冬にニセコエリアの「外国人スタッフ」数千人が転入する北海度倶知安町 地元住民との「共生」目指す試み
2025年11月29日 11:09 掲載
11月上旬、北海道倶知安町役場には朝から多くの外国人の姿がありました。ほとんどが転入の手続きです。
■ニュージーランドとイギリスから:
「ニュージーランドとロンドンからきました/私たちはヒラフで一緒に働いています/日本には素敵な人々、美味しい食べ物、そして良い健康保険があります」
■オーストラリアから:
「ニセコのホテルチェーンで働いています
Qどのくらい?
冬のシーズンの6カ月間です/経験のために来ました。雪や様々なこと、スノーボードのスキルを磨くためです。」
」ニセコエリアに多くのホテルや観光施設を抱える倶知安町。
毎年、スキーシーズンで働くため多くの人がこの町に移り住みます。
去年11月から今年3月における外国人の住民数は最大で人口の2割以上にまで急増しました。
■倶知安町住民環境課・萩原茂課長:
「(事業者は)働き手を確保するのに全世界から来ているのでなかなか苦労する部分もあると思うのでみなさん早めに動かれているっていうところもあるのかなと」
国際的に評価が高いパウダースノー。スキーシーズンがはじまると町には世界中から観光客が押し寄せます。
繁忙期になると外国語を話せるスタッフの需要が高まり、短期的に多くの人手が必要になります。
町内や近隣町村だけでは手配が難しいため、外国人従業員の募集が年々増えているといいます。
■地元住民:
Q外国人多いと感じる?
「感じます」
Q関わることは?「ないですね。働きに来ている方は若い人が多いし私たちはスキー場に行くこともないですし」
■地元住民:
「スーパーに行くと(外国人が)いっぱいいる/別にお付き合いするわけでもないから気にならない」
外国人住民とのトラブルを未然に防ごうと町は外国人向けにガイドブックを作成しました。
今年からは特に守ってほしいマナーを記したチラシを複数の言語で用意するなど対策を強化していますが、この時季になると地元住民からの相談が増えるのが現状です。
■倶知安町住民環境課・萩原茂課長:
「冬になると違う国から来られる外国の方が増えてきて分別のされていないゴミがゴミステーションにいれられて回収されないというトラブルがやはり多くなってきます/(ほかに)よくあるのが騒音だとかあと路上駐車の関係ですね」
季節的に急増する外国人住民。
地元住民との共生を目指す、新たな取り組みが始まりました。
スキーシーズンになると海外から多くの人が訪れる北海道倶知安町。
ニセコエリアの観光業を支えるため、季節的に外国人住民が急増します。
日本語サロン「にこちゃん」。
町内に住む外国人と日本人の交流の場として2022年に作られました。
町の地域プロジェクトマネージャーの佐藤礼乃さん31歳。
誰もが住みやすい町を目指して活動しています。
■地域プロジェクトマネージャー・佐藤礼乃さん:
「外国人がたくさん訪れるにも関わらず日本語を勉強する場所がないからまず作ろうっていうのが1つと/外国人と地域住民の方たちが交流する場も少ないっていう課題がありましたので、そこで地域日本語教育の教室として立ち上がったっていう感じですね」
札幌出身の佐藤さん。ワーキングホリデーを使ってカナダで過ごしたことをきっかけに言語教育に興味を持ち、資格取得後はベトナムで2年間日本語教師を務めました。現在は町の職員として、「にこちゃん」の運営を支えています。ここでは日本語で話す練習や、日本語を使ったゲームなどを通してことばや文化を学んでいきます。
■3回目参加者:「ゲームはとても良いアイデアだと思います。日本語を学ぶ人を助ける良い方法です。コミュニティで新しい人と出会うこともできます。サポーターの皆さんと友達になれたら嬉しいです」
■初参加者:
「オーストラリアから来ました。スキー、スノーボード、そして働くため」
Q参加してどう?
「私は楽しいです!」
普段外国人と交流する場面のない地元住民にとっても貴重な学びの場となっています。
■地元住民:
「色々なところからきているのでそういう人たちとコミュニケーションをとるのが楽しいなって思ったのと/英語がほとんど話せないんです。
英語も話してみたいなと思って参加しました/色々なことを聞けて楽しいです」
■地域プロジェクトマネージャー・佐藤礼乃さん:
「町の様子とかを見ているときに地域の方と外国人との距離感みたいなものを感じて/共生っていうワードが前に出てくることで私が活動することで誰かに迷惑かけるんじゃないかなとか傷つくんじゃないかなとか慎重に考えて動かなきゃいけない場面もあって」
普段から感じていた「外国人と日本人の距離感」。
話し合わなければ、町づくりが始まらないと考えた佐藤さんは今年から「直接意見を交わす場」を新たに用意しました。
この日は町の住民など26人が参加し現状の問題点と町の未来像について話し合いました。
■地元住民:
「1番の大きな問題は季節的に労働者が多いことだと思う/冬の仕事をするために来る人が仕事のためじゃなくてずっと住む対象になるようにした方がいい」「ゴミの分別も倶知安の分別がすごい細かいからわからないことがあって起きていることだから/こういう話し合いを冬とかもできたら色々な人の困ったことがわかるんじゃないかな」「一方的に日本のルールはこうだからって言うのではなくて/こういうことが違うんだよって説明することでまた少し改善できる方法があるのではないかと」
初めての取り組みを終えて、佐藤さんは。
■地域プロジェクトマネージャー・佐藤礼乃さん:
「意外とみなさんポジティブに考えているってことがわかったので私としては本当によかったです/外国人が外国人って呼ばれないでどこ出身の誰さんって感じで1人1人がコミュニケーションを取れるような町になったらいいなと思います。」
様々な課題を抱えながら今年もめぐり来るスキーシーズン。外国人住民と地元住民。手探りの冬が、始まります。



























