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ノースサファリをきっかけに浮上した市街化調整区域の違法建築問題 あの施設はいったいどうなる?

ノースサファリサッポロの無許可建築が明るみに出たのは、今年2月のこと。
この問題をきっかけに注目されたのが、「市街化調整区域での違法建築」でした。
札幌には、少なくとも3305棟の違法建築物が存在しています。
実態を追いました。

動物との距離の近さから「日本一危険な動物園」とも紹介された、札幌市南区の民間動物園、ノースサファリサッポロ。

年間10万人以上が訪れる人気スポットでしたが、その裏で違法な建築物を増やし続けてきました。

むやみな開発を防ぎ、適切な街づくりを進めるため、札幌市は、南西部の国有林をのぞくエリアを市街化区域と市街化調整区域に分け、市街化調整区域には、原則、建物の新築や増改築を認めていません。

ノースサファリサッポロがあるのは、まさに市街化調整区域でした。

園にある建物全てが、無許可で建てられた違法建築物です。

市は、オープンの前の年の2004年から20年以上にわたり建物を撤去するよう指導を続けてきましたが、去年12月時点で、違法な建物は、183棟に上りました。

無許可建築が増えたことについて、運営会社「サクセス観光」の当時の社長、星野和生氏は。
「調整区域に建物を建てる方々が(他にも)たくさんいた中で、そこはちょっと甘く考えていたのが一番の原因だったと思います」

規模を拡大し続けた園に対し、札幌市は。

秋元札幌市長「これ以上はもう看過できないということで、今回強い行政処分を行う前提で検討し、当事者にお伝えした」

2月、市がより厳しい、建物の「除却命令」を検討していることが明らかになり、一気に園の実態が問題となったのです。

そして9月。ノースサファリサッポロ、閉園。20年間の営業に終止符を打ちました。

10月には、無許可開発の都市計画法違反や動物愛護法違反の疑いで道警の捜査も入る事態に。

最新の市の立ち入り検査では、122棟の建物が確認されました。
市は、その全てを今月26日までに撤去するよう勧告しています。

撤去を困難にしているのが、動物の移動。
今も特定動物を含む242頭の行き先が見えない中、今月、新たな展開もありました。

ノースサファリサッポロの運営会社、サクセス観光に対し、「動物を救いたい」と支援を名乗り出た、東京の投資会社、「ビーチキャピタル」。

ビーチキャピタル 赤澤芳樹社長
ビーチキャピタル 赤澤芳樹社長

ビーチキャピタル赤澤芳樹社長「いろんな現実論を考えると今の場所で何かうまい事、(動物を)一旦移してまた(許可を)取り直してでもできたら一番スムーズかなと思っています」

建築物を撤去しながら、徐々に開発許可を取る方針で、年明けにも札幌市に詳しい計画を提示したい考えです。

少しずつ開発許可を取るという方法について、市は、「サクセス観光と無関係の事業者であれば、可能性はゼロではない」としています。

広々とした源泉100パーセントかけ流し露天風呂に。本格的なインドカレーも提供している定山渓の豊平峡温泉。

しかし、この温泉施設も違法状態にあります。
都市計画法上の「用途違反」です。

これは、今の運営会社が1991年に取得した開発許可の地図。
当時は、市街化調整区域でも許可を得れば開発できるゲートボール場などのスポーツ施設があり、温泉は、あくまでその付属施設として設置が認められていました。
つまり、スポーツを楽しんだ後に入浴する施設として、温泉施設が許可されたのです。
しかし、2022年、いつの間にか、ゲートボール場が無くなっていることが判明しました。

札幌市開発指導課坪田修一課長「本体のスポーツ施設がない中で温泉だとか飲食施設というのは単独ではやはり街中、市街化区域でやってもらう形になるので、それしか残っていないのであればダメな状態ですよ」

豊平峡温泉が違法状態を解消するには、再びスポーツ施設を造るか、建物の撤去が求められます。
ただ、こういった施設が例外的に認められる可能性も出てきました。

定山渓にある宿泊施設兼バードウォッチカフェ
定山渓にある宿泊施設兼バードウォッチカフェ

鈴木麻友記者「温泉施設などが立ち並ぶ商業区域のすぐ近くのこちらは市街化調整区域です。ただ、要件を満たせば調整区域内でも事業ができるケースがあるんです」

定山渓温泉街の一画にある、宿泊施設兼バードウォッチカフェ。
この建物は、もともと個人の別荘でしたが、市から宿泊施設や飲食施設への用途変更の許可を得たうえで、今年オープンしました。

用途変更が認められる後押しとなったのが、観光MICE推進課から開発指導課への意見書。定山渓の魅力を高めるために必要な「観光資源」だと、市の観光部門が「お墨付き」を与えたことで、例外的に許可が下りました。

他に「観光資源」と認められ、市街化調整区域での開発や建築が行われたケースは、札幌では小金湯温泉や羊ケ丘展望台、藻岩山展望台。

「お墨付き」には、市が指定した観光振興エリアに位置することのほか、建物の歴史的価値や年間10万人以上の来場が見込まれることなど、様々な条件を満たす必要があります。

豊平峡温泉は、2015年に市が策定した「定山渓魅力アップ構想」に含まれていて、「定山渓の観光に必要な資源」として用途変更の申請をすれば、認められる可能性があります。

札幌市観光・MICE推進課松平健次課長「豊平峡温泉につきましては、年間10万人の観光客や市民の皆さんが楽しんでいただいている施設という風に考えております。(違法状態が)改善された暁にはですね、しっかり観光資源として位置づけ、豊平峡温泉を引き続き応援していきたいという風に考えております」

豊平峡温泉の運営会社は、今後の対応について。

温泉の運営会社「市から施設の現状を報告するよう求められているので、雪が解けた春先にも測量などをして、新たに申請をする」

ノースサファリをきっかけに、今年浮かび上がった札幌の市街化調整区域の違法建築物の問題。ルールを守った上での、魅力ある街づくりが求められています。

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