北海道の2025年を一気に振りかえり 各地で人の生活圏に迫るクマ 約400キロのクマも 若きハンターは
2025年12月16日 17:18 掲載
プレイバック2025です。今年クマによる被害が相次いだ北海道内。
クマが人の生活圏に近づき、対応に追われる自治体などで見えてきた課題とは
1月の小平町に、我が物顔で住宅街を駆け抜けるクマの姿が。クマへの警戒が季節を問わず必要になりつつあります。
先月、歌志内市では…
■運転手ら:(迫るクマ)「どうしよう。怖い怖い。襲われる」
今年、人の生活圏に相次いで出没したクマ。
北海道警察に寄せられたクマに関する通報は、去年のおよそ2倍の5222件。過去5年で最多となりました。
札幌でも目撃が相次ぎ、公園の閉鎖や学校の休校など市民生活に大きな影響が。
度重なるクマの出没に悩まされた道南。福島町では7月、新聞配達員の男性がクマに襲われ死亡しました。
■前田愛奈記者:「クマが男性を引きずったとみられる跡が残ってます。
住宅地から道路を挟んで、草地へと続いています」
男性を襲ったのは、4年前にも町内の女性を襲ったクマでした。
■通報者:
「かまれて引っ張られて被害にあった人が助けてと言っていたが抵抗は無力だった」
道は3年前に制度ができて以来初めてとなる「ヒグマ警報」を福島町全域に出しました。
死亡事故は知床半島の羅臼岳でも。
登山客の20代の男性がクマに襲われました。登山道では事故の4日前、人を恐れない危険な親子グマが目撃されていました。しかし、登山道は閉鎖されませんでした。
「ヒグマ警報」は札幌でも。
9月、西区の住宅街にある平和丘陵公園で、犬と散歩していた40代の男性が、クマに襲われました。
札幌市のクマの目撃や痕跡などの出没情報。
昨年度は100件を切っていましたが…。今年度は361件と3・5倍以上に急増しました。
なぜ人の生活圏に、これほど多くのクマが姿を現したのでしょうか。
■札幌市環境共生課坂田一人課長:
「(山の)中にはクマの食べ物になる植物が非常に今年少ない。山ブドウとかコクワとか、この時期クマが食べるものが見当たらない」
全道的にドングリなどの木の実が不作に。夏の暑さが原因と指摘する専門家もいました。
絶えることのなかった住宅地でのクマの出没。
10月、札幌市は住宅近くに居座ったクマ2頭が、住民への危険性があると判断。
■銃声
法改正で9月に始まった、自治体の判断で市街地での発砲を許可する「緊急銃猟」を道内で初めて実施しました。
住民の生活を守るため、昼夜を問わず、対応に追われている人たちがいます。
家庭菜園などでの食害が相次いだ道南の上ノ国町。
去年、町内で駆除されたクマの数は6頭でしたが今年はおよそ18倍の105頭に。クマ対策を役場職員4人で行います。
■石山雄大課長補佐:
「終わらなければ土日も来たりして本当に休みが取れない人が欲しい」
クマの対応に追われてばかりで本来の業務に手が回らないといいます。
11月、道北の苫前町で箱わなに入った体重380キロの巨大なクマ。
今年、このクマと格闘を重ねた人がいます。
地元のハンター、林豊行さんです。
れた個体とみられるクマ。箱わなに入る2週間前、雪が積もる住宅の近くをウロウロ。重さ300キロを超えるという箱わなを倒すパワー。
■林豊行さん:
「(箱わなを)かけた次の日にひっくり返されていたので、やられたなという感じ」
林さんは、8月31日に箱わなを設置して以降、ほぼ毎日、1人で見回りをしています。
■林豊行さん:
「やっぱり好きとはいえ、負担に感じることはあります」
ハンター歴49年の林さん。妻の喜美子さんも例年との違いを感じています。
■妻・喜美子さん:
「疲れているのを見ているときょうも(見回り)行くの?という感じになっちゃう。今年はばかみたいに多いみたいなので心配も倍以上」
去年0頭だった苫前町で捕獲されたクマの数は、今年7頭に。
■林豊行さん:
「私はたまたま元の仕事を辞めているから好きに動けるが/(猟友会は)あくまでも趣味の団体でさあクマが出たから必ず出ないといけないと拘束されるものではない」
北海道猟友会三笠支部の髙崎梨徒さん26歳。
後継者不足が課題となっている中で5月、道内で最年少となる支部長に就任しました。
■髙崎梨徒さん:「今年1月だと1月13日でも親子のクマの足跡を発見することはあったので/シカの出具合だったりそういうのを見ながら走ってますね」
9月、三笠市幾春別川向町では体長1・2メートルほどのクマが公営住宅の窓ガラスを割って室内に侵入。
■住人の女性:
「初めてですよびっくり」
クマは室内を物色することなくこの家に住む女性の真横を通って玄関の網戸を破りドアから外に出ていきました。この時、ハンターの1人として対応に当たっていたのは髙崎さんでした。
■髙崎梨徒さん:
「窓ガラス割ってしかも人の目の前を横切って家から出ていくという事案は本当に猟友会としても深刻だったのでこんなことがあってはならないよねということで一気に捕獲だったりパトロールの体制強化したんですよね」
■髙崎梨徒さん:
「上空からサーマルカメラで探すというのも今年実際行ってクマを見つけることもできましたし今までにないやり方をどんどん取り入れていくという面でも(支部長の)選出理由になったのかなと思ってます」
髙崎さんの活動は猟友会だけではありません。
3月にはクマの捕獲技術に対する研修やクマ対策の護衛を行う会社「GOE-MON」を設立。
ハンター不足が課題となる中で地域の実情に合わせたサポートや講座を開いていきたいとしています。
■髙崎梨徒さん:
「現時点だと被害と捕獲というところにものすごくフォーカスされてるんですけどただそれはその場しのぎといいますか」「例えば今ガバメントハンターを採用しましょうという動きだったりその警察のライフル使用、自衛隊のサポートとか」「それぞれの関係機関が手を取り合って市民の不安だったり駆除されるクマだったりも少なくなっていくといいなというのは思います」



























