。

砂川市の池上治男さん(76)。市の依頼を受け、地元猟友会のメンバーとして、毎日午前4時ごろから2時間ほどクマの調査をしています。

池上さん:「この(家の)裏にシカが来たりするんだけど…。いた、シカいた」。

シカがいるということは、その近くにクマはいないということ。シカの出没エリアからクマの行動範囲を推測して、市に情報提供します。

池上さんの調査結果に基づき、砂川市が設置した箱わなも。今月1日には、体長2m以上あるクマ1頭が捕獲され、駆除されました。

砂川市では、先月から畑の農作物が食い荒らされる被害が相次いでいることから、今も箱わなの設置を続けています。

提供:北海道猟友会砂川支部
提供:北海道猟友会砂川支部

道内のクマの捕獲数は増加傾向で、2023年度は1800頭を超えました。そのほとんどが駆除されています。そして、クマを駆除するたびに増えるのが、批判の声。羅臼岳での死亡事故でクマを駆除した後には、道と斜里町に合わせて320件を超える苦情や意見が寄せられました。

鈴木直道知事:「皆さまの安全、そして生活を守るために必要な行為であるということを、重ねてご理解いただきたい。電話をする前に、まずどういった状況なのかということを理解した上で、冷静な対応をお願いしたい」。

池上さんにも、苦い経験があります。2021年、札幌の住宅街で人を襲ったクマが駆除された際、猟友会に所属しているからという理由で、苦情の電話がかかってきたのです。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん:「『人間なんか75億人もいるんだから、人間の1人や2人(死亡しても)いいんだって。ヒグマの方が大事だ』って言った。どう思いますか?30分~1時間ぐらいしゃべった。『共生する』という言葉が、一人歩きしてると思います。そんな安直な考えをしていたら、ますます犠牲者が出る」。

市街地で増えるクマ出没を受け、法律も変わります。来月1日、改正鳥獣保護管理法が施行。これまで警察官の許可を得て例外的に行ってきた市街地での猟銃使用が、市町村長の判断でできるように。これを「緊急銃猟」と呼びます。実施には4つの条件が設けられました。

クマが人の日常生活圏に侵入し、危害を防ぐための措置が緊急に必要で、銃猟以外の方法では捕獲が困難で、住民に弾丸が到達する恐れがないこと。これらの条件を全て満たした場合に、市街地での猟銃使用ができるようになります。

「緊急銃猟」訓練
「緊急銃猟」訓練

改正法の施行を目前に控え、今月14日、札幌市西区の公園で「緊急銃猟」を想定した訓練が行われました。環境省が策定した「ガイドライン」に基づき、市の職員が住民の避難や安全確保の手順などを確認。訓練を行ったことで、課題も見えてきました。

札幌市環境共生担当課・坂田一人担当課長:「かなり手順が必要ですし、安全確認っていうのも必要なことになってきますので、実際に速やかに捕獲まで進める場面っていうのは、限定的なのかなっていうふうに思っています」。

国は、発砲許可の確認手順を記録することで責任の所在を明確にし、ハンターを守ることができるとしています。しかし、ハンターからは、不安の声も上がっています。

北海道猟友会砂川支部・池上治男さん:「銃を撃つ段階で、銃刀法とか警察庁の関係ですから、環境省のガイドラインだけでは対応できないと思う。ハンターに(緊急銃猟を)要請したときに、ハンターがそれを受けるかだよ。おそらく受けないと思うよ」。

池上治男さん
池上治男さん

実は池上さんは、2018年にクマを駆除した際に建物の方向に発砲したとして、道の公安委員会に猟銃所持の許可を取り消されました。池上さんは、許可取り消しは不当だとして裁判を起こし、1審では勝訴しましたが2審で敗訴。最高裁で争っている最中で、今も猟銃所持は認められていません。

北海道猟友会も、池上さんのようなケースを恐れています。緊急銃猟のガイドラインに、人への被害が出た場合の責任について書かれていないとして、国に説明を求めています。

北海道猟友会・齊藤哲嗣専務理事:「一番心配しているのは、自分自身のけがと自分の銃の所持許可。北海道猟友会としては、9月1日の施行開始前に国に回答を求めて、その回答を踏まえて対応を考えたい」。

クマによる被害から人を守るために作られた、新たな制度。ハンターの不安を払拭できるのか。手探りで始まろうとしています。

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