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"ふっくりんこ"の挑戦!人気の北海道米がスイーツやクラフトビールに! 

ニュース

元・函館支局 わたなべ

2020/02/12

子どもに人気のスイーツ 原料は"米"

函館市の隣にある北斗市。

北海道の水田発祥の地とされるこのマチで子供たちから圧倒的な人気を集めている給食があります。
それが、「ふっくりんこのムース」です。"ふっくりんこ"は道南で開発されたお米の品種。甘みが強くその名の通りふっくらとした炊きあがりが特徴のお米で、冷めても美味しいことから航空会社のファーストクラスにも使われています。

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5年前にJAと北斗市が共同開発し給食の献立に並んで以来、「ふっくりんこのムース」の人気は衰えを知らず、去年8月、ついに北斗市内の店で販売が始まりました。同じく給食で人気を集める「ふっくりんこのタルト」とあわせて売り上げは予想の3倍以上だといいます。

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開発を担当したJA新はこだての田山光幸さんは驚きを隠せません。

「学校給食の商品ですからまさかこんなに売れるとは思いませんでした。何よりもやっぱり地元の人が"ふっくりんこ"を『食べたことある』『地元のもんだぞ!』っていうことができるきっかけになっていると思います。最終的にはマチを宣伝してもらって消費拡大が進んでそして生産者が少し応援できるようなことになればいいですね」

減り続ける米の消費量

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国内の1人当たりの米の消費量はおととし53.8キロと1960年代に比べて半分以下に落ち込んでいます。農業経営の専門家は米以外に主食が多様化しているので米の消費が上向くのは難しいと指摘します。

「消費量の減少に合わせて、後継者不足などもあり全国的に米農家が減少を続けている。地元発信で新しい小さな取り組みを重ねていくことが米産業全体を支えるうえでも重要になってくる。」(北海道大学・小松知未 講師

米穀店が挑戦するのは意外にもビール

その小さな取り組みも実を結び始めています。
北斗市で100年以上続く澤田米穀店の4代目、澤田導俊さんは去年から"ふっくりんこ"を使ったポン菓子の製造・販売を始めました。
油や添加物を使わずに小さな子供でも食べられることから首都圏でも注目をあつめ、ベトナムなどアジアへの販路拡大も狙います。

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ほかにもぬかを使ったふりかけや炊き込みご飯の素などを開発してきた澤田さん。今年から本格的に販売を始めたのが米を使ったクラフトビールです。ビールは一般的に主原料の麦芽に水とホップを加えて発酵させますが、澤田さんはこれに副原料として"ふっくりんこ"を使えないかと考えました。

「お米を食べる以外に米を消費すると考えたときに、おつまみの時間でもお米に登場してもらいたいという思いでビールを作る。私がビール好きだっていうのもあるんですけど。(奥さんはなんて?)米屋がビール作るなんて聞いたことないから面白いねって賛成してくれました。」

地元の米・"ふっくりんこ"を使ったビールづくり

製作を始めたのは去年8月。澤田さんが訪れたのはコーヒー豆の焙煎を専門とする函館市の珈琲文庫でした。コメの香りをクラフトビールでもしっかり出せるようにとコーヒー豆のように煎ることにしたのです。使うのは焙煎機ではなくフライパンです。煎る時間は10分ほど。煎りすぎるとえぐみが出るためです。

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「窯で焼くと高温、高圧でやると内圧が高いと絶対お米がはじけちゃうんですよね。ポン菓子みたいに。色々テストして何パターンかやってこれが一番よかった。プレッシャーになりますけどコメの感じを残した焙煎をしてお渡しするので完成するのが楽しみです。」(珈琲文庫 川崎宏・代表)

生産者の顔が見えるコメを使いたいという澤田さんの思いから、使われるお米は北海道知内町にある帰山農園のお米。新しい米の品種"ゆきさやか"を使った日本酒を作るなど消費量を増やすための挑戦を続ける農家の一つです。

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待ちに待ったビール売り切れ続出 4月に向けて再醸造へ

東京にある羽田麦酒で醸造が始まってからおよそ2ヵ月半。今回の醸造分、150リットルが完成しました。函館産のテングサも入れて、米の香りとさわやかな飲み口に仕上がった「ライスエール 米穀店クラフト」。売れ行きも好調で4月以降の再販にむけて醸造の準備を進めていると言います。

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札幌の百貨店で開かれる、「ビアトピア2020」にも出品が決まっている"ふっくりんこ"を使った"米屋のビール"。企画する澤田導俊さんは将来、小麦から水まで全て北海道産でのビールを作りたいと話します。

「米屋なのでコメの楽しさを伝えるということでビールをみんなの手に渡ってうちの店に来たりそうじゃなくてもお米を選ぶ楽しさ、こういう生産者がいてこういう原料でいろんなかたちになってるというのをいろんな人に知ってもらえればとおもいます。」(澤田さん)

この記事を書いたのは

元・函館支局 わたなべ

道民歴6年目。道南、函館を中心に北海道のいろんな情報を発信していきます。