冬に備え今が繁忙期真っ只中 国内シェア約7割 雪国の生活支える「除雪車」の工場に潜入
2025年10月27日 16:32 掲載
雪国の生活を支える除雪車。1年でイチバン忙しい時季を迎えている札幌の工場に潜入してきました。
■段木涼太アナウンサー:
「目の前にピカピカの除雪車ありますが、こんな大きいんですね、大迫力です。」
段木アナウンサーが訪れたのは、札幌市に本社を置く除雪車メーカーNICHIJOの工場です。
■段木アナ:
「バチバチ音が聞こえますね」
■NICHIJO生産統括部 八木恒輔・職場長:
「鉄がいっぱいあって、それを色々な形に製作して作っていく作業になります」
■溶接の音:
「バチバチバチ」
ほとばしる火花。「製缶」と呼ばれる工程では鉄を溶接して部品を作る作業が行われています。この部品、見覚えありませんか?ロータリー除雪車の要となる部分です。
■NICHIJO 八木職場長:
「除雪車の雪を掻き込む部分オーガになります」
「機種にもよるんですが主力の/車両ですと、オーガの製作工程が22時間になります。」
NICHIJOが得意とする除雪車はオーガを使って雪や氷を粉砕し遠くに飛ばすロータリー車。
冬になると札幌をはじめ道内各地で活躍しています。
ここでは繰り返し寸法を測っているようですが、一体何をしているのでしょうか。
■NICHIJO 八木職場長:
「図面の寸法になるように調整していきます。1ミリ単位であわせていきます。」
ズレがあれば専用の工具で整えていきます。歪みを調整するためのレンチは両手でもたねばならないほどの大きさです。
■段木アナ:
「塗装を終えたのがこちらです、近くでみるとこんなに大きいんですね」
溶接を終えた部品は、札幌市内にある別の工場で塗装され、ふたたびこちらの工場に運び込まれます。
NICHIJOは1962年に日本除雪機製作所として札幌で創立しました。創業者が鉄道の線路の除排雪の課題に取り組むなか、国産初のロータリー機関車の開発に成功しました。
その技術を生かし、道路むけなどのロータリー車を中心に製造を行い、国内でおよそ7割のシェアを誇ります。
道路はもちろん、空港の駐機場や滑走路、JRの線路の除排雪など雪国の生活を裏で支えています。
■段木アナ:
「今度は細かいパーツが並んでいますね」
■■NICHIJO 八木職場長:
「ここは部品が入荷する場所になっています。」
一転して細かい部品が並ぶこの部屋。除雪車を組み立てる前に細かい部品を仕分ける場所です。
■段木アナ:
「重い、ずっしりですねこれ家庭で使うことはないと思うんですが…」
このボルトは、車両の走行を支える装置に使うもので、太さは2センチもあります。
■段木アナ:
「ようやく形が見えてきたといいますか、完成形が見えて来ましたが」
■八木さん:
「タイヤがつく部分ですとか、組付けて車両にしていく組み立て工程になります」ここからは部品を組み立て、除雪車を完成させていく工程です。
前半は自動車としての部分を取り付ける作業、白い羽がついたのはエンジンです。
■段木アナ:
「見たことのない大きさですね。」
■八木さん:
「乗用車よりはかなり大きさがある」
■段木アナ:
「運転台に作業員の方もおられています。これはどういう工程なんですか?」
■八木さん:「ここの工程は、車両の電気の状態ですとか。
油の状態をチェックして、エンジンをかけて走行確認をする工程になっています」運転席まわりが取り付けられると、はじめてエンジンがかけられます。
♪エンジン音
無事にエンジンが始動、エンジンは370馬力。一般的な1500CCクラスの自動車の3倍以上のパワーがあるそうです。
■段木アナ:「初めてエンジンをかけるって緊張しますがどうですか」
■作業員:
「毎回バクバクです。/1台1台仕様が違うので毎回新鮮な気持ちでは作っています」
いよいよ大詰め。除雪装置の取り付けです。
■段木アナ:「ここから勢いよく雪が飛び出すのを見ますよね」
シュートと呼ばれる、雪を飛ばす方向を制御する装置。真っ赤に塗装された雪や氷を砕く装置オーガも取り付けられ完成です。
このロータリー車のサイズは幅2.2m全長およそ8m高さおよそ3.6mで重さは14トンにもおよびます。
こちらの工場では、1台の組み立てに8日間を要し、年間およそ200台が生産されているそうです。
完成した除雪車の助手席に段木アナが乗せてもらいました。
■段木アナ「お邪魔します。
高い」いろんなボタンがありますね。
レバーも多いですね」除雪装置を動かすレバーは複雑な操作が必要なため、オペレーターは、運転技術に加え操作技術の習得も求められます。
■段木アナ:
この仕事をやっていてやりがいを感じる瞬間はありますか」
■NICHIJO 八木職場長:「道路を走って除雪という北海道になくてはならない自分のおこなった作業が形になるのはやりがいになっています」
札幌にも近づく冬の足音。この工場で産まれた除雪車が活躍を始める季節は、もうすぐです。
【スタジオ】
▼除雪車が今後どんな進化を遂げるのか話を伺ってきました。
・いまの除雪作業は車を運転しながら、除雪装置を操作しなければならないが、オペレーターを養成するまで時間かかる。
・除雪装置を自動で操作することでオペレータの補助をする研究が進められている。
・実用化できれば除雪現場の人材不足解消の一翼を担うとの期待も。



























