―2017年放送―
2017年08月29日
2017/01/29 (日)掲載 「頬ずり」 前田恭子（まえだ・やすこ ６７歳・主婦）＝登別市
新年早々、事件が起きました。
１歳の孫の男の子が２日夜になって急に吐き出したと、
娘があわてて連絡してきました。
翌日には熱も出てきたというのです。
もう、正月気分は吹っ飛びました。
娘は３日、４日と看病につきっきりです。
やがて孫の吐き気も治まり、元気を取り戻したころ、
こんどは孫以外の、娘を含めた家族３人に同じような症状が出てきたのです。
診察の結果、犯人はノロウイルスと特定されました。
小さな孫が、いったいどこで悪名高きウイルスに接触してしまったのか。
感染ルートは謎のままです。
ともあれ、娘家族が全滅なので、孫をわが家に連れてきて２日間世話をしました。
そして、いつもの習慣で、プクプクほっぺに頰ずりをしたのです。
しまった、と思いましたが、もう後の祭り。
孫が帰った翌朝、「ウッ」と吐き気が始まりました。
何度も何度も吐いてしまいました。
もう若くはないので、心臓はバクバクするし、
のどはぜんそく気味でゼイゼイ鳴ります。
そのころには、娘家族はすっかり復活。
私も幸い、２日間で快方に向かいました。
４０年間、
看護師として医療現場でさまざまな感染症から身を守り抜いた私ですが、
地球の引力ほども大きい孫の引力には、
あらがうことができませんでした。
やれやれ。〆
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