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めぐみ横丁

2014年02月13日(木)

 

寝不足の日々がもう少し続きそうですね。 

ソチオリンピック。 

画面から伝わってくる″本気″に 、涙腺ゆるみっぱなしです。   

 

 

さて、前回のブログで宣言した通り、

与えてもらった漢字一字をヒントに、コラムを綴ります。  

( 断続的に、ゆる~く。) 

一回目は、依田アナウンサーから。 テーマは「恵」。  

 

*              *              *        

 

  離れて暮らす父が、最近、ハートの絵文字つきのメールを送ってくるようになった。 

絵文字の使い方を、母に教えてもらったのだろうか。

 

数年前、中学・高校の国語の先生として長年勤めた学校を定年退職。

時を同じくして、私が父の身長を追い越した。

少し元気がなくなっているかな、と思っていたが、ここのところ楽しそう。

聞けば「カレンダーが真っ黒」 なのだという。

 

「今日は海外の方向けの日本語教室」

「明日はボランティア」

「畑仕事もしなきゃ」

 

電話口での声が、心なしか声が弾んでいる。

カレンダーの余白とともに寂しさを埋めているのかもしれないけれど。

 

  そんな父が、去年の初夏、時間ができたからと言って札幌に来てくれた。

「ただいま」

「おかえり」  

夜、家に帰ると、にんにくたっぷり!特製カレーの香りが鼻をまとう。

 

急いでカバンを置き、 台所に立つ父の少し丸まった後ろ姿に向かって、

わざと唐突に、「ねぇ、なんで恵って名前にしたの?」 と聞いてみた。

命や家族愛について考えるドキュメンタリー番組ナレーションの

準備をしていた時期だったこともあるし、

こっぱずかしいことを聞けるのは、今しかない、と直感的に思ったから。

父は、手を止めることなく、 細い声でぼそっと呟いた。  

 

「お前は色んな人からめぐみを受けているけど、

 もっと人に与えられるようにならないと。 」

 

勢いとはいえ、聞いてみて良かった、と思った。 

頭の中が自分のことばかりで埋めつくされてしまう時や、気持ちが弱っている時、

この言葉を反芻するようにしている。   

 

*              *              *  

  

続いてのお題を頂戴しに、向かったのは・・・ 

 

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