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豊浜トンネル崩落事故から30年 遺族の想い 安全への願い

20人の命が奪われた北海道の豊浜トンネル崩落事故から2月10日で30年が経ちました。遺族が伝え続けるあの日の想いとは。そして事故を教訓に何が変わったのでしょうか。

“あの日”も雪が降っていました。

須藤真之介記者
「崩落現場の近くには慰霊碑が建てられています。2度と事故を起こさないという安全への誓いが刻まれています」

1996年2月10日、後志の余市町と古平町を結ぶ「豊浜トンネル」で巨大な岩盤が崩落しました。

戸島龍太郎
「乗員乗客19人をのせたバスと1台の乗用車はトンネルをくぐり抜け広い日本海を見ながら豊浜トンネルに。岩盤は崩れ落ち、(乗客らは)いまもなお取り残されたままです」

2次崩落の恐れがあり救出は難航しました。

(当時の)本間鉄男さん
「ぺちゃんこでダメだわ。もう生存の見込みなしだわ」「ビデオ見せてもらった」

本間鉄男さん
本間鉄男さん

古平町の本間鉄男さん。75歳。

当時17歳、高校2年生だった息子の敦(あつし)さんを亡くしました。敦さんは余市町の友達に会いにいくためにバスに乗っていました。

本間鉄男さん
「こういうふうに雪が降ってくると…」「あの事故の当日、豊浜でずっと待ってた、そういうことで常に思い浮かべてだから入れなかったあのトンネルのあの先の真っ暗だった情景がやっぱり頭に常に出てきますよね」

岩盤を砕くため、あわせて4回の発破が実施されました。

(当時の)本間鉄男さん
「『発破は一発でやれる』と、だから承諾したのに」

犠牲になった12歳から73歳までの20人が、トンネル内から運び出されるまで、1週間以上かかりました。

本間鉄男さん
「(発見された時)うちの息子はそのまんま写真のままですよ」「やっぱりねすごく自分の心の中には悔しさ、それはずっとやっぱり30年間ありますね」

崩落した豊浜トンネルの一部は現在も残っていますが、閉鎖されて陸側から近づくことはできません。2000年には山側を通るルートで新しい豊浜トンネルが開通しています。

事故を教訓に安全を伝え続けてきた人がいます。
対策本部の本部長を務めた高松泰さん。

高松泰さん
「家が札幌で通勤していたので電話が来て現地に」

当時、北海道開発局小樽道路事務所の所長でした。

(当時の)高松泰さん
「運転席と反対側の方は土砂の崩落が著しくて出せない」

発破など現場に駆けつけた家族やマスコミへの対応の一方で、救出のために岩盤を発破できるかなど厳しい判断を迫られたといいます。

高松泰さん
「発破の衝撃でひょっとして中に人がいる可能性が高いという状況の中で、座標・位置を計算しながら火薬量を制限してしまった」「岩体が一つのものではなくボロボロ崩れるような状態で思い通りに動いてくれなかった」

その後、高松さんは北海道開発局のトップを務め、安全への思いをより強くしたといいます。

高松泰さん
「点検とか新しい技術とか何かそういうことに自分自身も自然に考えが変わってくるキッカケにもなったかなと思う」「将来を見据えた道路のあり方というのを常に考えていく、アップデートして考えていくことが大事」

事故は防げなかったのか?

懸命の捜索が続いた
懸命の捜索が続いた

北海道開発局の事故調査委員会が調査を進めました。

「岩盤内部で地下水の凍結や融解が繰り返され、岩盤の亀裂が内部深くまで進んだ可能性がある」とし、「岩盤内の亀裂が原因だったため、外から見る調査では発見は難しく、予測は困難だった」としています。

10カ月後、遺族らはトンネルの安全管理などに落ち度があるなどとして国を提訴。2001年、札幌地裁は国の責任にかかわる「崩落の予見可能性」については判断を避けたものの、遺族に精神的苦痛を与えたとして、およそ4億5千万円の慰謝料を支払うよう命じました。

同じ過ちを二度と繰り返さないためにトンネルのメンテンスは強化されています。

北海道開発局小樽道路事務所・片岡敏行所長
「平成14年度に道路トンネルの定期点検項目や方法が定められまして、トンネルの近くに寄って目視による確認や打音と呼ばれるコンクリートを叩いて状況を確かめる打音検査というのを定期点検に取り入れられております」

事故後、直接トンネルに触れ、目に見えない異常を調べる打音検査のほか、すべてのトンネルに対して5年に1度の定期点検が義務づけられました。またどのトンネルの修繕に予算を優先的につけるかを明確にするため、トンネルの健全性を4段階で判定する基準が策定されています。

北海道開発局小樽道路事務所・片岡敏行所長
「日常の道路巡回や斜面点検を通じて異常を早期に把握することに努めてます」

トンネルの安全のために最新の研究も進んでいます。

これは室蘭工業大学が開発した機器の実験映像です。ドライアイスをトンネルの壁面に当て跳ね返ってきた音を分析し、亀裂などの異常がないかを調べます。ドライアイスは気化するためトンネル内に残ることはありません。

室蘭工業大学がドライアイスを使った機器を開発
室蘭工業大学がドライアイスを使った機器を開発

室蘭工業大学大学院工学研究科・板倉賢一特任教授
「人が打音検査をしてるときにコンクリート片が落ちてくる可能性も十分ある」「危険な場所に対してもこれでいけば事故は防げるだろう」

今後はAIの技術を活用し機器の自動化を進め、実用化につなげていきたいとしています。

室蘭工業大学大学院工学研究科・板倉賢一特任教授
「AIを使っていくことで膨大なデータ、ビッグデータの処理そのものの技術も発達してきた」「豊浜の事故以降、非常に状況は違ってきている」「あの事故がキッカケと言ってもいいのかもしれない。変わってきている」

合同供養は2028年まで
合同供養は2028年まで

2月8日、遺族会は現場近くに建てられた慰霊碑の前で合同供養を営みました。遺族の高齢化が進んでいるため、これまで続けてきた合同供養を2028年で終えることを決めました。

本間鉄男さん
「私は息子の分まで生きなきゃいけないという思いでなんとか1年でも何とか長生きして健康でいなきゃいけない」「そうやって長生きできれば」

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