医療的ケア児の訪問診療に特化した小児科医に密着!毎日を生き抜く子供たちを支える
2025年10月31日 15:15 掲載
人工呼吸器や胃の栄養チューブを使って生活する医療的ケア児。
そんな子供たちの訪問診療を担う小児科医の姿に迫りました。
札幌に住む久保希実(のぞみ)ちゃん5歳です。
母・真季さん「自発呼吸がほとんどないので人工呼吸器の力を借りて過ごしています。飲み込みができないのでお腹にある胃ろうという場所から栄養をつないで1日4回食事をとっています」
脊髄が不完全な状態で生まれた希実ちゃん。
生まれた次の日に脊髄の手術を受けて、1歳2か月で自宅に戻ってきました。
訪問診療やデイサービスを利用しながら、現在も脳と神経に大きく影響がでる病気と闘っています。
母・真季さん「慣れないことだらけだったのでまずは人工呼吸器の見方や気管の吸引も最初はドキドキしながらやっていました。人工呼吸器をつけて帰ってきて私はお家から出れないような生活が続くのかと思っていたんですけど。沢山助けてくれる方たちがいて私もまた外に出れる生活が送れるようになって本当にありがたいと思っています」
たんの吸引や経管栄養などのケアが生きるために必要な子供たち=医療的ケア児は全国におよそ2万人。
道内にもおよそ600人いると言われています。
人工呼吸器やバギーに乗っての移動を強いられる彼らは病院に通うことも一苦労です。
最近の新生児医療の発達により、以前は助からなかった赤ちゃんの命が助かるようになりました。
そのため医療的ケア児は、20年前と比べおよそ2倍に増加。
様々な角度から支援の輪を広げていくことが課題となっています。
希実ちゃんは月に2回訪問診療を受けています。
主治医は札幌の小児科医・川村健太郎先生です。
川村先生は医療的ケア児を中心とする訪問診療を行っています。
川村先生Q訪問医療を始めたきっかけは?A「病院の中でこの子たちお家帰ったらどうやって過ごしてるんだろうとか、このままお家帰って困らないのかなとかもうちょっとみんなで相談できることなかったのかなとか思ったんですけど、家に実際いけるっていう現場があることを知った時にやりたいと思って」
川村先生らが診療する患者はおよそ250人そのおよそ半分が医療的ケア児です。
1日で診療する患者は5~6人。
緊急時の対応のために訪問診療では医療機関と患者の距離は原則16キロ以内とされていますが訪問診療を行う医師が不足しているため川村先生は45キロ離れた千歳市の患者も受け持っています。
川村先生「良い意味でも悪い意味でも普通に行っちゃてるから、自分たちの中の当たり前になっている」
この日訪問したのは20歳の双子結衣(ゆい)さんと結名(ゆうな)さん1万人に1人といわれる難病レット症候群です。
運動に障害があり寝るときは呼吸器が必要です。
幼いころから川村先生の訪問診療を受けてきました。
インフルエンザが流行るこの時期はワクチンの接種も行います。
母・亮子さん「娘たち見てもらうだけじゃなくて私の話も聞いてもらって発散してる。来てみてもらうだけじゃなくて心強いですね」
川村先生「この先どうやって生活していこうとか本当に大変だと思うけど、結衣ちゃんとか結名とかお母さんもこの先どうやって生活していったらハッピーかなとかが心の中心になれるように医療はアクセスしやすく」
ピンポーン「お邪魔しますこんにちは」
「体調は?体調は戻りました」
小島健太郎くん小学校2年生(8歳)。
導尿や高濃度の酸素を吸入する酸素療法が必要な医療的ケア児です。
お母さんのお腹の中にいる時に、脊椎の骨が正常に形成されない二分脊椎症と診断されました。
生まれてすぐに手術を受けた健太郎くん。
その後も頭に髄液が溜まる水頭症の手術や入退院を繰り返し、自宅で療養を始めたのは3歳になってから。
月に2回の訪問診療の中で体調確認を行います。
健太郎君は医療的ケアが必要な子供として初めて小樽市の小学校の特別支援学級に去年から通っています。
川村先生「クラスのみんなと楽しく遊んでる様子も見せてもらってる。学校にいって健ちゃんも周りの子にもプラスが大きいその部分を応援したい」
まだかむ力が弱い健太郎くんは1日3回ミキサーにかけたご飯を食べます。
母・照子さん「カレーライスが大好きです。ご飯食べるのも3歳過ぎてから、3歳まではミルクを飲んで哺乳瓶で栄養をとってた」
当初、小児の訪問診療があることを知らなかったお母さん。
川村先生にはいつも感謝していると言います。
母・照子さん「大きい病院の間に入ってくれるのがすごく心強い。急に夜熱が出たりご飯が食べれなくなるくらい体調が悪くなったときに、必ずすぐに診に来てくれて」
医療的ケア児のいる家庭ではほとんどの場合母親がつきっきりで子供の世話をしています。
ともすれば孤立しがちになる現状に・・・
母・照子さん「一人で抱え込まないで周りの方のサポートをもっと受けやすくなると良いなと思います」
川村先生「医療での困りごとは僕たちも一緒にサポートするからできるだけ(医療の悩みは)小さく他のどういう風に生活したいかなとかいうことが大きくなれば良いかなって思ってます。在宅医療で僕たちがやっている役割としてそういう子供がいろんな所に出ていけるように思ってやっている。子どもたちのためでもあるしそういう地域や社会になってほしい」
病院に通うことも難しく毎日を生き抜くために医療的ケアが必要な子供たち。
実は川村先生が行っている医療的ケア児の訪問診療は全国でも珍しいスタイルです。
子供たちの笑顔のためにいま医療的ケア児に対する支援と理解が必要とされています。



























