【密着】認知症の妻(87)に届け! 感謝をオカリナの演奏で…練習重ねた夫(88)の奏でる音色に妻は
2025年12月 6日 10:35 掲載
今年10月、HTBに1通のメールが届きました。
88歳の男性からです。
「12月にオカリナの発表会があります。認知症の妻に私の演奏を聞かせてあげたいので、テレビで放送していただけないでしょうか。最後の夢をかなえていただければ幸いです」
認知症の妻にオカリナの音色を届けたい。メールを送ってくれた88歳の夫に密着しました。
■桐生芳郎さん(88歳):
「こんにちは。お待ちしておりました。」
HTBにメールをくれた桐生芳郎さん、88歳。
今は1人、札幌市内のサービス付き高齢者向け住宅で暮らしています。
妻の静子さんは、7年ほど前に認知症を発症し、今年2月グループホームに入所しました。
■桐生芳郎さん(88):
「妻の認知症を介護して一緒に暮らしていたんですが、今年2月に悪化したので」。
Q一緒に暮らせなくなって寂しくない?
「そりゃ寂しいですよ。60年もずっと一緒に暮らしていた夫婦が急に裂かれて一人きりになるとね。」
道職員だった桐生さんは、およそ60年前上司の紹介で静子さんとお見合い結婚。
夫婦そろって音楽好きで、静子さんはカラオケを。桐生さんはピアノを習っていました。一軒家からの引っ越しを機にピアノからは離れましたが80歳から通い始めたのがオカリナ教室でした。
■桐生芳郎さん(88):
「じっとしていられないタイプだから、なんかしていたいなって。オカリナが手っ取り早いかな」
■桐生芳郎さん(88):
「(妻が通っていた)デイサービスで吹いたことがあるんですが、その時も妻が一番前にいて聞いていてくれた。これが最後になるかもしれない。演奏会をもう一度妻に見せてあげたいなと」
高齢のため、最後になるかもしれない発表会。もう一度、長年連れ添ってきたに妻に自分の演奏を聞いてもらいたい。
■桐生芳郎さん(88):
「お父さんだよしばらくだね。元気だった?」
■妻・静子さん(87):
「元気」
桐生さんは想いを伝えるため妻・静子さんの元を訪ねました。
■桐生芳郎さん(88):
「お父さんのオカリナをお母さんに聞いてもらいたいの」
■静子さん:
「お父さんがかい?」
■桐生芳郎さん(88):
「お父さんオカリナふくでしょ」
■妻・静子さん:
「珍しいね」
■桐生芳郎さん(88):
「珍しいね。珍しいけどね。お母さんも聞いてちょうだい」
認知症になってから表情や会話が少なくなったという静子さん。
発表会で笑顔を見ることはできるのでしょうか。T発表会1週間前毎月2回、通っているオカリナ教室。発表会では教室の仲間と一緒に6曲演奏します。本番にむけて半年間、練習を重ねてきました。
■オカリナ講師国分友美さん:
「特に高齢になってくると指が動かなくなってくるので、ちょっとでもスキマが空いていると音が全然変わってきちゃうのでそこが難しい」。
吹き続けること1時間半。この日が本番前、最後のレッスンです。
■桐生芳郎さん(88):
Q最後の練習はどうでしたか?
「緊張しました。こんなに緊張すること最近ないです。もう少し練習して頑張ります」
ついに発表会の日がやってきました。
■桐生芳郎さん(88):
「88歳にもなると、なるようになるさという感じ」
この日のために毎日2時間、自主練習を重ねてきたといいます。
会場に続々と人が集まる中、そわそわした様子の桐生さん。
■桐生芳郎さん(88):
「気になって気になってしょうがないんだ。いや気になってねしょうがないのさねやっぱり」
妻・静子さんが来るのが待ち遠しいようです。
■桐生芳郎さん(88):
「来た、来ました。わあ」
100人以上が集まった会場。いよいよ桐生さんの出番です。
■桐生芳郎さん(88):
「お母さん、わかる?」
■桐生さんの妹:
「オカリナ聞けたね、お父さんの。よかったね。」
■妻・静子さん:
「よし」
■桐生芳郎さん(88):
「よかったかい?」
「よしだって」
■桐生芳郎さん(88):
Qまた発表会に出る?
「私?もちろん。来年もあれば出ます。体が続く限り」
愛する妻へ。
桐生さんはこれからもオカリナで優しい音色を届け続けます。
【スタジオ】
音楽を聞いて妻・静子さんの脳の活性化につながればという想いもあり今回の発表会に誘ったそうです。発表会には95歳の男性もハーモニカで出演していて、桐生さんもまだまだオカリナの演奏を楽しんでいきたいと話していました。



























