宿代は特技で!? 過疎の町に外国人の滞在申し込みが殺到 “風の人”プロジェクト 狙いは? 北海道鹿追町
2026年 4月10日 19:33 掲載
人口減少に悩む北海道の過疎の町で、ユニークな取り組みが始まっています。外国人を呼び込み、地元の人とギブアンドテイクで町を盛り上げるということですが、一体どんなプロジェクトなんでしょうか?
北海道十勝の鹿追町。自然豊かなこの町にやって来たのは…
町民「もう少しゆっくり話してと言ったんですが…」。
外国人の女性「分かっているんだけれど、無理。頑張っているんだけど…」。
ヨーロッパからのチーズ職人。小さな町に、世界各国から外国人が訪れています。そのきっかけは?
ユーチューブ動画「日本が好き!そして、無料も大好き!」
ユーチューバーが発信した、こちらの動画。無料で泊まれるって本当?外国からの旅人がもたらす変化とは?過疎の町のユニークな取り組みを追いました。
北海道の鹿追町にやって来たのは、マリア・ヴァレンティナさん。オーストリア出身の38歳。チーズ職人として10年ほどノルウェーやドイツの工房で働き、現在は世界を旅して回っています。
記者「なぜ鹿追町に来ることを決めたのか?」
マリア・ヴァレンティナさん「決めるまで、いろんな経緯があって。本当に新しいプロジェクトだったから」。
雄大な自然が広がる北海道十勝の鹿追町。人口およそ4800人の小さな町で、ユニークな取り組みが始まっています。その名も「風の人」プロジェクト。企画したのは、地域おこし協力隊の吉村卓也さんです。
地域おこし協力隊・吉村卓也さん
「この町に少し滞在してもらって、そこに何かを残してまた次の所に旅立っていく。常に、そういう面白い人が出たり、入ったりしている。そうすると良い風が吹くのでは」。
世界を旅する人たちを町に呼び、特技やスキルを地域の住民に還元してもらう。去年4月から試験的に始め、当初は無料で滞在先を提供。これまで、アメリカやアフリカのルワンダから、3人の外国人が町にやってきました。
地域おこし協力隊・吉村卓也さん
「すごく暮らしやすくて良い所で、農業もあるし酪農もある所なんですけれど、人の流動性があまりあるとは言えない。そこにちょっと新しい風が吹くと、もっと地域は強くなるんじゃないか」。
オーストリア出身のマリアさんが、「風の人」プロジェクトを知ったきっかけは、というと。
ユーチューブ動画「日本にただで住んでみた。あなたもできる。こうやれば!」
去年、鹿追町を訪れたアメリカ人のユーチューバーが発信した動画でした。
地域おこし協力隊・吉村卓也さん
「やっぱりユーチューバーなので、結構話を盛るんですよね。見出しが『日本にただで住む方法』みたいな感じで、かなり景気が良すぎて。興味あったらメール下さいと言った。こんなに来ちゃった、メールが」。
世界中から届いたメールは、およそ200通。その中から選ばれたのが、マリアさんでした。今は、1泊1500円ほどの宿泊料が必要ですが、それでも破格の安さです。
マリア・ヴァレンティナさん
「私にできることを書けば、私を必要としてくれるかもしれないと思って。自分ができること全てを盛り込んだ、本当に長いメールを送ったんです」。
地域おこし協力隊・吉村卓也さん
「チーズメーカーだと言っているから、北海道のチーズっていろいろあるし、ここも牧場が多い所なので、きっと何かできるんじゃないかと」。
1カ月あまりの滞在期間に、町に何が残せるのか。地元の人との交流から始めてみますが…。
マリアさん「あなたと話したいのですが、私にはできません」。
町民「…」
マリアさん「通訳お願い」。
記者「これまで外国人と関わることはあった?」
町民「全然。私は84歳。今まではほとんどない。どうしたらいいか分からないね」。
マリアさんの本職、チーズ作りのワークショップも開くことにしました。
運営スタッフ「あしたはテーブル2つか1つかどちらが良いですか?」
マリアさん「2つあるといいと思います。そうすれば周りに立てるから。1つだと混みあってよく見えないかもしれない」。
運営スタッフ「10人来る?」
マリアさん「9人か10人だと思います」。
運営スタッフ「そしたら、テーブル2つ」。
ワークショップ当日。子どもから大人まで、16人が参加しました。町内の牧場で、朝、絞ったばかりの牛乳を使って、家庭でもできるチーズやヨーグルトの作り方を教えます。
マリアさん(通訳)
「もっと硬いのが欲しければ、もっと水を抜く必要があるので、もっとぎゅっとしてください。今は時間がないので、軟らかいものを使います」。
出来立てのチーズで、オーストリアのお菓子も作りました。
参加者「おいしい!なんて言ったらいいんだろう」。
参加者の中には、隣町の新得町からきた女性も。家族でヒツジの牧場を営んでいて、日本では珍しいヒツジのミルクを使ったチーズ作りを目指しています。
牧場経営の女性
「海外に学びに行きたいんですけど、全然その機会がなくて。勉強したくてもできないというもどかしい気持ちで過ごしていたので、マリアさんに来て教えていただけて、海外に行って学んでるみたいな気分になれているので、とてもありがたい」。
鹿追町民
「ここにいながら前回はアフリカのことを教えていただいたり、今回はヨーロッパの空気を感じたり。ここにいながら、いろんな国を感じられて、すごくいいなと思います」。
マリア・ヴァレンティナさん
「このプロジェクトに参加して、このような経験ができたことに本当に感謝しています。私が旅に求めているのは、まさにこういった経験なんです」。
風のようにやって来て、風のように去っていく。でも、ここにいる間は、共に生きる人であってほしい。世界の中の過疎の町、その未来は?



























