女子アイスホッケーの“新星” 輪島夢叶さんに密着
2025年12月11日 12:10 掲載
開幕まで2カ月を切ったミラノ・コルティナ冬季オリンピック。最終予選で得点王になった女子アイスホッケーのニューヒロインに密着しました。
迫りくる敵を鮮やかにかわし、果敢にゴールを狙う。
苫小牧が生んだ女子アイスホッケーのニューヒロイン。彼女の名前は、輪島夢叶(わじま・ゆめか)、23歳。
2025年2月、苫小牧。オリンピック出場をかけて戦った最終予選。3試合で、チーム最多の5得点を決め、スマイルジャパンをミラノに導きました。
■輪島夢叶さん
「4年前の悔しさもあるので、しっかりと結果を残して、オリンピックで得点をとれれば」
あと一歩。
あの時、届かなかった夢が、いま…
輪島夢叶(わじま・ゆめか)さん・23歳。苫小牧を本拠地とする女子アイスホッケーチーム「道路建設ペリグリン」に所属しています。輪島さんは、アイスホッケーをしていた母と兄の影響で、6歳から競技を始めました。ポジションは母と兄と同じフォワード。攻撃の要です。自ら突破するだけではなく、巧みにパスをつなぎ相手の守備を翻弄します。チームメイトとのコンビネーションを磨きます。
■輪島夢叶さん
「あれどうしたらいいです?(ゴールの裏を)回っていいです?なんか(ゴール前に)出てきちゃったんですけど」
彼女の武器は圧倒的なスピード。身長156センチと小柄な体格ながら、止まった状態から加速するまでの速さはチームの中でも、トップクラス。時速およそ40キロのスピードで氷の上を駆け回ります。
■道路建設ペリグリン・新谷誠監督
「小さな体で(状況を)打開して、チャンスメイクできるところが一番の持ち味。チームにいい流れを持ってくる、起爆剤のような選手」
■輪島夢叶さん
「(リンク)サイド走って(相手を)抜くっていうのは、自分のスピードを生かす部分でもあるので、そこは意識しています」
2025年2月オリンピック最終予選。得意のスピードで相手選手を一気に振り切り、パックを持ってからわずか6秒でゴールを決めました。3試合で5得点を決め、最終予選グループGの得点王となった輪島さん。以前は、得点を多く決めるタイプではなく、選抜チームに選ばれても出番は少なかったと言います。
■輪島夢叶さん
「ただ足の速い子みたいな感じで、そのイメージが多分強かったので、特に特徴あるわけでもなくて、お兄ちゃんからいまでも言われるんですけど”よく辞めなかったね”とすごい言われる」
彼女の意識が変わったのは4年前。輪島さんは右手首をケガして北京オリンピック目前で出場を逃したのです。それからはケガをしない体づくりに励みました。さらに、パスを選択していた場面でもシュートを積極的に打てるように練習を重ねました。
■輪島夢叶さん
「(最終予選の)中国戦の1点目は下(ゴール裏)から貰って、そのまま打ったけど、昔だったら(相手に)詰められたら適当に打っていたりとか、味方探してパスみてたと思うので、成長したシーンだと思っています」。
「はい、苫小牧栗林運輸でございます。お疲れ様です。お久しぶりです」
輪島さんは、地元・苫小牧で港湾運送を行う会社で働いています。経理課でデータの入力や伝票整理などの事務仕事を担当しています。女子アイスホッケー選手は、働きながら競技を続けている選手がほとんどです。輪島さんは、アイスホッケーの活動に支障がないよう、練習を優先するために週に2回程度の勤務に調整してもらっています。
■輪島夢叶さん
「私自身(仕事と競技の両立が)大変だなとあまり感じていない」
「代表に定着する前からサポートしてもらっているので、ありがたいなと思っています」
■輪島さんの上司・泉谷正明さん
「普段おっとりしているじゃないですか、本当にこの雰囲気でガンガンやっているのかと思って、スマイルジャパンの試合を観に行ったんですけど、『おぉ』みたいな。
噂には聞いていたけど…もうあれからファンです」
職場では、お茶目な一面も。
■輪島夢叶さん
「たまごっちは昔やっていました」昔やってて最近はやり出して(流行に)乗っているみたいな。うわ…何か持って来ればよかった。たまごっちの何か…」
■輪島さんの上司・泉谷正明さん
「輪島さん、ここ職場だからね」
家族や同僚のサポートを得て、すべてが順風満帆に思えた今シーズン。しかし…10月、所属チームのリーグ戦。輪島さんは試合中に右足首をけがしてしまいました。
■輪島夢叶さん
「けがした瞬間は終わった…って思いました。復帰して、自分のプレーが全然できなかったときに2~3週間経って、これ治るのかなという痛みだったので、本当に焦りと不安でいっぱいでした」
痛みと不安の中で支えとなったのが、幼いころにあこがれを抱いていた兄や家族の存在。輪島さんに前向きな言葉をかけてくれたと言います。
■輪島夢叶さん
「ケガしたときにメンタルが落ちやすい性格なので、ネガティブになる瞬間もあったんですけど、(周りの人が)けっこうポジティブな言葉をかけてくれるのでそういったところは本当に支えになった」
再び氷の上に戻ってきた輪島さん。
支えてくれた大切な人たちへの感謝を胸に、いま「叶えたい夢」とは?
■輪島夢叶さん
「オリンピックでメダルを獲ることです!ホッケーやっている人だったり、自分たちをみてスマイルジャパンに入りたいと思ってくれる小中高生の選手もオリンピックを見てたくさんいると思うので、そういった選手たちにもしっかりとメダルとるところを見せたい」
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックまで、あと2カ月。
夢の舞台はもうすぐです。



























