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登場人物

勝又花子 … 渡辺えり

腰の不調を訴えだした夫の信一に変わってこの頃は製麺所の切り盛りを一手に引き受けている。明るい性格でまだまだ体力もあり働き者だが、信一が、還暦を迎えた頃から目に見えて体力が衰えだしたことが気になる。気がつけば花子はこの製麺所に嫁入りして以来ずっとムードメーカーの信一を精神的に頼ってきたのだ。難しいことは全部おとうさんが考えてくれる。だからあたしは、持ち前の体力でがむしゃらに働けばいい。その考え方が花子の楽天性を今日まで支えてきていたのだ。信一がいない日常。そんなことをちょっとでも思い浮かべると花子はたちまち心細くなるのだった。

キャストプロフィール

山形県出身。
1978年「劇団3○○(さんじゅうまる)」を結成、20年間主宰を務める。劇作家、演出家、女優として数々の話題作を発表し、1983年「ゲゲゲのげ~逢魔が時に揺れるブランコ」で第27回岸田國士戯曲賞を受賞、NHKドラマ「おしん」の兄嫁役で注目を集める。
現在は執筆活動、音楽活動にも力を入れ、幅広い分野で活躍。日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など受賞歴も多数。
最近のドラマ出演作品は、NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」、土曜ワイド劇場「100の資格を持つ女シリーズ」など。
TBS系「情報7daysニュースキャスター」にコメンテーターとしてレギュラー出演している。

勝又花子 … 渡辺えり

勝又信一 … 大谷亮介

数年前、一人娘の琴絵がずいぶん年上の男と結婚すると言いだした時には大反対をしたが、琴絵は反対を押し切ってその男と結婚してしまった。だが琴絵の結婚は結局うまくいかず最近離婚して孫娘の幸を連れて出戻った。信一は呆れ、そんな琴絵を情けなくも思ったが、同時に不憫でもあり、やっぱり琴絵のことが可愛いくてしかたがない。小さい頃から大事に育ててきたつもりなのに琴絵は自分の思い描いたようには人生を送ってくれない。自分もいつまでも元気でいられる年でもなくなってきた。信一がこの頃、毎晩睡眠薬なしでは眠れなくなった理由の一端には琴絵の将来を案じてのこともあるのかもしれない。

キャストプロフィール

1954年生まれ、兵庫県出身。
1986年「役者集団東京壱組」を旗揚げし、座長として活躍。
1997年「東京壱組」解散後は「劇団壱組印」を旗揚げし、三軒茶屋婦人会にも参加。舞台演出も多数手掛ける。
テレビ・映画での活躍も広く、テレビ朝日系「相棒シリーズ」刑事部捜査一課の三浦信輔役はあまりにも有名。

勝又信一 … 大谷亮介

勝又琴絵 … 吉本菜穂子

「お父さんは、あたしのこと可愛いって、そりゃ余所では言ってるかもしれないけどさぁ、でも結局あたしに自分の思い通りの結婚させたいだけだよ」と、琴絵はまるで自分が父親に束縛された身の上であるかのように認識している。だが、実際には、琴絵は自分の思いつきのままに生きてきている。そうしてその思いつきが上手く行かなくても琴絵は平気でいられるのだ。それは親に失敗することを許されてきた幸福な人生なのだということに琴絵は気づかない。

キャストプロフィール

1998年、早稲田大学演劇研究会に参加、看板女優として活躍。
2003年の退団以降「劇団、本谷有希子」のほとんどの公演に出演。
主な出演作、舞台「その夜明け、嘘。」「クレイジーハニー」、テレビ「深夜食堂」「歓喜の歌」「ミエルヒ」、映画「八日目の蝉」「まほろ駅前多田便利軒」など。

勝又琴絵 … 吉本菜穂子

勝又 幸 … 菊地梨希

小さいながら幸には芯のしっかりしたところがある。家では一人遊びばかりしているが不思議と人見知りをしない。この頃、身体の不調を訴えて幼稚園に迎えに来てくれない母・琴絵の代わりに、おばあちゃんの花子が幸を迎えに来てくれる。幸はいつも遊んでくれるおばあちゃんが大好きだ。でも、おじいちゃんの信一は幸と遊んでくれない。それに、たまに不機嫌に怒鳴る時の信一の大きな声が幸には恐い。だから幸は信一にはあまり近寄ろうとせず、琴絵がいないときは花子にばかりまとわりついている。

キャストプロフィール

2006年生まれ、北海道札幌市出身。
2012年、札幌のミュージカル劇団フルーツバスケットに入団。子役オーディションで抜擢され、このドラマがデビュー作品となる。12月には劇団フルーツバスケットオリジナルミュージカルへの出演も決定している。

勝又 幸 … 菊地梨希

山岸典文 … 遠藤隆太

両親を早くに亡くしている。高校を出てすぐに家業の建具屋を継いだが、注文もそれほど来ないので、この頃は木工に手を出している。近所の喫茶店のマスターが気に入ってくれて木製のフォークやスプーンを卸している。その喫茶店に少し前から毎日焼きそばの麺を配達に来るようになった製麺所の娘さんがいて、その人と知り合った典文はいつしか付き合うようになっていた。

キャストプロフィール

1984年生まれ、埼玉県出身。
少年時代に人間関係がうまくいかず引きこもりを経験するも、高校卒業後に人前に出てみたい願望に駆られ、舞台芸術学院・演劇科で芝居を学ぶ。卒業後に受けた青木豪主宰・劇団グリングのオーディションを機に2007年第14回公演に参加、以降、準レギュラーとして出演。
活動は舞台中心で、ドラマ出演は今回が初めてとなる。

山岸典文 … 遠藤隆太

酒田 … 根岸季衣

勝又製麺所に長く勤めてくれている古株のパートさん。琴絵が中学生の頃から出入りしているので、その頃製麺所の仕事を手伝わされていた琴絵と一緒に仕事もしたし、琴絵の結婚式にも呼ばれ出産の時もお祝いをして喜んだ。見てくれのわりに意外と心配性なところのある花子の相談にも乗り励ますこともある。琴絵も出戻ってからは時々製麺所で麺をゆでる手伝いをしているので久々に一緒に働いているが、この頃体調が優れないと言って仕事をさぼりがちの琴絵の容態に酒田は妙な女の勘が働き始めている。

キャストプロフィール

東京都出身。
大学在学中につかこうへいと出会い、舞台「ストリッパー物語」の主役で鮮烈デビューを飾り、脚光を浴びる。
1978年「ヒモのはなし」で第13回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。ほか「蒲田行進曲」の小夏役を演じるなど、つかこうへい黄金期を支える一人。テレビドラマ・映画でも幅広い役を演じ、変幻自在な様を見せつけている。
また、自ら結成したバンド「季衣 & THE BLUES ROAD」ではボーカルを務めるなど、その持ち前のエネルギーは計り知れない。

酒田 … 根岸季衣

千倉 稔 … 酒井敏也

勝又製麺所の近くにあるお寺の住職さん。信一の高校の後輩であり、信一の家は檀家でもある。稔はとうに50歳を過ぎてそのうち60にもなろうというのに未だに嫁の来手がない。昼間は他家に嫁いだ姉がお寺に掃除に来てくれて、あれこれと雑用もこなしてくれるので、末っ子根性が直らず、自分だけはいつまでも若いつもりでいる。
月に一回のペースで本堂で信者さんたちを集め、ありがたい仏様の講話をしているが最近、その講話を聞きにきた娘と親しくなり悩んでいるようだ。

キャストプロフィール

1959年生まれ、岐阜県出身。
つかこうへいに見出され、テレビドラマ「弟よ!」で俳優デビュー。以後、舞台・ドラマ・映画などで幅広く活躍。独特のキャラクターでバラエティ番組にも出演多数。
近年の出演舞台は「空中ブランコ」「マグダラなマリア」「人情噺こうやたかお」など。

千倉 稔 … 酒井敏也

日下部 瞳 … 占部房子

子どもの頃から父親に守られ、瞳は失敗する経験を持たせてもらえなかった。幼稚かもしれないが「やってみたいな」と思うことは折りにふれあったのだ。でも、そんな想いが湧いたとしても言えば必ず反対され父親が判断する道を歩かされてきた。お陰で失敗することはなかったかもしれないけれど、でも、自分の好奇心でしくじって痛い想いをするからいつか喜びもあるのではないだろうか。それを思えば幼い頃から失敗することを許されなかった瞳の静かな息苦しさには耐え難いものがあるのかもしれない。ずっと父親の判断する道を歩んできた瞳には、もうこの先は自分一人の判断で生きていきたいと願う気持ちが抑えきれないほど強くなっていたが、また同時に、父親から離れることに大きな不安も感じてしまうのだった。

キャストプロフィール

高校在学中、全国高校演劇コンクール最優秀賞受賞。1998年に舞台「夏の砂の上」でデビュー。その後は舞台を中心に活動するほか、映像作品にも出演。主演映画「バッシング」は第58回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、注目を集める。

日下部 瞳 … 占部房子

日下部清志 … 志賀廣太郎

小さい頃、家業が忙しくて両親にかまってもらえなかった清志は弟の面倒を見ることでせめて両親に愛されようとした。弟をかまい慰めてやれば弟は清志になつき、忙しい両親はそんな清志を「おまえは好い子だ」と愛してくれた。そのことが発端となったか、清志は大人になっても人を見ると救わなければと思うようになった。他人を救えば自分は見返りに愛される。それは幼い心に刷り込まれた無意識の呪縛だったのかもしれない。
一方、幼い頃から両親にかまってもらえなかった清志は自立心が強まり小さい頃から成績は優秀だった。そんな清志は、弟の面倒を見ながらいつしか弟に君臨していたことに気づかない。自分の言うとおりにしていれば失敗はない。その自信が本人の気づかないところで清志を尊大にしていたのだ。清志は結婚して娘が生まれた。だが清志にしてみれば、幾つになっても娘の思いつきなどどれもあぶなっかしいものばかりだった。おとうさんの判断するとおりにしていれば間違いはない。清志は娘の自発的な進路をことごとく退けた。そこにはもちろん愛情もあったのだが、その実、娘に君臨し息苦しいほどに束縛してもいたのだった。

キャストプロフィール

1948年生まれ、兵庫県出身。
桐朋学園大学短期大学部(現:桐朋学園芸術短期大学)演劇専攻科修了。1978年より母校の演劇科にて非常勤講師を務める。教壇に立つ傍ら、1990年に42歳で劇団「青年団」に参加。45歳で正式に劇団員となる。
2000年頃よりメディアへの出演が増え、ドラマや舞台において上司役や刑事役、教師役や医者役などを持ち前の風貌と渋い声で演じる。CMにも多く出演、様々な場面に欠かすことのできない名優。

日下部清志 … 志賀廣太郎