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人口の1割を超える外国人労働者が去来する町 家賃異常高騰で外国人向け住宅街計画に住民から不安の声

北海道倶知安町で、外国人労働者らが住む住宅街の開発計画が浮上し、町民から不安と反対の声があがっています。まもなく世界中から観光客が集まる冬を前に、町ではいったい何が起きているのでしょうか。

《冬季の外国人労働者向け“住宅街”造成計画とは》
人口およそ1万5000人、倶知安町です。男爵イモの生産量が国内トップを誇るなど農業の町として歩んできました。冬には上質のパウダースノーを求めて世界中から観光客が押し寄せます。昨冬の入り込み客はのべ90万人。コロナ前の数字に回復しました。
倶知安町に本社を置く外資系の不動産会社ニセードサービシーズは去年12月、市街地にあるおよそ2.7ヘクタールの農地に、冬の外国人労働者らをターゲットにした住宅街を作る開発計画を明らかにしました。住民説明会で配られたイメージ図には2階から3階建ての中高層住宅30棟が並び、居住者数は町の人口の1割近い最大1200人です。

■ニセードサービシーズシニアプロジェクトマネージャー・近藤邦裕さん「いま圧倒的に足りていないのが冬のリゾートエリアで働く従業員の住むところです。賃貸価格とかもすごい高騰しているような状況。1LDK16万円、2LDK25万円、3LDK36万円という情報が並んでいて、そういう異常な状態を少しでもこれによって緩和できればすごく良いなと」

事業者はこれまで、2度の住民説明会と3度の意見交換会を開催しましたが、住民からは不安の声が上がりました。

■倶知安・ニセコ周辺の開発計画を考える会・代表の40代女性「定住される方とか長期のスパンで日本に馴染みながら仕事していきたいって思う人たちが住むような建物だったらそんな不安には感じなかったと思うんですけど、集団で酔っぱらった状態で歩きながら飲み終わったお酒を雪の中に突っ込んでいる姿も見たので、それが街中に増えるんだっていう、コミュニティがここにできるんだっていうのが、ちょっと怖い」

《外国人労働者に対する町の対策は?》
倶知安町では観光協会が夏と冬の2回、事業者に向けて日本の商習慣やゴミの分別ルール、マナーなどについて説明会を開いています。また町は2021年からゴミの日や分別の方法を簡単に確認できるアプリを導入。現在は日本語と英語のみですが、今後は中国語も増やすなど、対策を講じてきました。しかし今年5月にヒラフ地区では、雪解けと共に出てくるポイ捨てされた缶や食品のトレーなど大量のゴミが確認されました。

■町民「大体、道路とか歩道とか雪の壁になっているその上とかにポンポン置いてあって、バス停とか人がたまるようなところに1番多くみられる。缶が(雪山に)刺さってたり、空き缶かタバコの吸い殻か」

7月、有志の住民グループが住宅街の建設に反対する町民262人分の署名を町長と町の農業委員会に提出。治安の悪化、ゴミ捨てのマナー違反への不安を訴えました。9月にはオンラインによる町外からの署名も含め4315人分の反対署名を道に提出し、予定地となっている農地の転用と開発を認めないよう求めました。
しかし10月16日、道は農地法、都市計画法に照らし合わせて事業計画は審査基準を満たしているとして、農地の宅地への転用と、開発を許可しました。

道の許可に町民の反応は様々です。

■町民「住むところがないですし、アパートもないし、それでこれだけ人が来るときにそれをやるのは必要ですよね。良くしていこうと思ってみんな造っているのであればしょうがないのかなと僕は思います」

■町民「嫌だと思った。交通量も多くなるし治安が悪くなりそうでね。結構いるんだよねゴミ出しをうまくやってくれない人がね」

■外国籍の町民(倶知安町定住1年)「態度の悪い外国人なら国に帰った方がいいと思う。去年はここに来たたくさんの外国人に腹が立ちました。彼らの日本人に対する接し方が気に入らなかった」

■外国籍の町民(日本に来て3年)「外国人の中には何をしたらいいのか分からない人もいるので、私たちが話し合い、情報を伝え続けることが役に立つと思う」

《議会が路上飲酒禁止条例を議決》
町議会は9月、生活安全条例を改正。議員提案で提出された改正案を原案通りに可決し、路上や公園での飲酒を禁止にしました。罰則はありませんが、路上での飲酒を直接禁止する条例は道内では他に例がないと言われています。また町は事業者と周辺町内会との3者協定を結ぶことも決めました。

■文字一志町長「住民の安全を守るというのが私たちの仕事、大きな仕事でありますので、あの手この手、色々な角度からいまでき得ることの視点の中で整理し、協定まで結び付けていることをまずご理解いただけるとありがたい」

住民の不安に事業者はどのように応えるのでしょうか?

■ニセードサービシーズシニアプロジェクトマネージャー・近藤邦裕さん「一か所に集めてきちんとその決まったルールの中で住んでもらった方が、ゴミ処理なども管理会社、事業者側の方でやりますので、いままでそういった街中で起こっていたような問題もいくぶんかはこれによって解消できるはず」

■倶知安・ニセコ周辺の開発計画を考える会・代表の40代女性「被害が起きてから対処するっていうのが続いているので、その人たちがここに集まって被害が起きなくなるっていうのは管理棟に1人常駐することでそれがなくなるのかって。共生したくないわけじゃなくてそれを楽しみにきたところもありますので、お互いその気持ちでいられる方たちとやっていきたい」

鈴木直道知事は観光業の人材確保は重要だと強調した上で、住民の反対の声について。

■鈴木知事「冬場の宿泊施設、多くのお客様がお越しになられている中で労働力を確保していくことも大切なこと。市町村、都道府県での対応に限界があるのも事実。法律上必要な対応、受け入れについては国としても考えてもらいたい」

町に観光客があふれる季節が間もなく到来します。地元住民の不安やストレスがどこまで拭えるのか、小さな町の模索が続きます。

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