１番人気のメニューは生姜焼き。

■旭川からの客：
「おいしいです」

ラーメンのスープを混ぜて仕上げる「おばあちゃんのスパイスカレー」も。
■近江谷真由記者：
「うん、スパイシー、すごいスパイシーです。おいしい。ピリッとしますね」

札幌から車でおよそ１時間半。
人口およそ２７００人の空知の沼田町。

名物は毎年８月に行われる、夜高（ようたか）あんどん祭り。
迫力満点の喧嘩あんどんを見ようと、多くの観光客が訪れます。
　　
　町内の温浴施設にある「あきや食堂」は、去年７月に
オープンしました。店を切り盛りするのは、ともに７４歳の
秋谷進（あきや・すすむ）さんと妻の潤子さんです。

■千歳市から移住　秋谷順子さん：
「初めてですもんね。一緒ね（働くの）」
■千歳市から移住　秋谷進さん：
「２人ともわがままなものですから。親方２人いるんですよ。大変です」

実はこの２人、去年５月に千歳市から移住してきました。
進さんは元公務員。単身赴任が多かったため料理好きになり、いつか飲食店を開くのが夢だったそうです。

■秋谷進さん：
「現役の仕事は７２歳までさせていただいて、あとはちょっと隠居でもしようかなと思ったんですけれども、温泉施設があってそこの食堂があるんだけれども、そこはもう何年も使われていないと」

■秋谷潤子さん：
「はじめびっくりしましたけどね。でもやりたいんだったら
やってみればという感じでついてきました」

沼田町では、シニアの移住者が増加しているといいます。

■福島県から移住：
Q 沼田町はどういうところがいいですか？
「みんな優しいです」

宝島社の「田舎暮らしの本」が発表した
今年の「住みたい田舎ベストランキング」。
沼田町は人口５０００人未満のまち、シニア部門で
全国１位に選ばれました。

■沼田町　横山茂　町長：
「正直うれしいですね。令和元年度で２５人の方が移住していただいてたんですが、令和６年度で６５人の方に移住してもらっています」

秋谷夫妻が暮らすのは１軒家で家賃は月４万３０００円。
家賃の安さもさることながら、２人は沼田町に来て
驚いたことがあるといいます

■秋谷進さん：
「沼田町に来てびっくりしたのは、生活支援ということで、商品券を町民１人５０００円分くれるんですよ。やっぱり助かりますよね」

商品券だけではなく、町内の温泉で使える優待券も毎年１人５０００円分もらえるんだそうです。

■秋谷潤子さん：
「すごく住みやすいと思う。歯医者でも病院でも美容院でも割と飲みに行くのも近くだし」
高齢化が進む中、沼田町が進めてきたのが
「コンパクトエコタウン構想」です。

スーパーやクリニック、公共施設など生活に必要な施設を
半径５００ｍ圏内に集約させました。

■沼田町　横山町長
「高齢者が車を手放しても歩いて暮らせる、そういう環境が
非常に効果があったんじゃないかという風に思っています」

こちらは沼田町役場から歩いて４分ほどのところある
暮らしの安心センター。館内にはカフェ、デイサービス、クリニック、
トレーニングルームが併設されていて、
町民の憩いの場となっています。

■近江谷記者：
「トレーニングルームは無料で使うことができるんです」

■沼田町民（８８）：
Ｑここにはよく来る？
「毎日９時出勤。１時間、全部やります」
Ｑ無料で使えると聞いたが
「最高」

■沼田町民（７１）
「みんなと一緒にしゃべったり、いろんなことするからやっぱり来て楽しいです」

他にも町民が無料で使えるユニークな施設が。

■沼田町農業推進課　伊藤　勲　主幹
Ｑすごい寒いですね。
「そうですね」。
Ｑ何度ぐらいですか？
「いまで大体２度ぐらい」。
Ｑこれ雪ですか？
「この部屋は雪だけでこの建物を冷やしているんですよ」

ここは雪を活用した巨大冷蔵庫。
町民が持ってきた農産物が保管されています。
１年間無料で預けることができ、毎年８０件もの申し込みが
あるそうです。

移住者を呼び込もうと、こんな取り組みも…

■千葉から移住体験中　千葉克司さん
「家具はもう沼田町でもう全部用意をしていただいています。
私が持ってきたのは、このパソコンぐらいですかね。
何もなかったら全部自分でそろえるのも大変ですから」

高校教師を定年退職し、移住先を探しているという
千葉県在住の千葉克司（ちば・かつし）さん・６３歳。
沼田町が行っている「ちょっと暮らし」を体験を知り、
今月からおよそ２か月間、この町で暮らしてみることにしました。
移住体験用の集合住宅は光熱費込みで家賃月３万３０００円です。

■千葉克司さん：
「そこの場所にある程度の期間いないと、なかなかやっぱり
感じ取れないことってあると思うんですよね。
経済的にも非常に気軽にお邪魔することができた。」

さらに移住体験初日、町からまさかのプレゼントが…
■千葉克司さん：
「ななつぼしおいしくいただいています」
ちょっと暮らし体験中は、なんと沼田町産のお米が食べ放題。
最初にもらった５キロのお米がなくなっても、追加でお米を届けてくれるといいます。
■千葉克司さん
「こんな気前のいい自治体は他にあるのだろうかと最初に感じました。もう１袋いただくために一生懸命いま食べています」

現在７組が「ちょっと暮らし」体験中だという沼田町。
厳しい財政の中、多額の費用をかけて移住促進を進めるのには、
まちの存続への危機感がありました。

■沼田町　横山町長
「やはり３０００人規模の人口を維持できることによって
これ以上いろいろな機能がなくならないというか維持できるだろうというそういう思いもあるので、頑張って全国に発信して呼び込みたいというふうに思っています」