札幌・人気の豊平峡温泉の建築物も“違法状態” 再三の指導に従わず「解消に向けて申請を準備中」
2025年 9月30日 18:04 掲載
市街化調整区域の違法建築物はノースサファリサッポロを含めて札幌市内に3300棟に上ります。南区の「豊平峡温泉」も違法建築物にあたり、市から再三にわたる指導を受けていることが明らかになりました。
札幌の奥座敷、定山渓にある豊平峡温泉。200人ほどが入浴できる日本最大級の露天風呂を持つ日帰り温泉施設です。
■本吉智彦記者:
「山間にたたずむ人気の温泉、建物のある場所は市街化調整区域の中にあるんです」
適切な街づくりを進めるため、札幌市は開発を抑えるべき地域を市街化調整区域に指定、原則、建物の新築や増改築を認めていません。しかし、昨年度末までに確認された市街化調整区域の違法建築物は、およそ3300棟にのぼっています。札幌市によりますと、豊平峡温泉の建物も市街化調整区域の違法建築物として指導を行っているということです。
この建物が建てられたのは豊平峡ダムの建設工事がきっかけでした。北海道開発局がダムの建設作業員のために1966年に建設した、事務所兼宿舎だったのです。
■札幌市開発指導課・坪田修一課長:
「その後、民間事業者に払い下げされて別の事業者の方で温泉を掘って出てきたということで、その温泉利用のための施設としてですね、都市計画法が施行されてから使い始めたので、その使い方はダメですよという形で指導してたというところがございます。」
1987年に露天風呂が設置され営業がスタートしましたが、札幌市は、都市計画法の用途違反に当たるとして、公衆浴場としての使用を停止するよう当時の運営会社に指導を行いました。その後、いまの運営会社が建物を買い取り、1991年、ゲートボール場とスキー場の付属施設として公衆浴場を使うとする開発許可申請を提出。運動施設の付属施設であれば市街化調整区域内でも認められるため、市は許可を出しました。しかし、その後・・・
■札幌市開発指導課・坪田修一課長:
「いつの間にかそのゲートボール場と、あとスキー場がなくなってる状態、いわゆる公衆浴場施設のみが残ってる状態になってるので、それは市街化調整区域では認められないので、是正するように指導しているというのが現状になりますね。」
公衆浴場のみになったことから、札幌市は運動施設を作るか、建物撤去を行うよう指導を再開。これまでに8回口頭で指導を行っていますが、運営会社側は応じていません。今後、札幌市はどのように対応するのでしょうか。
■札幌市開発指導課・坪田修一課長:
「札幌市の観光施策に位置づけられているものであれば『都市計画法の観光資源』という形で許可を取得することができますので、あとは事業者がそれを行うかどうかって形になりますね。」
実は、札幌市が観光資源として位置づけた施設であれば、市街化調整区域でも開発は認められます。札幌市は豊平峡温泉を定山渓の観光資源と位置づけているため、運営会社がその内容に沿って新たな開発許可申請を提出すれば、許可する可能性があるとしています。札幌市は今年に入り運営会社側にこの内容を伝えていますが、まだ提出されていないということです。
HTBの取材に対し9月30日、豊平峡温泉の運営会社は。
■豊平峡温泉:「現在、違法状態解消に向けて申請を準備中です。札幌市と話し合って申請に向けて準備している。」
違法建築物であることが発覚した豊平峡温泉。今後の対応が注目されます。