now onair

04:25

テレビショッピング

NEXT

60年続く銭湯を家族で守る…親子でつなぐ「湯のぬくもり」と地域の絆 札幌市北区「奥の湯」

 固定式のレトロなシャワーに、年季の入った風呂桶。
憩いの場として、地域で愛されている銭湯です。

■常連客:
「(店主の)愛想がいいというか、すごくいい。」

■常連客:
「(ほかの銭湯と)行ったり来たりした。やっぱりここの方がいい!」

札幌市北区にある「奥の湯(おくのゆ)」。
創業60年の老舗で切り盛りをする男性は3代目店主・古名智亮さん、44歳です。

■奥の湯3代目店主・古名智亮さん:
「最新設備が整ったり、なんか目新しいものがあるわけではないですけども、気軽に来れるような銭湯を目指してます」

智亮さんを支えているのは、家族です。時には、夫婦で子育て。
銭湯の経営と子育てに奮闘する「奥の湯」の若店主とその家族に密着です。

1965年創業の「奥の湯(おくのゆ)」。
浴室にある2つの湯船の湯を手間のかかる薪の火で沸かしています。

■奥の湯3代目店主・古名智亮さん:
「煙を出さないよう、できるだけやらないといけないのが大変」
「空気を送り込む量であったりとか、送りすぎちゃうと消えちゃうし、送らなさすぎると煙がモクモク出ちゃうし」
「母親が(薪を)切ったりしないといけない作業もあるし、重いのとか運ばない作業もいけないので手首を壊してしまってダメだと」

智亮さんの母親・町子さんは「奥の湯」の2代目店主。
「奥の湯」の名前の由来となった初代店主の父、奥野茂郷さんから店を継ぎ、1人でこの銭湯を守ってきました。

■奥の湯2代目店主・古名町子さん:
「この銭湯をそのままやりたいということが大きかったですね」
「最初はよかった。重油とか値上がりする前は。」

銭湯は1946年に生活必需品の高騰を防ぐことを目的に制定された物価統制令の対象で、入浴料金は知事の定める金額の範囲内と定められています。
かつては日用品などにも適用されていましたが、今では銭湯だけにこの法律が適用されています。銭湯を取り巻く環境は厳しく、経営者の高齢化や燃料費高騰などの影響で、組合に加盟する道内の銭湯は30年前のおよそ6分の1、100軒にまで減少しています。8年前、町子さんは体力の衰えから引退を決め、智亮(ともあき)さんに託しました。

■奥の湯3代目店主・古名智亮さん:
「(銭湯を)継ぐ人っていうのがいないご時世なんですよ」

■奥の湯2代目店主・古名町子さん:
「お風呂(屋さん)をやらないかいと聞いたときにやるとやるという風に(言ってくれた)」

■奥の湯3代目店主・古名智亮さん:
「奥の湯」の名前がもしかしたらなくなっちゃう可能性もありますよね。
それだったら、私が引き継いで、まあ、奥の湯の名前を今後に残せていけたらと思って、決心をしました」

■奥の湯:
2代目店主・古名町子さん:
「やっぱりよかったなと思いましたね、やってくれるとね」
店主となった智亮さん。若い人にも気軽に来てもらおうと番台をフロント形式にリニューアルしました。また、大手家具店で副店長を問停めた経験を活かしてコストを削減。
「奥の湯」の安定した黒字化に成功しました。

子どもたちが、智亮さんの励みです。大切な家族との時間を、仕事の合間につくります。

■智亮さんの妻・古名真梨衣さん:
「番台座ったら結構違うよね?」

■古名智亮さん:
「まあね、スイッチ入るというか」

■智亮さんの妻・古名真梨衣さん:
「結構厳しいのは一緒ですけど、パパになったら優しいのでそこは全然違いますね」

■古名智亮さん:
「どう効率よく仕事をしたら、子どもたちと向き合えるのかとかっていうのも考えながら仕事をするので。子どもたちと一緒にいたいがために、こういう風にやったらいいんだと思いついてやるとか」

♪呼び鈴の音♪

■古名智亮さん:
「はい、いらっしゃいませ!」

休日はこどもたちみんなでお手伝い。イベントに向けて準備をします。
■長男・亮彗くん:
(イベント用プレゼントを見て)「これでかいのです」
■古名智亮さん:「ありがとうございます」
「お客さん来たら1人1個だよ(渡してね)1人に2個も3個もあげたら無くなっちゃうからね」

長女の愛玲さん。智亮さんが店を引き継ぐ半年ほど前に生まれ、パパの背中を1番近くで見て育ちました。将来の夢は智亮(さんの後を継ぐことです。

■長女・愛玲さん:
Qどうして銭湯屋さんやりたいの?
「パパかっこいいんだもん」「なんかね、隅々までいろんなことしているの。
挨拶したり、お掃除したり、いろんなことしているの。だからそれをパパにならって、そのまま引き継いでいきたい」

開店10分前。入口の前にはおよそ20人のお客さんが。

■客:
「きょう初めて会ったからこちらの方に。寒くなったからきた」
■客:
「30年近く(通っている)おじいちゃんの代、おばあちゃんの代、お母さんの代、いま息子さんの代」
■客:
「1番上のお嬢さん?大きくなったね。俺赤ん坊のころから知ってるんだ」

■古名智亮さん:
「きょう銭湯感謝デーだからさ、ティッシュみんなに配っている」

次女の澪玲さん。緊張して思うように渡すことが出来ません。

■古名智亮さん:
「渡した?」

■次女・澪玲さん:
「どうぞ」
Q上手に渡せた?
「うん!」
Qお客さん何て言ってた?
「ありがとうって言ってた」

今後の目標を聞きました。
■古名智亮さん:
「うちの長女なんかもそうですけど、お風呂をやりたいって言ってくれているので大きくなるまでは潰さないように。大きく黒字にできるようにして、やりたいか、やりたくないか。選択肢にあげられるぐらいにしておいて引き継ぎたい」

家族と地域が織りなす奥の湯。きょうも人の心をそっとあたためています。

合わせて読みたい

HokkaidoNEWS24
イチオシ!動画ポスト
HTB天気予報士
2025参院選
奇跡の子
テレメンタリー2024 知床沖観光船事故 2年後の影響 全国アンケート調査
NEWS onチャンネル
HTB NEWS LINE公式アカウント
みんなで防災!HTBポータルサイト

その他のニュース

一覧の続きを表示
htb