道南で相次ぐクマによる食害 知内町で新たな被害 ビニールハウスのブドウ食い荒らされる
2025年 9月 1日 16:13 掲載
道南で相次いでいたクマによる食害。先週、江差町と上ノ国町でそれぞれ1頭駆除されましたが、その後もクマの目撃や食害が続いています。
前田愛奈記者)
「被害にあったのは家庭菜園のブドウの木です。実はきれいに食べられ枝も折れてしまっています」。
8月31日、知内町元町にある住宅のビニールハウス内でブドウが食い荒らされているのを住人が見つけました。ビニールハウス内にはクマの足跡のほか、フンが残されていました。警察によりますと、ビニールハウス内のブドウのうち成熟したものだけが食べられていたということです。
被害にあった人)
「食べれるものがもう全てクマに持っていかれたっていう状況ですね、怖いですよ。こんな近い場所でクマが中に入ってブドウを食っていくなんて」。
またこの近くの住宅でも家庭菜園で育てていたブドウがクマに食い荒らされる被害にあいました。
道南では先月、クマによる食害が相次ぎました。道によりますと、江差町や上ノ国町の5カ所で出没していたクマは同一個体と判明しています。
先月29日には江差町と上ノ国町でクマがそれぞれ1頭ずつ駆除されていて、きょうからDNA鑑定を行い、一連の食害を起こしてきたクマと同じ個体か調べる予定です。しかし江差町では駆除後もクマの目撃情報が後を絶ちません。
江差町伏木戸町では8月30日、国道を横切るクマが目撃されました。クマはその後スーパーの駐車場に入って中を1周すると、再び国道に出て姿が見えなくなったということです。警察によりますと、駐車場にはクマのものとみられるフンが残っていました。
住宅街で続くクマの目撃や食害。引き続き警戒が必要です。
依田アナウンサー)
クマの発砲に関して今日から新しい制度が入りました。それが緊急銃猟制度というものなんですね。見てみましょう。
これまでは住宅密集地域などでの猟銃の使用は原則禁止されていました。緊急時のみ警察官の命令で猟銃の使用が可能だったわけなんですね。今日から市町村長の判断で猟銃を使うことができるようになりました。ただしこれは4つの条件を満たす必要があるんです。その4つの条件というのがこちら。
まずクマなどの動物が人の日常生活圏に侵入している場合。なおかつ危害を防ぐ措置が緊急で必要である。そして猟銃以外では捕獲が困難であって住民に弾丸が到達する恐れがない。この4つ全てを満たさないと緊急銃猟はできません。
では人の生活圏、どういうものが想定されているかと言いますと、はい。まず農地や河川敷、そしてクマが侵入した建物などがガイドラインでは想定されています。人に銃弾が到達する恐れがある場合は使うことはできません。要するに住宅密集地、中心部や住宅街などでは使用不可ということなんですね。
札幌市は訓練を行いまして、課題も浮き彫りになりました。避難誘導、交通規制など人員の確保が1つ課題です。そしてこの4つの条件を満たしてから発砲までに5分弱かかったということなんですね。これ市町村がハンターに対して腕章を手渡してそこからじゃないとハンターは弾の装填などができないそうなので、ちょっと時間の壁もあるかなといったところです。
ハンターの安全というものも何よりも大事になりますので、まだ今日から始まったばかりですが、しっかりとブラッシュアップして迅速な対応をしていけたらなと思います。