now onair

NEXT

違法とわかっていてなぜ建てるのか?神のお告げとは?追跡第2弾“建てたもん勝ち”違法建築物増加の実態

《山中の違法倉庫群 なぜここに?神のお告げとは?》
取材班が向かったのは札幌市南区の山中。違法に建てられた倉庫群があるという情報が入りました。登山道から逸れるとあるのは動物の足跡だけ。

■鈴木麻友記者「建物が出てきました。木々が生い茂る中に倉庫のような建物が見えてきました。そして左手の方にも何棟も建物が見えます。三角の屋根の建物が複数確認できます」

むやみな開発を防ぎ、適切な街づくりを進めるため、札幌市は南西部の国有林をのぞくエリアを市街化区域と市街化調整区域に分け、市街化調整区域では原則的に建物の新築や増改築を認めていません。しかし昨年度末までに確認された市街化調整区域の無許可建築物は3305棟。1年間に139棟増えました。

■札幌市開発指導課 坪田修一課長「ほとんどが事業者の違反建築。対応している中で『知らなかった』という声が多くあるので、もう少し周知することは必要だったかなと」

この建物はおよそ30年近く前、市民から「山の中で建物を建築中だ」と市に通報があり違法建築が発覚しました。上空からは建物が20棟近く確認できましたが人が使用しているような痕跡は見られません。HTBが開示請求した資料には、建物が建築された当時の、市と所有者とのやり取りが記載されていました。

■市担当者「市街化調整区域内では建築物の建築が規制されているが、どのように考えていたか?」
■所有者「知っていたが、止むを得なかった」

止むを得ない理由とは何だったのか。所有者を訪ねました。

■鈴木記者「止むを得ない事情とは?」
■所有者「天啓です。神様の天啓の場所ですから。神のお告げ。何があるか分からないから、あそこに助け場所を作れって言われた」
■鈴木記者「(建物の)除却命令が出ていると思うが?」
■所有者「ないない。命令なんかないよ。役所の上の人と話し合って、それで終わったんだから。市役所に税金払ってる。固定資産税がかかっている」
■鈴木記者「今後取り壊す可能性は?」
■所有者「なんで取り壊さなきゃならないの?」「何かあったらどうしてくれるの?」

倉庫には、緊急時に備えて日用品や着替えなどを入れているといいます。札幌市は「違法であっても家屋と判断した建物には固定資産税がかかる。納税しているからといって建築を許可したことにはあたらない」としています。しかし倉庫を撤去するよう求める命令は、違法建築が発覚した翌年の1997年に出されたきりでした。都市計画に詳しい専門家は指導を止めないことが重要だと指摘します。

■北海道科学大学建築学科 谷口尚弘教授「行政が本来であれば市街化調整区域を回って、監視。見て『だめですよ』とやれればいいが、行政は行政でたくさんの仕事を持っていて忙しいと。何もしないとまた増えていくし、そのままになっていくので、実効性うんぬんよりは言わないといけないんじゃないかな」

《農地をパークゴルフ場に・・・「けんかするためあえてやった」》
近隣の住民に親しまれている札幌市手稲区のパークゴルフ場です。市はトイレや受付などとして使われている建物は、市街化調整区域に無許可で建てられた違法建築物だとして、20年以上前から撤去を求める命令や指導をしています。さらにこの場所はもともとは水田で市街化調整区域の中でも農業以外の利用ができない「農用地区域」に指定されていました。「農地」の利用については、道が管理しています。

■石狩振興局農務課 石丸久恭主幹「自給率も確保しなきゃいけないという立場から、農地を守っていくという方向。優良な農地は守っていく方向で考えていると言えるかなと思います」

道も、20年以上前から農地に戻すよう命令を出し続けていますが、いまも営業は続いています。無許可でパークゴルフ場を作った土地所有者の男性は、数年前に亡くなりましたが、当時、月刊誌に「札幌市公認の無許可パークゴルフ場、連日大勢の利用者で賑わっております!!」と無許可での運営を公言する意見広告を出していました。男性が亡くなった後、家族に代わって行政とのやり取りを引き継いだという人物に話を聞くことができました。

■所有者の関係者「周辺の農家は、農家といっても農地を持っているだけで誰も農家はいなくて。みんな農用地をやめさせてくれと。農用地である限り『耕作しろ』という指導がくる。近隣の農家を代表して市役所の農業委員会、農政課とけんかをして、そのためにあえてやった。除却の意思はありますよ。ただ(建物を)壊してどうするの?ただ荒れ果てさせるの?というところなんですよ。現状のままどうするか考えさせてくれと」

市の開発指導課が建物の撤去を、また道が農地に戻すよう指導している一方で、札幌市の別の部署が飲食店営業の許可を出しています。保健所は、申請を受けると営業の場所が市街化調整区域かどうか、必ず地図を見て確認していると言います。しかし違法な施設と把握しても、食品衛生法の要件を満たしている場合は、許可せざるを得ないといいます。

■札幌市保健所食の安全推進課 寺島寛樹課長「申請を受けたら速やかに遅滞なく処理しなければならないと行政手続法の中で決まっていまして、飲食店の場合の標準処理期間が14日間と定められています」

市が強制的に建物を撤去する「代執行」は、実際に執行するにはハードルが高く、過去に1度も行われていません。事実上放置され「建てたもの勝ち」とまで言われる違法建築の現状について専門家は、ルールを見直す時期に来ていると話します。

■行政法に詳しい中央大学法学部 洞澤秀雄教授「代執行まではやらないというのが今までの実務として定着していたのが、今回のノースサファリでもうちょっとちゃんと権限があって、権限を使おうよという流れにもなり得るかもしれない。自治体として権限行使のルールをちゃんと作って行使をしやすくするということは考えられるかもしれない」

合わせて読みたい

HTB天気予報士
イチオシ!動画ポスト
HTB天気予報士
奇跡の子
テレメンタリー2024 知床沖観光船事故 2年後の影響 全国アンケート調査
NEWS onチャンネル
HTB NEWS LINE公式アカウント
みんなで防災!HTBポータルサイト

その他のニュース

一覧の続きを表示
htb