「ナラ枯れ」函館で確認 北海道南部で被害広がる ドングリ不足でクマへの影響も
2025年 9月24日 18:48 掲載
ミズナラやコナラなどの樹木が枯れる、ナラ枯れ。
今月函館市内でも確認されるなど道南で被害が広がっています。
ナラ枯れによるドングリ不足で懸念されるのはクマへの影響です。
■前田愛奈記者「ナラ枯れが確認された木には黄色のテープが巻かれています。近くで見ると葉は落ちて、茶色く色も変わっています」
函館市の紅葉スポット「見晴公園」。
これから見ごろを迎える中、今月、およそ50本のミズナラやコナラなどの木にナラ枯れの被害が確認されました。
ナラ枯れは、害虫の「カシノナガキクイムシ」、通称カシナガが持ち込むナラ菌により木が枯れてしまう伝染病です。
本州で多くの被害が報告される中、道内でもおととし初めて道南の松前町と福島町で15本の被害が確認されました。
去年は松前町と福島町、知内町で合わせて213本のナラ枯れを確認。
そして今年、函館市にまで被害が拡大してしまいました。
■公園の利用者「虫にやられているらしいって(聞いた)。危ないですよね」「茂っていたほうがきれいだと思いますので寂しいです」
函館市内のナラ枯れは公園や街路樹など70本で確認されていて、市は伐採や薬剤での対処を検討しています。
道の調査によりますと、ナラ枯れの原因となるカシナガの生息数はおととしから急激に上昇し、今年度は1000匹を超えています。
なぜカシナガが増えているのか。
専門家は近年の道内の暖かさが関係していると話します。
■道総研 林業試験場 和田尚之さん「この虫自体、寒さに弱い虫です。基本的に北海道では冬の間に結構な数(のカシナガ)が死ぬとされているが、ここ数年、冬暖かい年が続き、虫にとって増えやすい環境が続いて、去年かなり増えて、今年も函館で見られている状況」
ナラ枯れにより懸念されるのが、クマへの影響です。
専門家はコナラなどの木に実るどんぐりの減少は、クマのエサ不足に繋がりかねないと指摘します。
■北大 地球環境科学研究院 勝島日向子 特任助教授「ドングリは秋のクマの主要な餌になるので、山でクマが食べられるものが減ってしまうことは考えられる。食べ物を求めて街に出てくるかもしれないという可能性はあるので、クマの出没が増えるかもしれないと思って、対策を強化することが必要。虫を絶滅させない限りは被害は広がるので、被害木を確実に見つけて駆除することが大事になる。枯れている木があれば、それを関係機関に報告していただいて、被害木を発見することにご協力いただけたら」
道南では今年、クマの出没が相次ぎ、多くの家庭菜園や住宅付近の畑などで農作物への被害が出ています。
秋を迎え、街中へのクマ出没を増やさないためにも、ナラ枯れへの対策が求められています。
■道総研 林業試験場 和田尚之さん「虫を絶滅させない限りは被害は広がっていますので、被害木を確実に見つけて駆除することが大事になってくる。枯れている木があれば、それを関係機関に報告していただいて、被害木を発見することにご協力いただけたらと思います」
道は、ナラ枯れの疑いのある木を見つけた場合は最寄りの振興局などに連絡するよう呼び掛けています。