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生活困窮者の住宅支援…のはずがTシャツとキャリーケース以外の家財処分され強制退去 和解金は55万円

生活困窮者の住宅確保を支援する居住支援法人に指定されている札幌市の不動産会社が、家賃を短期間滞納した生活保護受給者を強制退去させていたことが分かりました。

猪野亨弁護士)
「滞納して2週間と経たないうちに家財道具とか全部処分してしまったわけですから、極めて乱暴なやり方ですね」

札幌のアパートを強制退去させられたのは生活保護受給者の40代男性です。
このアパートを提供していたのは、生活困窮者の住宅確保を支援する「居住支援法人」として道から指定を受けていた札幌の不動産会社でした。

5月中旬に不動産会社とアパートを契約した男性。6月、7月は期日通りに家賃を支払いましたが、8月は期日の1日までに支払うことができませんでした。
その後、不動産会社から8日までに支払わなければ強制退去になる旨の連絡を受けます。

そして8月17日、男性が外出先から帰宅すると、Tシャツ1枚とキャリーケース1個を残して、不動産会社によって部屋の家財が全て処分されていました。

事実上の強制退去に対し、男性は10月、「強制退去に必要な司法手続きを経ず違法」だとして、不動産会社を相手取り札幌地裁に提訴しました。

男性の弁護士によりますと、不動産会社が慰謝料など55万円を支払うことで今月4日、和解が成立しました。

不動産会社は、HTBの取材に対し、このように話しています。

不動産会社)
「強制退去という手段をとるには早かった。相手はもともと問題を抱えていた人で、問題を起こさないからということで契約をしたのに、家賃を滞納され、感情的になってしまった」

この会社の居住支援でのトラブルは、今回が初めてではありません。

消費者支援ネット北海道によりますと、2023年度から違法性が認められる強制退去の相談が少なくとも4件寄せられています。

原告側・猪野亨弁護士)
「居住支援と生活支援ということが、この業者が指定業者としてあるわけですから、そこを抜きにして立ちどころに追い出すっていうのは、やり方としてはまず間違ってるということですよね」

専門家は、道の居住支援法人の指定基準を見直すべきだと指摘します。

早稲田大学人間科学学術院(地域福祉)古山周太郎准教授)
「(指定基準は)結構ゆるゆるだと思います。ほとんど手をあげれば通すみたいな制度の維持を考えると、5、6年(居住支援法人が)拡大してきた中でちょっと立ち止まって内容をじっくり調べる時期なのではないかなと」

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