繰り返されたクマとの遭遇、なぜ防げなかったのか?情報共有の課題浮き彫りに 羅臼岳クマに襲われ死亡
2025年 9月11日 18:20 掲載
知床半島の羅臼岳。登山中の男性がクマに襲われ死亡した事故から間もなく1カ月です。
斜里町 増田泰副町長)
「地元の町としても、ヒグマによる事故で大変なショックを受けている」
11日、斜里町や環境省などでつくる「知床半島ヒグマ対策連絡会議」は、羅臼岳登山道の閉鎖を年内は継続する方針を明らかにしました。
事故が起きた羅臼岳は登山客が憧れる日本百名山の一つ。
先月14日、東京から来た26歳の男性が、羅臼岳の登山道を下山中、クマに襲われ死亡しました。
羅臼岳の登山道では事故の4日前、人を恐れない親子グマが目撃されていました。
さらに2日前にも、接近してきたクマに登山客がクマよけスプレーを噴射したものの、逃げずに およそ5分間クマに付きまとわれる事態が発生していました。問題グマの情報を受けて事故の前日、環境省などが登山道を調査。しかしクマの痕跡が見つからなかったことから登山道の閉鎖などには至らず、死亡事故が起きてしまいました。
知床財団 玉置創司事務局長)
「個体識別の関係でも、状況確認でも、実際に直接見て判断しないといけないと思っている。聞き取りを本人から行えたが、その部分で判断がつかなかった。このあたりが今後の検証にかかわってくる」
佐藤裕樹記者)
「羅臼岳の登山道の入り口の一つ、その手前にはキャンプ場がある。事故の前、キャンプ場の管理棟にヒグマの出没を注意するA4サイズのポスターが張られました」
斜里町などは問題グマの情報を登山口などに掲示し、ウェブサイトにも掲載しましたが、知らずに山に入った人もいました。亡くなった男性や同行者は、この情報を知っていたのでしょうか。
知床財団 玉置創司事務局長)
「(同行者に)さらに聞き取りする方向で考えている」
斜里町 増田泰副町長)
「結果的にすべての登山者に伝わっていたのか、情報が伝わったことで、その後の行動が変わったのか。この部分は検証で重要な部分になる」
環境省釧路環境事務所 岡野隆宏所長)
「登山道は入口が3つあって広域なので、難しい面もある。現実的に難しい部分と、登山という部分で、どうあるべきか議論していく必要がある」
「知床半島ヒグマ対策連絡会議」は今年度中に再発防止策をまとめる方針です。