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函館で「人魚」を描き続ける車いすの女性画家 込められた思いは…GLAYのTERUさんも応援

函館に「人魚」を描き続ける女性画家がいます。
車いすで生活する彼女が「人魚」に込める想いとは。

函館市内で行われた個展。並べられた画は全て「人魚」をモチーフに描かれています。

■来場者:
「物語が気になるからなのか引き込まれるものがありますね」

■来場者:
「ダークな感じにも見えるけど、色鮮やかで美しいところもあって」

人魚は足が不自由な人の象徴として描かれています。手がけたのは自身も足に不自由がある函館市の画家・木下春菜さんです。

■木下春菜さん:
「童話の人魚姫は声と引き換えに足を手に入れて陸の生活をする。現代・人魚はヒレのまま声も失わずに車いすに乗って生活できる、何1つ不自由なく人生を生きることができるというメッセージを込めている」

中学1年の時、登校中に突然歩けなくなり、病院で原因不明の筋力低下を告げられた木下さん。武蔵野美術大学へ進学し、東京で1人暮らしを始めたことを転機に「車いす」を日常的に使うようになりました。この日、木下さんが向かったのは行きつけの手芸店。

趣味の洋服づくりため材料探し。

車いすのおかげで1人で行きたい場所に行けるようになったと言います。

■木下春菜さん:
「行動範囲が広がって、生きる世界も広がり、人生が変わりました。」

一方で、車いすを使うようになって何気ない言葉に傷ついたと言います。

■木下春菜さん:
「街で知らない人に『若いのにかわいそうね』と声をかけられたことが何度かありました。私は全然かわいそうじゃないのに、むしろハッピーなのに、なぜそう思われるのか。そこから『世の中には車椅子=不幸というイメージがあるのかも』と気づきました。」

木下さんはアトリエで函館の観光名所「金森赤レンガ倉庫」で控える絵画展に向けてメインとなる作品を描いていました。

タイトルは「happy2ndbirthday!」です。

■木下春菜さん:
「障害を負った日とか第二の人生が始まった日でセカンドバースデーを持っている人が結構いて、わたしもセカンドバースデーを祝うタイプの人で。今の自分があるのはこういう体になって人生を見つめ直せたからって言うのがあって…この人魚たちは障害を不幸なものだと捉えてなくて幸せな人生を歩み始めた人たちっていうのでティーパーティーをしているシーンです。」

画に思いを、託します。

迎えた赤レンガ倉庫での絵画展。木下さんは20の作品を展示しました。
「happy2ndbirthday!」が仕上がったのは前日の夜でした。

■木下春菜さん:
「セカンドバースデーって中途障害を患った人とか大病をわずらった人とか…」

できるだけ多くの人に人魚に込めた思いを伝えます。来場者の中には福祉施設で働く人も。

■来場者(福祉施設に勤務):
「これから人魚として生きていくっていう第2ステージというか。これから何か始まるのかな、未来しかないなって車いすの子たちに伝えてほしいなって」

■来場者:
「地上では立てなくても楽しく過ごしてる脚は2本では歩けないけど楽しいよって楽しそうに見えます」

そして、最終日。現れたのは函館出身の大スター・GLAYのTERUさんです。

■木下春菜さん:
「誕生日2つあるっていうと驚かれるので作品にしてみようって」

■TERUさん:
「僕は毎日が誕生日だよ(笑)」

■木下さん:
「おめでとうございます!(笑)」

TERUさんが木下さんのSNSをフォローしたことで知り合い、今回の展示もTERUさんの声がけがあって実現しました。

■TERUさん:
「自分に置かれているジレンマ・フラストレーションを人魚という形に置きかえるというのは木下さんならではだと思うので函館から世界に出発してほしい」

木下さんはライフワークとしてこれからも人魚を描き続けるといいます。

■木下春菜さん:
「今は不幸じゃないよ、かわいそうじゃないよっていうメッセージを強く伝えられたらいいなと思ってるんですけども。でも、その車椅子ユーザに対して、なんかそういうネガティブにある思いを抱く人が少なくなって、今度はただの「人魚」、見て楽しむだけの存在に変わっていってくれたらいいなって思います。」
Q木下さんは不幸じゃないと繰り返しているが幸せ?
「幸せです(笑)」

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