クマに襲われた養鶏場、対策費50万円超に苦悩…クマ対策は「身近な脅威」中学校ではクマ対策を考える授業
2025年11月 7日 18:42 掲載
道内で相次ぐクマ被害。先月、出荷直前のブランド鶏がクマに襲われた養鶏場は、対策にかかる費用に頭を悩ませています。
先月24日、深夜に岩見沢市の養鶏場の敷地内で撮影された映像。1頭のクマが巨体を揺らして歩いています。一度立ち止まり、周りの様子を確認してから箱わなの横を通り過ぎていきました。
この養鶏場「北海道ウイングファーム」では3日前に鶏がクマに襲われていました。
北海道ウイングファーム 小川弘康代表)
「解体施設でその次の日に解体するためにこっちに移してきた約20羽がいたんですけど、その中の17羽がこの中で殺されていた」、「一瞬呆然とするしかなかったんですけど何が起きたかというところで最初に考えたのはこれはひょっとしてクマではないかと」
先月22日、飼育小屋の扉が壊され、ブランド鶏の「美流鶏」20羽のうち17羽が、死んだ状態で見つかりました。2羽はいなくなり、小屋で生き残っていたのは1羽だけ。被害額はおよそ20万円にのぼります。
クマはまだ捕獲されていないため、養鶏場ではラジオを大音量で流すなどの対策をしていますが、鶏がストレスで産卵率を落としているということです。
北海道ウイングファーム 小川弘康代表)
「どこだと安心というのがまったく分からないのと、私たちの農場が場所的に川に挟まれているというのがありまして全方位警戒する必要があるのかなと」
新たな被害を防ぐため養鶏場は電気柵や監視カメラの設置などを計画していますが、問題はその費用。50万円以上がかかる見込みで、養鶏場は現在、クラウドファンディングで資金を募っています。
北海道ウイングファーム 小川弘康代表)
「皆さんの食卓や飲食店に今までと変わることなく納品できるように続けていきたいなと思いますので少しでもご支援いただけたらありがたいです」
クマによる被害が相次ぐ中、道と市長会、町村会は7日、環境省にクマ対策の緊急要望書を提出。狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」として、退職した自衛官らの人材確保に向けた支援策や予算の拡大を求めました。
環境省 堀上勝 自然環境局長)
「できるところから今始めていますので、スピード感をもってやっていきたいと思っています。みなさまのご要望を踏まえてしっかり対応したい」
北海道 加納孝之副知事)
「道としては市町村のみなさんと一緒になりながら、道民の人命を最優先に住民の安全安心が確保されるようヒグマ対策にしっかり取り組んでいきたい」
政府は要望を踏まえて緊急のクマ対策パッケージを今月中旬までにまとめるとしています。
「バーン」
道内初の緊急銃猟が先月行われた札幌市西区の西野地区。西野中学校では7日、クマ対策を考える授業が行われました。
生徒)
「地球温暖化で減少している木を増やしてクマの食べ物を増やして人里に降りる理由をなくすというのがいいと思いました」
次回の授業では生徒たちのアイディアを市の職員や専門家らが評価するということです。
生徒)
「西野は山に近いんで、本当に身近なんだなっていうのを家で話したりしてます。必ずこうすればクマと共存できるっていうのはないけど、アイデアを持つことでクマの対策がなんかできるのがすごいいいなと思います」
西野中学校 武井達弥先生)
「この地域なんですけど、知らないことがやっぱり多かったというところがあったので、より彼らはクマについての危険性とかクマとの共生について考えていくきっかけになったのではないかなと」
道警によりますと、道内のクマに関する通報は過去最多の4968件。人身被害も5件起きていてクマ対策は待ったなしの状況です。



























