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青いツバメ

戸島龍太郎
戸島プロデユーサー、タジキスタン・ロケにて

 10月下旬から11月上旬にかけ、泉谷しげるさんと一緒にタジキスタン共和国に入りロケを行いました。出発前に私も泉谷さんも友人に言われたことが、「危ない」「気をつけろ」ということでした。何の根拠も無いんですけどね。モスクワの空港から深夜2時に出発する飛行機に乗り約4時間、タジキスタンの首都ドウシャンベに到着しました。到着したときはどんな国なんだろう・・と緊張していましたが、街中を車で走ると緑が多く、子供達が道端で遊ぶ光景が見られるなど、のんびりした雰囲気が漂っていました。日本にいるだけではわからない国の姿がありました。

 秋野さんは7年前、首都から車でガタガタ道を5時間も走る山岳地帯で射殺され、200メートルはある崖の下に落とされました。道路脇に地元の人の手で作られた慰霊碑を前に、泉谷さんは涙を流していました。秋野さんが望んでいて、自らその姿を見ることのできなかった、ありふれた平凡な日常があるタジキスタン。今のタジキスタンは秋野さんの努力や犠牲が決して無駄になっていないことを実感したからです。秋野さんに今のタジキスタンを見せてあげたい・・・撮影していたカメラマンは涙を流しながらカメラを回しました。またディレクター、ADに現地のドライバーなどスタッフ全員が同じ気持ちになり、自然と涙がこぼれてきました。私も「秋野さん、あなたのおかげですよ。タジキスタンは随分すごしやすい国になりましたよ」と思うと、目からこみあげてくる涙を抑えることはできませんでした。 撮影に入る前日までは雨が続いていましたが、撮影がスタートする日からずっと好天が続きました。青い空に映える白い雪をかぶった山並みが続くダイナミックなタジキスタンの自然もじっくりご覧下さい。

 優香さんが秋野さんの娘さやかさんに父親の思い出などを聞くシーンは札幌で1月上旬に行いました。しかし撮影前日、札幌は大雪。「優香さんが札幌に来ても、これは屋外ではダメだな」。スタッフ一同、撮影日も大雪だったらどうしよう・・・と思いましたが、撮影当日は青空が広がるいい天気に恵まれました。撮影場所は秋野豊さんが好きだったという三角山からつながる山の上です。青空のもと、優香さんとさやかさんは初対面とは思えないほど意気投合し、撮影前から友人のように会話が弾んでいました。優香さんはさやかさんの心の中にためていた父親の思い出などをうまく聞き出しました。

 秋野豊さんはなぜ国連の政務官になってタジキスタンに行ったのか、そして遥かタジキスタンに何を遺したのかなど、これまで報道されていなかった真実が明らかになります。そして約90日間の滞在中に家族と交わしていたメールを紐解くと見えてきたのが、父親の娘に対する愛情、また人間としての大きさ。番組全体を通して、北海道出身の日本人にこれほどまでに偉大な男がいたのかということを感じとっていただきたいですね。





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