「まさか自分の子が…」保育園の給食を喉に詰まらせ1歳で死亡 男の子の遺族が悲しみと憤りを語る
2025年12月18日 16:17 掲載
去年、札幌市北区の認可保育園で1歳1ヵ月の男の子が給食をのどに詰まらせて死亡した事故。亡くなった蓮くんの家族が初めてメディアの取材に応じました。
去年9月、1歳の誕生日を迎えた蓮くん。
でも、蓮くんは今年、2歳の誕生日を迎えることはできませんでした。
母・南さん「まさか自分の息子が亡くなるななんて思わないし、この先20年後とか蓮が20歳になったりとか、小学校になったり中学校上がったりっていう想像ばっかりしていたのでどんな子になるかなっていう」
段木涼太アナウンサー「亡くなった園児が通っていた保育園では昼食は全員が園内で調理された給食を食べるいわゆる「完全給食」だったということです」
去年10月23日、札幌市北区の認可保育園アイグラン保育園拓北で事故は起きました。
当時1歳1ヵ月だった蓮くんは、給食で出された「焼肉風炒め」を食べているとき、豚肉をのどに詰まらせて心肺停止となりました。
あれから一年以上がたち今回、蓮君の家族は事故後初めてメディアの取材に応えました。
祖母・まゆみさん「救急車が何台も停まっていて、それで中に入ってったら、園児が「蓮くん頑張れ、蓮くん頑張れ」ってみんな応援してて担任の先生が「私が悪いんです」って倒れ込んできて」
母・南さん「(搬送当時)もう青いというか緑というか、もう、人間が亡くなった後の色というか、普通の人間の肌の色ではなくて、本当に全身に呼吸が渡ってないような肌の状態の色で」
母・南さん「ずっと「蓮、ママ来たよって、大丈夫だよ。戻っておいで」ってずっと声かけてたんですよね」
蓮くんは救急搬送されました。しかしその後、息を引き取りました。
死因は気道閉塞による窒息でした。
母・南さん「蓮の人生はここで終わっちゃうの?っていう驚きがすごくてそれと同時に、今もそうなんですけど、現実を受け止めきれてないというか戻ってきてくれるというかまた会えるんじゃないかなって思っています」
事故からおよそ1年経った今年9月、札幌市のワーキンググループが検証報告書をまとめました。
報告書などによりますと、事故が起きる3週間ほど前、園は母親に蓮君の食事を離乳食の最終段階で形のある食べ物を食べ始める完了期へ移行ができないか尋ねていました。
母・南さん「1歳になる前ぐらいに、土日で食べられるものを増やしてきてくださいっていう風に言われていたんですよね。ちょっと本当に飲み込めるような大きさにカットして作ってあげて、(離乳食一覧に)丸付けてっていう風にしていました」
Q豚肉を1.5センチ、2センチ程度食べられると伝えたつもりはない?「そういうやり取りはしていなくて」
検証報告書では完了期へ移行中の園児には1センチ以下の豚肉が適切だったとしています。
しかし、実際に蓮くんに提供されていたのは1.5センチから2センチほどの大きさにカットされた豚肉でした。
蓮くんのそしゃく力が園内で共有されていなかったとしています。
一方、園はワーキンググループの聞き取りに肉の大きさなどについて母親に説明して承諾をもらったと話しています。
ほかの保育園では事故を防ぐためにどのような対策を行っているのでしょうか。
札幌市白石区にある認定こども園幌東。
0歳から5歳までの園児を預かっていて事故を防ぐために様々な対策をしています。
調理場では管理栄養士がいつでも確認できるよう、園児のアレルギーなどが書かれたホワイトボードを置いています。また保育士とのコミュニケーションも欠かさず行っています。
管理栄養士「大きさとかだと、そしゃくが弱い子が今年入園してきてたんで、その子が本当に食べれる大きさかなっていうのはすごく先生たちと打ち合わせしながら、このぐらいで大丈夫ですか、っていうのを何回もお話しました」
給食を出す前には必ず検食を行い、それぞれの園児が食べられるような大きさなどになっているか確認します。
亡くなった蓮君の家族は園の対応にいまも疑問があると話します。
祖父・誠治さん「最初は(園から)お悔やみの言葉をいただいたのですが、その後にマスコミが勘づいて色々と迷惑がかかると思いますので、こちらの方で対応しますのでお答えにならないでくださいっていうようなことを言われました」
疑問となる出来事は蓮くんが亡くなってからも続いたということです。
祖父・誠治さん「霊柩車に蓮を乗せ、私が抱えて、蓮を抱えてバスに乗り込む瞬間も(園側は)お詫びの言葉じゃなくて、「マスコミへのことは本当に伏せるように」っていうようなニュアンスで言われて保身だけしか私には思われませんでした」
検証報告書が出る前の札幌市の特別監査では当初、園の運営には問題が無かったとされました。その時、園から祖母のもとに電話があったといいます。
祖母・まゆみさん「今回のことで札幌市の方から、何のお咎めもなく無事に終わりましたので、っていうことで言われて、こっちの状況も全く考えないで、自分の意見を一方的に言うんだなって」
園は蓮君が亡くなった事故のことをいまどのように考えているのでしょうか。
HTBの取材に対し園を運営する会社は「離乳食の面談など運用はもともとあり、豚肉も事故後は小さくしている」としたうえで「検証報告書の内容を真摯に受け止め、改善すべきところは改善していく」とコメントしています。
警察は業務上過失致死の疑いも視野に慎重に調べを進めています。
母・南さん「(飼い犬の)ウユと蓮は本当に仲が良くて、お互い優しい性格だったんで。いい距離感でいたね」
母・南さん「考えないようにする時間を作ってどうにかどうにか毎日時間を流れるように努力したというか、一年経って、ああ、時間が経つってこういうことなんだなって風に思うことが増えてきて、精一杯、私はまた蓮に会えると思っているのでそれまで自分のことを一生懸命頑張ろうと、自分をとにかく、前向きに考えるように努力した一年だったかなと思います」



























