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え?10月ってもう終わるの?

2012年10月30日(火)

と、思わず声に出してしまいそうなほどの時の流れの速さ。

9月の猛烈な残暑もはるか昔に感じられるほどの季節の移ろい。

札幌はあっという間にもうすっかり寒いです。

ていうか寒くなって久しい。

そうかそうか、もうこのまま冬でいく、ってことだな。

そうかそうか。

ほとんど無かったな、秋。

秋ぃ~、どうしたんだよ~?

1年で一番お前が好きなのにぃ~!

なんて甘えてももう帰ってこないんだな。そうかそうか。

 

という訳で、ワケも無く年の瀬を感じ始めて

一人焦っている杉山です。こんにちわ。

 

あっという間という一言でさらっと片づけつつも、

よくよく思い起こせば今月も色々ありました。

 

上旬には鈴井会長の久々の舞台「樹海」を東京で見ました。

かつて僕に、「逆もまた真なり」という名言を教えてくれた鈴井さん。

若い頃に比べるとだいぶトゲは少なくなったようにも思いますが

それでも相変わらずの「らしさ」を突き通す姿勢に元気をもらいました。

ストーリーはもちろん、役者さんの芝居力も合わせて

とても面白く、刺激のある舞台でした。

 

で、終演後に楽屋にご挨拶に行ったのですが

そこでたまたまシゲちゃんと会い、

せっかくだからたまには、ってんで珍しく二人で食事に行くことになり。

車で来ていた彼は、安心して酒が飲みたいからと

一度家に車を置いて彼の住む街で食事することになりました。

「近所に超オススメの店があるから!」と。

 

頼もしい。

僕は元々東京出身ですが、北海道に越してもう20年余り。

東京の美味しい店などはもう全くと言っていいほど知りません。

「どこでもいいよ、ありがとう!」

という僕を助手席に乗せ、一路彼の住む街へと自慢の愛車を走らせます。

 

10分くらい走った頃でしょうか?

「あ~!?」

彼は突然叫びました。

「まったく逆方向に向かってる~!」

え?

「すいません、すいません、完全に道を勘違いしてました!」

彼は慌ててハンドルを切り、自慢のドライビングテクニックで

颯爽とUターンを決めました。キィィィ~!

 

頼もしい。

僕は元々東京出身ですが、北海道に越してもう20年余り。

東京の道などすっかり忘れてしまっています。

南も北も全く気にしていませんでした。

ていうかそもそも彼の家がどの辺なのかも分かってないし。

10分くらいで気づいたあなたはすごい。

さすがここ数年、東京中心の生活を送ってるだけの事はある。

「いや、別にいいよいいよ、急いでないし」

それよりゴメンね、ナビ役にもなれなくて。

 

そこから20分ほど走ったでしょうか。

しばらくして彼の住む街、彼の愛する我が家に着きました。

そうか、間違えなければ10分で着いたのね。

まあ気にしない気にしない。

 

「ゴメンナサイね、腹減ったでしょう」と、

彼は紳士的に僕の腹の減り具合を気にしつつ

車を駐車場に止めて歩き出しました。

「店は歩いて5分くらいで着きますから」

近いじゃない、安心安心。もう道を間違えることもないね。

なんて他愛のない話をしながら二人は中心街へと向かいます。

 

「ここです。」と、指でさした先にはこじゃれた創作和食屋さん的なお店。

さすが!グルメ通の有名芸能人のお一人。

外観からして既に美味そうですな。期待も高まります。

どうやらそこそこの常連らしく、慣れた感じで彼はのれんをくぐります。

「すいませーん、二人~」とか言いながら店の人とやりとりを開始。

 

頼もしい。やはり持つべきものはその街を熟知した友です。

僕なんて学生時代にバイトでこの街に来たことぐらいしかありませんから。

なんてことを考えてたら数秒で彼が出てきました。

 

「すいません・・・!」

え?

「満席だって...」

あら。

「え~、でも平日のこの時間に??おかしいなぁ~」

そうかそうか。ワガママを通せるほどの常連てことでもないのね。

「いやぁ~、やっぱここは予約入れないとダメだなぁ~」

とかなんとか独り言を繰り返しつつ、

「いや!でも大丈夫です!オススメもう1軒ありますから!」

とすぐにいつもの彼の自信満々の顔が戻ってきました。

「焼き鳥でいいすか?すごい美味い店あるんで!」

 

よかった。頼もしい。

やはり男たるものオススメの2つや3つは持ってないと。

さすがは有名芸能人の仲間入りを果たした戸次重幸さんです。

 

ということでまた数分歩いて、目的地に到着。

「ここです、ここ。今度は大丈夫ですから!」

と勢いよく店に入るや否や、

きびすを返してハトが豆鉄砲を食らったような男前の顔で、

一瞬にして戻ってくるではありませんか。

どうしたの??

「もうラストオーダーも終わって店閉まるって...」

え?

今何時?

10時半...。

早いねぇ。

うん、早い。これは仕方ない。君のせいじゃない。

 

行きつけの店の閉店時間すら知らない君のせいでは、決してない。

圧倒的に店が悪い。だって早いもん。

 

彼の住む街は結構ビジネスマンの多い地域だから

どうやら終電に向けてどこも早めに店じまいをしてしまうようです。

見渡してみると行燈やネオンが消えかけた店もちらほら。

 

まあ、その街に住んでるからって、

隅から隅までその街の特徴を知ってる訳ではないし、

男たるもの、店が何時に閉まるかなんてみみっちいこと考えてたら

やってらんねえ。

ね?そうだよね、戸次君。

君は、悪くない。

さあ、次へ行こう。だいぶお腹も減ってきたし。

 

「いやいやいや、まずいぞこれは...」とさすがに思案顔の彼。

「あ、でもまだある!!」

と地元を知り尽くした男は何かを思いついた。

「参鶏湯(サムゲタン)でもいいすか!?」

 

いいよいいよ、もう何でもいいよ。

こうなりゃ食えるものなら何でもいいよ。

なんて失礼なことは言わない。一生懸命考えてくれてるんだもの。

「いいね、参鶏湯!最初の店で和食モードにはなってたけど、

オレ切り替え早いから。うん、韓国、いいねぇ!そこもオススメなんでしょ?」

 

「うん、オススメ、、、っていうか。」

うん?

「一度行ってみたいと思ってた店!」

おっと。

「行ったことはないの?」

「ない。」

ああ、そうか。もはや飛び込みか。

「・・・けど、絶対美味いと思う。雰囲気はいい感じ出てるから!」

 

そうかそうか。頼もしい。

やはり男というのは、自分の知ってる店なんかに行くより

知らない店に飛び込むくらいがワイルドでいい。

知ってる店じゃもう自分の知ってる想像の範囲を超えないじゃないか。

そんなつまらない旅より、知らない所に敢えて飛び込んで

自分の可能性を更に広げる挑戦を、自らに課す!

それこそ男ってもんだろ。

 

彼はきっと僕に、

人生のそういう大事なことを身をもって教えたかったに違いない。

そう思わなきゃやってらんない。

 

「残念」とか「無念」とかいうものは、

時に、人に大事な何かを教えてくれるのかもしれない。

 

果たしてその参鶏湯は本当に美味しく、

某有名な情報番組でも紹介されたほどであり、

彼の目と嗅覚は間違いないことがはからずも証明された。

 

こうして〆のうどんまで大満足であっという間に平らげ、

いつものような彼とともに、いつものような夜が過ぎて行ったのでありました。

 

最後に。

シゲちゃん、ごちそうさまでした!面白いエピソードを(笑)。

 

(杉山)