「日本一危険な動物園」20年間の営業にピリオド 人気を集める一方で違法建築を拡大 動物たちの今後は
2025年 9月30日 16:31 掲載
あと1時間ほどで最終日の営業を終えるノースサファリサッポロ。
園内には300頭以上の動物と違法建築物が残っています。
運営会社は今後、どのように対応するのでしょうか。
■加藤諒也記者「ノースサファリサッポロの最終営業が始まり、園内に続々と人が訪れています」
札幌市南区の民間動物園、ノースサファリサッポロ。
2005年から20年間続けてきた営業に30日、幕を下ろします。
動物との距離の近さから「日本一危険な動物園」とも言われ、家族連れなどから人気を集めていましたが、その裏で違法建築を拡大し続けてきました。
■来園者「有名な動物園というイメージだったので、まさか全部違法建築だったのかと」「ルールを守っていないのは良くないと思いつつも、残ってほしいという気持ちはあるので、そういう意味では複雑」
園があるのは、原則建物の建設が認められない市街化調整区域です。
札幌市はこの20年間で17回にわたり、建物の撤去を求める指導や勧告を繰り返してきましたが、敷地内の建物は増え続け、去年12月時点で183棟に上っていました。
なぜ指導に従わず建て続けたのか。
問題が公になった今年2月、運営会社・サクセス観光の当時の社長、星野氏はHTBの取材にこのように話しました。
■サクセス観光 星野和生社長(当時)「市街化調整区域に建物を建てる方々が(他にも)たくさんいた中で、そこはちょっと甘く考えていたのが一番の原因だったと思います」
今月撮影された園内の映像です。
「撤去予定」と書かれた獣舎とみられる建物もあります。
サクセス観光は今年3月、「法令上の問題を重く受け止めた」として9月末での閉園を発表。
徐々に建物の撤去を始めていますが、18日に市が行った立ち入り検査では、まだ118棟の建物が残されていました。
園は、4年後の2029年までに全ての建物を撤去するとしています。
建物の撤去を困難にしているのが、園に残る動物たちです。
動物たちの飼育環境について、来園客からは心配の声も聞かれました。
■来園者「中には狭そうにしている動物もいたのでちょっとかわいそうだと思った」「弱っている感じの(動物)も実際には分からないけれど いたので」
サクセス観光は、これまで動物の飼育についても市から再三指導を受けていたことが、HTBが市に開示請求した資料から明らかになっています。
指導を受けた一例がこの写真です。
「ライオンが飼養施設外に出されていた。『動物愛護及び管理に関する法律』の罰則規定に該当する可能性がある」
星野前社長のSNSに掲載された車に乗せられたライオン。
前社長は、市の聞き取り調査に対し、「施設敷地内の動物の移動を目的として一時的に車に乗せただけ」と説明。
しかし、SNSには敷地外で運転しているような書き込みもありました。
閉園後の動物の管理は大丈夫なのか。
ノースサファリサッポロの近隣の町内会は30日、市に対し、健全な飼育と移動への監視などを求めた陳情書と233人分の署名を提出しました。
■豊滝中央町内会 小嶋幸一 総務部長「大きな動物がすぐいなくなるということは、多分ないだろうという予測なので、それについて十分監視が必要かと思っています」
去年12月に640頭いた動物は、9月5日時点で319頭と半分ほどに減っていますが、園は、どの動物がどこに移動したのか明らかにしていません。
市は30日、サクセス観光に対し10月末までに動物の種類、移動先、移動予定日を明らかにした計画書を提出するよう指導しました。
閉園後のノースサファリについて、星野前社長はどう考えているのか。取材を申し込みました。
■鈴木麻友記者「お話聞けないですか。HTBなんですけれども」
これまで公の場に姿を見せなかった星野氏。
この日も何も答えずに立ち去りました。
市は閉園後のサクセス観光の財政面を不安視しています。
■札幌市開発指導課 坪田修一課長「動物にかかる維持費の捻出や建物除却にかかる費用があるのかなと、そこは我々の方で粘り強く指導していくしかない」
ノースサファリサッポロは閉園にあたり、ホームページ上に、このようなコメントを発表しました。
「企業様・個人の皆様からの心暖まるご支援を頂戴し、動物たちの安全や飼育環境に問題はございません。今後の動物たちの受け入れ先についても調整が進んでいる状況です。時間は要しますが、動物たちにできる限り負担の無いように細心の注意を払い、解決をしていきます。」
■森唯菜アナウンサー:
ノースサファリが今後どうなっていくのか見ていきます。
まず無許可建築物。去年12月に183棟だったものが9月18日には118棟におよそ3分の2になっています。
そして残された動物は去年12月に640頭いたものが、9月5日には319頭におよそ半分の移動が完了しています。
運営会社のサクセス観光は4年後の2029年12月までに建築物の全撤去する計画としていますが、実質的には残された動物が移動しないと多くの建築物は撤去できません。
動物の立ち入り検査などを行っている札幌市動物愛護管理センターでは、現状では動物愛護法を犯すような飼育状況は見られない。今後も聞き取りや立ち入り検査を行っていくとしています。
動物に対する責任は、市ではなく運営会社が持っています。建物の撤去も重要ですが、河野さん、動物たちの安全も重要ですよね。
■河野真也(オクラホマ):
どこに行ったか明らかにしてないんですもんね。それが市にも言ってないってことですよね。渡す先の向こう側が「言ってほしくない」ってこともあるかとは思うので、でも、こっちに伝わんなくても、なんかそういうのを市とかが把握しなきゃいけないようなルールだったらいいなと。
■森唯菜アナウンサー:
動物の安全面を考えてもそうだと思います。今後も新たな情報が入り次第お伝えしていきます。