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追跡!5年前の死亡ひき逃げ事件 「犬をひいたと思った」運転手の女性が不起訴に 無念の遺族は?

シリーズ「総力報道・追跡」。
5年前に起きた死亡ひき逃げ事件。
札幌地検は今年9月、運転手の女性を不起訴処分にしました。
「納得いかない」と話す遺族の思い、そして運転手の主張を取材しました。

5年前の2020年8月14日、飼っていた4歳の柴犬・ベルとの散歩中、交通事故に遭いました。
車を運転していたのは当時66歳の女性。
過失運転致死とひき逃げの疑いで、警察に逮捕され、「死亡ひき逃げ事件」として報道されました。今年9月。

事故から5年が経ち、札幌地検は、運転手の女性を不起訴処分にしました。
遺族は検察から「嫌疑不十分」と説明を受けたといいます。
不起訴処分ということは、この先、運転手の女性に対して刑事裁判が開かれず、刑罰が科されることが、基本的には無いということです。
遺族は納得がいきません。

浅野さんの長女「何のための5年間だったのかなと、担当の検事によっては、まず不起訴はありえないという言葉もいただいていたので」

はねたのは「人とは思っていなかった」などと説明してきたという当時66歳の運転手の女性。

不起訴処分を受けて、本人から初めて話を聞くことができました。

事故が起きたのは夏の雨の降りしきる夜、午後7時半ごろ。
すでに、陽は落ちていました。

遺族などによりますと、浅野さんは、傘をさして、リードをつけた愛犬の柴犬と一緒に道路を横断していました。
事故を起こした車は、浅野さんが渡り始めた場所から、一番遠い車線を走っていたといいます。車は事故の後、現場から走り去りました。
浅野さんの長女「父はバス停よりも奥で倒れていて、犬はもっと手前の方で倒れていたと聞いている。」

事故の第一発見者は、道路に面した家の人です。
「仏間で野球を見ていたら、ドンという音とキャンという犬の鳴き声が聞こえ、障子を開けてみると、車はいなかった」
すぐ家の外に出たという男性。
犬と人が倒れていることが分かり、警察に通報しました。

佐藤裕樹「HTB北海道テレビの佐藤と申しますが、」あの事故から5年。
今回HTBの取材に対し、不起訴になった運転手の女性が説明した事故の詳細はこうです。

午後7時半ごろ、直線道路を走行していた女性。
激しい雨が降っていて、見通しが悪かったといいます。
信号の手前では、制限速度の時速40キロで走っていたものの、信号が青だったことからアクセルを踏んで、時速50キロ以上で走行中…。
突然、犬と衝突したといいます。
フロントガラスに穴が開き、その穴から雨風が入り込んできたといいます。
しかし女性は事故後、そのまま現場を立ち去りました。

「一時的にものすごい嵐の状態で、フルにワイパーも稼働したものの、一切何も見えませんでした。別に逃げたわけではありません。暗くて、雨も激しく、何も見えなかったので、Uターンして戻るのは危険だと思いました」

「あくまでも犬だけと思っていたので犬だけだとしても、飼い主に弁償しないといけないと思い、すぐに現場に戻りました」

警察によりますと、女性が現場に戻ってきたのは、事故からおよそ10分後でした。
一方、浅野さんの遺族は、女性が犬をはねただけと主張しているのに対し、事故当時、女性が浅野さんをはねたことを認識していて、現場から立ち去ったのではないかと考えています。

浅野さんの長女)
「(検察によると運転手の女性は)言っていることが二転三転していることが多くて、それなのにその人の言っていることが全部信じられて不起訴になるのはおかしい」。

札幌地検の元検事で、交通事故の被害者支援も行っている中村浩士弁護士です。
5年もかかったことについて、検察としても「処分に悩んだのではないか」と推察します。

中村浩士弁護士
中村浩士弁護士

中村浩士弁護士「防犯カメラあるいはドライブレコーダーというものがなく、被害者の動きも不明だし、当時の天候状況も不明で、当時の状況や視認距離の再現も不可能だったと、こういったところで不起訴にしたと予想される。殺人事件は必死に客観証拠を緻密に立証して、収集して重ねていく。ただ交通事故の場合には、同じく人が亡くなっているのに、捜査にかける時間であり、人員であり、捜査費用が伴ってこない実態があり、緻密な立証が必要なのに、それに必要な捜査がなされていないという実態は否めない」

この日、不起訴処分が決まってから初めて、父親の墓を訪れた浅野さんの長女。
浅野さんの長女「不起訴になって本当にごめんなさいという気持ち。最後までできることはやるともう決めているので、まだ諦めていないということだけ伝えた」

母親を病気で早く亡くしたこともあり、父親とは、大人になってからも仲が良かったそうです。

運転手の女性は記者の取材に、およそ30分にわたり応じ、「激しい雨で視界が悪く、何も見えなかった。瞬間的な事故だった」という説明をしました。

佐藤記者「そんなに視界が悪かったのであれば、徐行しなければいけなかったのではないでしょうか?」

運転手VO「まぁ、そうなんですけど。それは警察署でもいろいろやり取りしていることなので、いま話すつもりはありません」「ただどんな形でも、浅野さんが亡くなったことは間違いないので、いまでも朝晩に必ず供養しています」

浅野さんの遺族は、不起訴処分に納得がいかないとして、先月、検察審査会に申し立てを行いました。
今後、審査会の結果次第では、起訴される可能性もあります。

浅野さんの長女「ドラレコや監視カメラがないということで、運転手の女性が見えなかった、分からなかった、の一点張りで、それが認められるのが許せない。起訴してもらわないと、私たちの気持ちも収まらないし、もうそれしか父に対してできることがないので、起訴してほしい」

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