船の専門家が証言「36度で3秒揺れると横に吹っ飛ばされる」 知床沖観光船沈没事故 運航会社社長の裁判
2025年12月24日 17:37 掲載
知床沖の観光船沈没事故の運航会社社長・桂田精一被告の裁判できょう(24日)船舶の専門家が証人として出廷し、「当時、船は36度ほど傾いていた可能性は否定できない」と証言しました。
■高橋海斗記者「いま桂田被告が釧路地裁の中へと入っていきます。これから3回目の裁判証人尋問が始まります」
2022年4月、知床沖で乗客乗員26人を乗せた観光船「KAZU1」が沈没した事故。
運航会社「知床遊覧船」の社長・桂田精一被告は、悪天候が予想される中運航管理者などでありながら運航の中止を指示せず観光船「KAZU1」を沈没させ、乗客乗員を死亡させた業務上過失致死の罪で起訴されています。
先月行われた初公判で弁護側は「事故は予見できなかった」などとして無罪を主張しています。
■高橋海斗記者「3回目の公判に出廷した桂田被告ですが、専門的な話が始まると長い間、目を閉じて微動だにしくなる場面が多く見受けられました」
きょうの裁判では船の模型を使い、揺れに関する実験を行った国の水産研究・教育機構の主幹研究員が検察側の証人として出廷しました。
事故当時の海の状態などから、向かい波を受けた際、推定される船の状況について「36度ほど船体が傾いていた可能性は否定できない」などと述べました。
裁判長からは、
■裁判長(再現)「Q、横揺れが36度になると、KAZU1内部はどういう状況に?」
■証人:水産研究・教育機構主幹研究員(再現)「揺れている状況なので中はえらいことになる。船は安全でも乗客乗員は大変なことになる」
■裁判長(再現)「Q大変というのは?」
■証人:水産研究・教育機構主幹研究員(再現)「36度で3秒揺れると横に吹っ飛ばされる」
また、きょうの証人尋問では運航会社「知床遊覧船」の元従業員2人が証人として出廷。
そのうち1人は2016年から2020年まで「KAZU1」の船長だった男性です。
桂田被告について「船や海のことは知らない」と証言しました。
■検察官(再現)「被告人は運航管理者をできると思った?」
■知床遊覧船元従業員(再現)「思わない」
■検察官(再現)「なぜでしょうか?」
■知床遊覧船元従業員(再現)「船のことに関しても、海に関しても知らない」
■検察官(再現)「定点連絡を被告人が受けたことは?」
■知床遊覧船元従業員(再現)「いいえ」
■検察官(再現)「いつでも連絡をとれた?」
■知床遊覧船元従業員(再現)「いいえ」
■検察官(再現)「連絡先を知っていた?」
■知床遊覧船元従業員(再現)「いいえ」
次回の裁判は来月21日で、運航会社の元従業員や他の観光船業者の関係者が証人として出廷する予定です。



























