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冬の札幌でイシノマキを思う。

2012年11月30日(金)

降った雪が溶けずにそのまま路に残ってしまうようになることを

北海道では「根雪」と言いますが、ご存知ですか?

(もちろん北海道の方はご存じですよね)

ここ数日の札幌は既にその根雪の様相を呈してきました。

 

例年は10~11月くらいに初雪が降って1回溶けて、

その後も何回かそんなことを繰り返して

いつのまにか溶けるスピードより降る量が上回って気づけば根雪・・・

ということが多いのですが、今年は秋まで暑い日が続き、

あっという間の短い秋を経て100何年ぶりだかの遅い初雪となりまして、

そのおかげで初雪がそのまま根雪になる、という

極めて珍しいケースとなってしまったそうです。

 

まだそれ程驚くような雪の量ではありませんが、

歩道も車道も降った雪が凍りついてツルッツルのピッカピカ。

大変危険な状況です。

もう外には一歩も出たくありません。

このテッカテカの路面ですでにスッテンコロリンしました!

という方も多いんじゃないでしょうか?

そんな冬本番を迎えた札幌でございます。

 

そんな中、たまたま車の調子が悪くてメンテナンスしてもらうついでに

いつもより早くタイヤ交換を済ませといてよかったー、と思いながら

スケートリンクのような路面で華麗にハンドルを切っております、

私の名前は杉山です。こんばんわ。皆さんお元気でしょうか。

 

さて、そんな白い冬に包まれ始めたここ札幌で、

来週とあるイベント(というか、演劇)が上演されます。

 

公演名は「イシノマキにいた時間」。

 

数年前、HTBの深夜番組「素晴らしい世界」で音尾君と共演していた

福島カツシゲという面白い男がいます。

本職は俳優・コメディアンで、シゲちゃんの舞台にも出演したことがあります。

バイタリティに溢れ、出会ったすべての人と一瞬で友達になれてしまう、

というとにかく不思議な特技と魅力を持った男でして。

もちろんナックスの皆さんとも上記の通り旧知の仲。

 

話していると発想もたいそう斬新で面白いので

そんな彼に、試しに書いてみたら?とほんの軽い気持ちで

「素晴らしい世界」のミニドラマで脚本を書いてもらったところ、

これまたホントに面白いものを書く訳です。

こんな才能ほっといたらもったいない!ということで

その後も一緒に「スバセカ」でミニドラマやコントを作るようになりました。

一例→ http://www.htb.co.jp/subaseka/conte/d_024.html

 

その後、スバセカが終了してしまったあとも

彼はその「筆の才能」を知らぬ間にメキメキと開花させ、

ついには2011年、WOWOWのシナリオ大賞まで獲得してしまうという

快挙を成し遂げました。

あれは忘れもしない2011年の3月上旬でした。

音尾君からのメールで、受賞の報が届いたのです。

そこには「祝!」の文字と共に酔っ払って喜び合う写メが添付されていました。

賞金は500万円だったそうで、きっとずいぶん気前よく弾けていたのでしょう。

笑顔、笑顔の写真でした。

 

ところが、喜びもつかの間。

3月11日、大震災が日本を襲ったのはそのわずか数日後でした。

 

日本中でみんなが戸惑い、

どうしていいかも分からず、途方に暮れていた。

そんな中。

彼・福島カツシゲもまた、どうしていいか分からず、居ても立ってもいられず、

途方に暮れた一人だったそうです。最初の数日は...。

 

でも、途方に暮れたまま茫然と何もできなかった僕などとは違って

生来のバイタリティと活力を持った彼は、

訳も分からないまま気づいたら賞金の500万円を握りしめ、

被災地の石巻に降り立っていたんだそうです。

すごい男だな、と思います。

 

その後彼は知り合いのボランティアを頼り、

そのままスタッフの一人として働きj始めます。

元々はほんの数日、何か少しでもお手伝いができれば・・・

くらいの気持ちだったんだそうです。

しかし、やってもやっても終わらない。

そんな日々を過ごすうち、どこに行っても元気印の彼は

いつの間にかボランティアのリーダー的存在となり、

気づいたらカレンダーは瞬く間に進んで半年以上が過ぎ、

賞金の500万円もほとんどすべて無くなっていました、、、と

彼は後日、笑いながら僕に語ってくれました。

つくづくすごい男だな、と思いました。

 

途中、シゲちゃんもこのカツシゲさんを頼ってボランティアに参加しました。

きっと読んだ方も多いことでしょう。

CUEさんのホームページにもその時の様子が体験記として綴られていましたね。

http://www.office-cue.com/CPFJ/report01.php

シゲちゃんもまた活力にあふれたすごい男だと思います。 

 

そんなカツシゲさんが自らのボランティア体験を通して感じたことを

赤裸々に綴った舞台が「イシノマキにいた時間」です。

 

昨年末に東京で上演され、静かな話題となり

口コミで広がった評判はやがて全国へと広がり

これまで鹿児島、静岡、富良野、新潟、そして地元・石巻と

上演を重ねてきました。

 

綺麗ごとだけじゃないボランティアの現実。

悩みも迷いもそのすべてが本音であり、

体験した者じゃなきゃ語れない、

そしてニュースではなかなか伝わらない、本当の声が

真っ正直に吐き出されています。

 

でも、そこはさすが本職コメディアン!にして新進気鋭の脚本家!です。

彼ならではのユニークな視点や発想で、

決して暗く悲しいだけの物語ではなく、

希望があり、光があり、笑いもある、

心に残る本当に素敵な物語になっていました。

 

待望の札幌公演が、いよいよ来週に迫りました。

12月6日(木)と7日(金)の2日間。

cube gardenで上演されます

http://www.ishinomakitime.com/

 

シゲちゃんがアフタートークに出演することが決まった6日は

残念ながら既に完売となってしまったようですが、

7日はまだわずかに残っているそうです。

チケット代は1000円と格安ですが、

それもすべて被災地への支援活動資金に充てられるそうです。 

ただただ"思い"だけで上演される真心の舞台です。

 

出来るだけ多くの人に見てもらいたいと思います。

見たほうが人生にとってきっと得だと思うんです。

仕事を休んででも見たほうがいいよ!と思ったので

ハナタレスタッフは全員が仕事の手を止めて観劇させて頂きます。

 

いま自分たちにできるのは、2度目の寒い冬を迎えようとするかの地を

せめて忘れないこと、思い続けること、祈り続けること、だと思うから。

公演の模様はカメラで収録し、

後日ハナタレでも放送したいと考えています。

どうしても公演を見られない方は是非、放送だけでもご覧ください。

年内中に放送する予定です。

 

札幌の後には東京での再演も決まっているようですので

お近くの方は是非足を運んでみて下さいね。

 

では、明日より師走を迎えますが

忙しい年末をお互い元気に乗り切っていきましょう!

 

(杉山)