故人のパスワード不明でトラブル続出…いざというときにもめない!困らない!相続のポイントとは
2025年 4月16日 11:49 掲載
4月15日は語呂合わせで「良い遺言の日(よいいごんのひ)」です。「ゆいごん」を法律用語では「いごん」と読みます。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり大相続時代に突入するといわれている2025年。今回は、いざという時にもめない!困らない!相続のポイントです!
(相続の大問題その1デジタル遺品)
■例1
亡くなった兄がネット銀行に口座を開設していたのは知っていたが、どこの銀行かわからない。そこで携帯会社に兄のスマホの画面ロックを解除してほしいと依頼したが、「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われる。結局スマホから口座内容を確認することはできなかった。
■例2
亡くなった夫のクレジットカードの利用明細に1000円のよくわからない請求があるのを見つけた。カード会社に問い合わせると、サブスクの請求だとわかる。そこでサブスクの事業者に解約したいと伝えたところ「すぐに解約するためにはIDとパスワードが必要だ」と説明を受ける。
いずれも国民生活センターに寄せられた相談で、サブスクは契約者が亡くなっても解約手続きを行わないと請求が続いてしまう。
(デジタル遺品でトラブルを回避するために)
■終活マイライフ西藤博子さん「1番いいのは今自分が使っているもので、クレジットカードもそうですけど、使用頻度が少ないとかそういったものは自分が解約して数を減らすことが大切だと思います。亡くなってからだと手続きがどうしても煩雑になるので、シンプルに自分が常に使っているものにまとめて、それをご家族に知らせることが大切」「形の見えないものだからこそアナログですけど、紙に残して、残された方に少しでも手間がかからないようにしてあげることが大切だと思います」
西藤さんはいざという時のため契約しているサブスクなどのIDやパスワードを一覧表にして家族に共有しているといいます。自分の情報を記すエンディングノートにも、最近は「デジタル」の項目があり、スマホやパソコンのパスワードなどが記載できるようになっています。セキュリティーの問題もあるので国民生活センターではパスワードを書いた部分に修正テープを2、3回重ね貼りして遺族が必要な時にコインで削るという方法も紹介しています。
(相続の大問題その2相続した家)
実家など、相続した家を放置していると、ペナルティーが科せられる可能性があります。国は去年4月、所有者がわからない空き家や空き地をなくすため、不動産の名義を、亡くなった人から相続した人に変更する相続登記を義務化しました。相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科せられます。また倒壊の危険がある特定空き家や、その一歩手前の管理不全空き家と認定され改善がみられなければ、固定資産税が最大6倍に増える可能性があります。持ち主にとっても自治体にとっても悩みのタネである空き家の活用を進めようと、新たな対策に乗り出した自治体を取材しました。
(北広島市の空き家対策)
北広島市内にある一軒家。玄関がどこにあるのかわからないほど草木が生い茂っています。家の中には家財道具がそのまま…天井の壁紙は剥がれ落ち、カレンダーの時は2017年で止まっていました。北広島市では去年、全戸調査を行い市内にこうした空き家が400軒以上あることが判明しました。北広島市は空き家を活用すべく新たな対策に乗り出しました。先月から始めたのが賃貸や売りに出ている空き家や空き地を紹介するインターネットサイト「きたひろナビ」です。物件情報だけでなく周辺の飲食店や施設などの生活環境もわかるようになっています。
■北広島市建設総務課池端宏記さん「ラピダスや北海道医療大学が来るというところで住宅需要が高まる。土地もあまり多くないので今ある物件を利用してもらったり、そこでまた新たに建て替えてもらったり。(空き家を)買いたい人も売りたい人も、市の空き家対策としてもメリットがあるかなと」
また市役所の4階には相続した空き家の処分や活用方法など、住まいに関する相談ができる専用窓口ができました。去年4月に設置され、昨年度はおよそ200件、設置前の5倍の相談が寄せられたそうです。
(遺言のすすめ)
死後、家族が困らないために重要なのが遺言です。15日に札幌弁護士会が主催した遺言についての講演会が開かれ、およそ80人が参加しました。どのような人が遺言書を書くべきかについては…
■札幌大通公証役場公証人 野口幹夫さん「(子どもがない)夫婦で暮らしている。兄弟もいらっしゃるという時に配偶者に全部渡したいというような時は遺言書がないと手続きが取れない。不動産がある時には法定相続だと共有という形になります。ただ、そうすると不便になりますので、やはり誰々にはこの不動産をという風な決め方をした方がいい場合があります」
遺言には、法律のプロである公証人が正確に作成し公証役場で保管する公正証書遺言と、自分で書いて自宅などに保管する自筆証書遺言があります。
自筆証書遺言を書く際は、パソコンではなく、自らが本文・日付・氏名を手書きして押印する必要があります。遺言の紛失や改ざんを防ぐため2020年からは法務局で保管してもらうことも可能になりました。札幌弁護士会では相続や遺言についての無料相談も受けつけているということです。
■札幌大通公証役場公証人 野口幹夫さん「遺言の手続をする人を遺言の中で指定しておくと、その人がひとりで全部の手続きをすることができます。かなり便利というか、スムーズにことが進むと思います」